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日本株投資戦略〜「インフレ」に備えよ!銀行・不動産セクターに追い風となるか?〜

2014/5/9
投資調査部 鈴木英之

「インフレ」経済下では、物色対象が変わる可能性

2014年4月30日に行われた金融政策決定会合の結果発表に続き、5月1日付で、日銀から「経済・物価情勢の展望」(いわゆる「展望レポート」)が公表されました。それによると、目標に掲げる消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合・消費税増税の影響を除く)「2%」を2015年度にも達成し、16年度には2.1%に達するというシナリオが明示されました。

日銀としては、これまでの「異次元の量的緩和」を進めることで、目標インフレ率を達成できると自信を示した形になりました。ただ、これに対し、民間調査機関は平均的に、消費増税後の内需縮小もあり、今後の消費者物価上昇率は1%台で横ばいになるとみているようで、日銀の予想と開きがあるようにみられます。もっとも、目標インフレ率に達しない可能性が強まった時、日銀は追加緩和を実施する姿勢も示しています。従って、日銀の判断が後手に回らない限り、消費者物価上昇率2%目標は達成される可能性が大きいと考えられます。

こうした中、今回の「日本株投資戦略」では、1970年代以降の日本経済を、消費者物価上昇率という観点から簡単に振り返り、(1)デフレ経済からインフレ経済へ転換することの意義、(2)インフレ経済下での株式市場とその物色方向、という2点にスポットを当てて解説を試みたいと思います。株式市場に参加する多くの投資家が、まだ「デフレ・モード」を克服しきれていないことが、最近の株価低迷の一因かもしれません。ここで、インフレ経済と株式の関係を問い直すことは無意味ではないと思います。

表1は、その結果として導き出された、今後の「インフレ経済」下で、物色対象として有望視される可能性のある銘柄グループになっています。結果的には、銀行株や不動産株が注目対象になりました。なぜ、こうした銘柄が導き出されたのか、次項以下でご説明したいと思います。

表1:脱デフレ(インフレへの転換)で注目される銀行・不動産銘柄

銘柄
コード

銘柄名

業種

5/8終値

12/30終値

騰落率

時価総額

今すぐ取引

3003

不動産業

1,322

1,555

- 15.0%

7,879

現買 信買

8303

銀行業

205

257

- 20.2%

5,638

現買 信買

8304

銀行業

305

298

+ 2.3%

5,033

現買 信買

8306

銀行業

557

694

- 19.7%

78,894

現買 信買

8308

銀行業

527

536

- 1.7%

12,248

現買 信買

8309

銀行業

421

554

- 24.0%

16,434

現買 信買

8316

銀行業

4,086

5,420

- 24.6%

57,778

現買 信買

8331

銀行業

631

709

- 11.0%

5,525

現買 信買

8332

銀行業

512

586

- 12.6%

6,615

現買 信買

8355

銀行業

954

1,122

- 15.0%

6,345

現買 信買

8411

銀行業

200

228

- 12.3%

48,528

現買 信買

8801

不動産業

3,099

3,785

- 18.1%

27,315

現買 信買

8802

不動産業

2,409

3,145

- 23.4%

33,495

現買 信買

8830

不動産業

4,055

5,230

- 22.5%

19,305

現買 信買

8905

不動産業

2,433

2,951

- 17.6%

5,544

現買 信買

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。東証一部の「銀行」「不動産」に属す企業のうち、時価総額が5千億円以上(2014/5/8現在)の企業をコード順に並べた。単位は株価が「円」で、時価総額が「億円」。騰落率は2013/12/30終値と2014/5/8終値を比較し算出。騰落率は過去のデータであり、掲載銘柄の将来株価を示唆するものではない。

物価変動の歴史〜1990年代後半以降にデフレが長期化

(1)消費者物価の推移と日本経済

図1は、我が国の消費者物価上昇率の推移を示したものです。プラザ合意後の円高を受け、87年1月に消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)が前年比▲0.3%となるまで、基本的に物価はプラス圏で推移してきました。1972年6月に田中角栄通産相(当時)が「日本列島改造論」を打ち出し、1973年10月の中東戦争が重なることで発生してしまった「狂乱物価」では、一時、消費者物価上昇率が24.7%まで上昇。また、1979年1月以降の第2次石油危機でも、消費者物価上昇率が8.5%に達しました。その後も、平成バブルを経て資産価格の高騰が、消費者の高級品志向を強め、1990年代の入り口では、高めの物価上昇率となりました。これらの記憶から、多くの人々にとり、物価上昇には否定的な考え方がつきまとうことになります。

しかし、1990年代半ば以降に長期化した、物価上昇率の低迷も、日本経済へ大きな打撃になりました。不良債権問題の処理に遅れ、金融システムが弱体化し、日本経済におけるマネーの流れが滞ったことが大きな要因ですまた。設備、雇用、債務が「3つの過剰」と称され、日本経済は供給過剰であり、それが克服されるまで、デフレは続くとみられていました。1995年〜2012年の間、月次の消費者物価上昇率は平均で▲0.1%でした。

経済がデフレ状態になると、企業は製品価格を下げざるを得なくなります。その結果、人件費や設備投資は抑制され、家計では賃金が上がらないため消費を抑えようとし、巡り巡って、製品価格の引き下げにつながります。いわゆる「デフレ・スパイラル」です。特に1997年の金融危機以降、賃金の減少が堅調になり、デフレの長期化を促すことになりました。

図1:消費者物価上昇率(前年同月比)の推移(消費税率の影響をそのまま含む)
消費者物価上昇率(前年同月比)の推移(消費税率の影響をそのまま含む)
  • ※Bloomberg、総務省データをもとに、SBI証券が作成。

(2)「脱デフレ」(インフレ)の日本経済にとっての意義

そもそも、デフレは日本経済にとり、何が問題点だったのでしょうか。それを考えることで、脱デフレ(インフレ)が、日本経済に与える影響を読み解くことが可能になるとみられます。

日銀の黒田総裁は、2014年3月に行われた日本商工会議所での講演会について、デフレの問題点を以下のように指摘しています。
(1)製品やサービスの価格を引き上げることができないため企業の売上や収益は伸びない。
(2)上記の結果、企業は人件費・設備投資を抑制する。
(3)賃金が伸びない上、将来の物価下落予想を背景に家計は消費を増やさない。
(4)現金や預金を保有していることが有利であり、企業や家計は、設備・株式への投資を抑制する。

売上高は販売した製品・サービスの単価に数量を掛け合わせて求められます。製品・サービス単価が下がってしまいますので、同じ数量を売上げても、デフレでは売上高が減ってしまいます。売上高が伸びない以上、利益をあげるにはコストを極力圧縮する他ないので、設備投資や人件費に回せるお金は少なくなってしまいます。その結果、家計では賃金が下がり、消費を抑制するので、さらに企業の売上が伸びないという、まさに「デフレ・スパイラル」に陥ってしまうことになります。

なお、継続的に物価が下落すると、家計は「どうせ、将来、価格は下がるだろう」と予想し、消費を先送りすることが増えるので、その面でも、企業の売上は伸びにくくなります。また、デフレは「モノ・サービスの価格が下がる」ことですが、お金の側から見れば、その相対的な価値が上がることを意味しています。即ち、家計にとって、現金・預金で資産を保有することが相対的に有利で、株式投資でリスクテイクする意義はその分、小さくなります。

日本経済が、デフレから脱却する(インフレとなる)ことは、まさに、こうした問題点の克服に向かって歩を進めることを意味しています。即ち、企業の収益が伸びやすくなり、家計が消費を増やし、リスクテイクしやすくなることで、日本経済や株式市場に、その分、追い風が吹きやすくなると考えられます。

なお、ここで注意すべきなのは、日銀が重視しているのが、物価がどんどん上昇を続けてゆくことではなく、2%程度の適度な上昇率で安定的に推移してゆくことだということです。日本のみならず、米国、ユーロ圏、英国、カナダ、ニュージーランドなど、2%前後の消費者物価上昇率の維持を金融政策の目標としている国は数多くあり、ある意味で、「2%」はデファクト・スタンダード(国際標準)になっています。(表2参照)この水準の物価が維持できれば、物価格差の面では、外為相場が安定しやすくなるのも、日本経済にとりプラス要因であるとみられます。

表2:主要国の物価安定目標
主要国の物価安定目標
  • ※日本銀行資料をもとにSBI証券が作成。

日本経済が「デフレ」から「インフレ」に変わる過渡期に物色されやすい銘柄は?

さて、日本経済がデフレから脱却することで、どんな業種・企業がメリットを受けるでしょうか。結論から先に申し上げますと、銀行株や、不動産株にメリットが大きいとみられます。

このうち、銀行については、バブル崩壊後の資産デフレによる不良債権の増大や、保有株式の値下がり等に苦しめられてきました。業種別株価指数「銀行」は、日本が長期デフレ期に入る直前の1994年末から現在(2014年5月8日)まで、約80%の下落率になっています。空運業を除けば「デフレ」期間中、最も株価の値下がり率の大きな業種であり、しかも、株価の回復力もいまだ十分ではないとみられ、出遅れ感は顕著とみられます。

日本経済のデフレからの脱出を目指し、日銀が異次元の量的緩和を進めていることや、国家戦略特区の指定による容積率の規制緩和(首都圏)、2020年の東京五輪開催等が追い風になり、地価の下げ止まり色も濃厚になってきました。それを受け、不動産株の上昇も期待できそうです。

なお、電気機器や輸送用機器などの製造業は、デフレ脱却が国内販売の持ち直しに寄与する側面はあるものの、販売の主戦場が多くの企業で海外にシフトしています。むしろ、当面は賃金の引き上げの要請に応える必要もあり、コスト高のリスクもあるため、日本経済の「脱デフレ」が寄与しにくい部分も少なくありません。

冒頭の表1は、以上のような考え方に基づき、「銀行」、「不動産」の主力企業をご紹介する目的で作成したものです。多くの企業が、2013年末から「押し目」を形成していることが、おわかり頂けると思います。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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  • 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客様が損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
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