皆さん、こんにちは。

「平成」が終わり「令和」の時代となりました。令和の第1週目は静かな始まりとなりましたが、6日のトランプ米大統領の発言によりマーケットが動き出しました。トランプ氏は米中通商協議の進展ペースに満足していないとし、中国からの輸入品2,000億ドル相当に対する関税率を、10日に現行の10％から25％へと引き上げるとツイッターでツイートしました。

この発言を受けてシドニー外国為替市場では、円がドルに対して大幅に上昇し、約5週間ぶりの高値を付けました。移動平均線大循環分析でくりっく株365の4銘柄を見てみると、日経225とNYダウがトランプ発言を受けて反落しました。そして、NYダウの短期移動平均線が帯に突入して第1ステージから第2ステージへと移行してきました。第2ステージは上昇相場の終焉となります。

一方、日経225とDAX、FTSE100の3銘柄は第1ステージを継続して、「買い」にエッジ（優位性）のある状態の安定上昇期となっています。第1ステージですので移動平均線の並び順が上から短期・中期・長期となっている訳ですが、同じ第1ステージでも3本の移動平均線が右肩上がりになっているDAXと、日経225やFTSE100のように短期移動平均線が帯に接近してきているのとではトレンドの勢いが違います。ましてや、NYダウにおいては短期移動平均線が帯の中に突入し、第1ステージから第2ステージへと移行しています。

このように短期移動平均線と帯の関係を見ることでステージの変化が分かります。その変化の兆しを捉えていくことがトレード技術の向上につながりますので注目して見ていきましょう。

日本市場がゴールデンウィーク10連休の間に、欧米市場ではGDPの発表、FOMCや米雇用統計といったビッグイベントが続きました。まず、欧州連合（EU）統計局が日発表した1〜3月期のユーロ圏実質GDP（域内総生産）速報値は、季節調整済みで前期比0.4%増となり、伸び率は前期の0.2%を上回り、2四半期連続で拡大しました。次に、米連邦公開市場委員会（FOMC）では金融政策が現状維持とされ、声明では米景気認識を前回声明の「底堅いペースから鈍化」から「底堅く拡大している」との表現に上方修正され、インフレ率については「2％を下回っている」と、前回声明の「2％近く」の表現に比べてハト派色が強まりました。

ただ、声明発表後の会見でパウエルFRB議長が現時点での利下げの必要性を否定すると、株式市場は軟調な動きを見せました。3日発表された4月の米雇用統計では、景気動向を示す非農業部門就業者数が前月比26万3,000人増と市場予想を大幅に上回りました。失業率も3.6％と実に49年4カ月ぶりの低水準を記録しました。米景気の先行きに対する楽観的な見方が広がりました。

今回の雇用統計では、物価上昇の先行指標として注目される平均時給が前月比0.2%％増と市場予想を下回ったことで、米景気が堅調さを維持する一方、インフレの圧力は弱いためにFRBの利上げは見送られるとの期待が広がったようです。

現在、米主要企業の1〜3月期決算発表が佳境を迎える中、史上最高値圏にある米株価が一段と上昇するには手掛かり材料に乏しいとの指摘もあるようですが、景気は弱過ぎず、強過ぎもせずに、緩和的な金融政策に支えられた「ゴルディロックス（適温相場）」状態のため、市場関係者の間ではじりじりと上昇するとの意見もあるようです。ただ、トランプ発言が市場をかき乱していますのでご注意ください。

「小次郎講師のトレード入門」をご覧になる方はこちら

5月8日（水）未定　（中国）4月貿易収支
5月8日（水）08：50（日本）日銀・金融政策決定会合議事要旨
5月8日（水）15：00（独国）3月鉱工業生産
5月8日（水）20：00（米国）MBA住宅ローン申請指数
5月9日（木）10：30（中国）4月消費者物価指数
5月9日（木）21：30（米国）4月卸売物価指数
5月9日（木）21：30（米国）3月貿易収支
5月9日（木）21：30（米国）新規失業保険申請件数
5月9日（木）21：30（米国）失業保険継続受給者数
5月10日（金）17：30（英国）1-3月期四半期GDP
5月10日（金）17：30（英国）3月鉱工業生産指数
5月10日（金）17：30（英国）3月月次GDP
5月10日（金）21：30（加国）4月新規雇用者数、4月失業率
5月10日（金）21：30（米国）4月消費者物価指数
5月13日（月）14：00（日本）5月景気先行指数、5月景気一致指数 5月14日（火）未定（日本）4月景気ウオッチャー調査-現状判断DI、先行き判断DI
5月14日（火）08：50（日本）3月国際収支・経常収支、貿易収支
5月14日（火）15：00（独国）4月消費者物価指数
5月14日（火）17：30（英国）4月失業保険申請件数、4月失業率
5月14日（火）18：00（ユーロ圏）3月鉱工業生産
5月14日（火）18：00（独国）5月ZEW景況感調査
5月14日（火）18：00（ユーロ圏）5月ZEW景況感調査
5月14日（火）21：30（米国）4月輸入物価指数
5月14日（火）21：30（米国）4月輸出物価指数

※今週は日銀の金融政策決定会合議事要旨に注目しましょう。新規失業保険申請件数の結果も確認しましょう。

※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。

第1ステージ
第1ステージは上昇期です。

短期移動平均線と帯の関係に注目していきましょう。
・上昇トレンドに勢いが出る場合は、帯に傾きが出て間隔が広がってきます。
・下降トレンドに移行する場合は、短期移動平均線が帯を下抜けていきます。
そこに注目していきましょう。

高値22,959円　安値20,888円
※抵抗線・支持線となりやすい価格です。そこを突破することに意味があります。

※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。

第2ステージ
第2ステージは上昇相場の終焉です。

短期移動平均線と帯の関係に注目していきましょう。
・上昇トレンドに移行する場合は、短期移動平均線が帯を上抜けていきます。
・下降トレンドに移行する場合は、短期移動平均線が帯を下抜けていきます。
そこに注目していきましょう。

高値26,970ドル　安値25,129ドル
※抵抗線・支持線となりやすい価格、そこを突破することに意味があります。

今週も「安く買って高く売る」ことについて深堀していきましょう。

先週は上段の図で1万2,000円が安く見えましたが、下段の図の展開となると、1万2,000円がとても高く感じるということを見てきました。

◆「安く買って、高く売る」の誤解。

トレンドフォロー型のトレードでは、価格が上昇してきた後にトレンドが発生したと判断し、買いエントリーします。それは、一見すると「安いときに買う」というセオリーに反しているように見えます。

ところが、トレンドフォロー型のトレードでは、それが正解なのです。なぜなら、大切なのは今後の値動きだからです。現在、上昇トレンドが発生していて、この先も相場が上昇するならば、買った価格は「安い価格」だったということになります。

「売り」の取引も同じです。現時点で安いと思われる価格で売ったとしても、その後、下降トレンドが継続して大きく下がれば、高い値段で売れたことになるのです。

つまり、現在の価格が高いか安いかは今後の値動き次第なのですから、今後、上昇トレンドが発生するとしたら、今の価格が過去の値動きの中で高い位置にあったとしても、ためらわずに買いなのです。

同じく、今後、下降トレンドが発生するとしたら、今の価格が安く思われる価格だったとしても、売りのポジションを作ることが正解なのです。

トレンドフォロアーの行動は、一見、セオリーを無視しているように見えます。しかし、実は、「安く買って高く売る」ということの正しい意味を理解したうえでの行動なのです。

3本の移動平均線の並び順と傾きで現状を分析し、今後の展開を予測する指標です。価格変動の中で買いにエッジ（優位性）が発生する局面、売りにエッジが発生する局面を見つけ出すことができます。

3本の線の並び順は全部で6種類。それをステージ1から6と名付けました。（下図参照）
価格変動の中でステージは基本的に時計回りで推移し、ときに一時的に反時計回りで推移します。
つまり現在がステージ1だとすると、次に移行するのはステージ2というのが基本で、ときにステージ6に戻ることがあるということです。これ以外の展開はありません。これにより今後の展開が読みやすくなります。

ステージ1で3本の線が右肩上がりのときは買いトレードにエッジ（優位性）があります。ステージ4で3本の線が右肩下がりのときは売りトレードにエッジがあります。

移動平均線大循環分析において中期移動平均線と長期移動平均線の間を「帯（おび）」と言います。帯は大局トレンドの状態を示します。

帯が傾きを持ち間隔が広がっている状態が、トレンドが勢いを持っている状態です。間隔が狭まったり傾きが緩やかになるとトレンドが勢いを失ったことがわかります。またもみあい相場では帯は横這いとなり、細くなります。
価格及び短期移動平均線が帯の上にいるのが買い時代、帯の下にいるのが売り時代を表します。

• ※3本の移動平均線は短期5日、中期20日、長期40日のEMA（指数平滑移動平均線）を利用しています。

バックナンバー一覧へ戻る