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マーケット > レポート >  日本株投資戦略〜原油価格下落で注目される業種・銘柄は?〜

日本株投資戦略〜原油価格下落で注目される業種・銘柄は?〜

2014/12/19
投資調査部 鈴木英之

原油価格が大きく下落しています。WTI原油先物価格は、今年2月から7月にかけて月平均1バレル100ドル以上で推移してきましたが、8月以降は100ドルを割り込み、12月中旬にはついに日足終値ベースで50ドル台まで下落しました。これを受け、原油・エネルギー関連を中心に米国株が下落、そのあおりで日本株も大きく下落する展開となりました。

原油や天然ガスなどエネルギー価格下落は、産油国である米国株などにはマイナス面もあります。反面、資源輸入国の日本にとって、今までのエネルギー価格高騰は、輸入物価の上昇・貿易収支の悪化など、多くの悪影響を与えてきたことも現実です。
そうした中、日本株の先行きを考える時、原油価格下落のメリット・デメリットをどう考えればよいのでしょうか。また、物色対象は変化するのでしょうか。

今回の「日本株投資戦略」は、原油価格と日本株の関係についてご説明したいと思います。

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 原油価格下落で注目される業種・銘柄を探る。

仮に今後も原油価格の下落傾向が続いた場合、物色対象は変わるのでしょうか。また、変わるとすれば、どのような業種や銘柄が有望なのでしょうか。投資家の方にとって最大の関心事は、この点かと思われます。そこで、まず最初に原油価格下落が続いた場合、相対的に優位とみられる業種・銘柄をいくつかピックアップしてみました。

原油価格の下落局面における株式市場で、相対的に優位な業種や銘柄を選ぶため、ここでは「相関係数」を使いました。相関係数は、2つのデータ群の関連性を示す値で、-1から1までの範囲で示されます。0を超え数字が大きくなり、1に近づくほど同じ方向に動きやすいとされ、0を下回り-1に近づくほど、逆方向に動きやすいとされます。ある業種や銘柄について、原油価格が下落してもあまり下げない、もしくは逆に上昇しやすいか否か調べるには、それらと原油価格との間の相関係数を調べ、数値が小さく-1に近い業種・銘柄ほど優位と考えられます。

図表1は、原油価格との相関係数が低い業種を順番に10業種並べたものです。まず最初は、原油価格が下落する局面で相対的に優位な業種を7つ(図表1の上位7業種)を選びました。これらの業種は、原油価格が下落する局面で株価が下落しにくい、または上昇する傾向があります。ご参考までに図表2は、原油価格との相関係数が高い業種を順番に10業種並べたものです。

図表3は、上記の7業種について、原油価格との相関係数が最も低い銘柄を1銘柄ずつ抽出した結果です。改めて、スクリーニング条件を整理すると、以下の通りです。

(1)東証一部時価総額1千億円以上の銘柄。
(2)過去4週間でアナリスト予想EPS(一株利益)が上昇している銘柄。
(アナリスト予想EPSは、Bloombergが集計した市場コンセンサス)

(3)原油価格との相関係数が低い「電気・ガス業」、「空運業」、「パルプ・紙」、「陸運業」、「医薬品」、「水産・農林業」、
「倉庫・運輸関連」の7業種に属す銘柄。

(4)上記7業種の各々から、原油価格との相関係数が最も低い銘柄。

ご参考までに、(2)や(4)の条件を使わず7業種の中で相関係数の低い銘柄を単純に並べると、沢井製薬(4555)、京浜急行電鉄(9006)、相鉄ホールディングス(9003)、関西電力(9503)、九州電力(9508)、東京ガス(9531)と続きます。業種的には電気・ガス業や陸運業に集中しますので、(4)の条件を加えることで一定の業種分散を図っています。          

図表1:原油価格「下落」で相対的優位と思われる
10業種

業種(東証33業種)

相関係数

電気・ガス業

-0.173

空運業

-0.052

パルプ・紙

0.003

陸運業

0.083

医薬品

0.135

水産・農林業

0.137

倉庫・運輸関連

0.189

小売業

0.202

食料品

0.211

情報・通信業

0.213

図表2:原油価格「上昇」で相対的優位と思われる
10業種

業種(東証33業種)

相関係数

鉱業

0.614

卸売業

0.535

石油・石炭製品

0.477

非鉄金属

0.466

機械

0.446

ガラス・土石製品

0.443

その他製品

0.412

電気機器

0.411

化学

0.395

精密機器

0.378

図表3:「原油安」で相対的優位と思われる7業種と、各々の代表的銘柄
取引 チャート コード 銘柄名 業種 株価 相関係数 EPS変化
現買信買 チャート 9503 関西電力 電気・ガス業 1,252.5 -0.139 7.1%
現買信買 チャート 9041 近畿日本鉄道 陸運業 380.0 -0.119 3.2%
現買信買 チャート 3865 北越紀州製紙 パルプ・紙 486.0 -0.041 0.4%
現買信買 チャート 4547 キッセイ薬品工業 医薬品 3,090.0 -0.026 16.1%
現買信買 チャート 9202 ANAホールディングス 空運業 293.3 -0.007 3.2%
現買信買 チャート 9303 住友倉庫 倉庫・運輸関連業 641.0 0.018 2.4%
現買信買 チャート 1332 日本水産 水産・農林業 374.0 0.111 23.0%
  • ※図表1〜図表3は、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
  • ※相関係数はあくまでも過去の実績から導き出された数値であり、必ずしも今後の株価を示唆するものではない。
    相関係数は、原油価格と各業種・銘柄の2014年11月以前10年間の月次終値データから算出。他のデータは2014年12月15日現在。
2

 なぜ今、原油価格は下落しているのか?

図表4は、WTI原油先物相場の推移を示したものです。リーマンショック後の世界景気回復局面で、人口の多い新興国での需要増加が見込まれ、2011年4月に向け、原油価格は大きく値上がりしました。その後は、新興国ブームの沈静化もあり、一進一退が続きましたが、2014年6月を最後に、今度は本格的な下落に転じてしまいました。ドル安・円高の動きを反映し、円換算ベースでは当初、この原油価格下落の影響は目立ちませんでしたが、ここにきて円換算ベースでの下落も目立ち始めています。

図表4:原油先物相場(月足・終値平均)

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
    WTI先物価格は、月次で終値平均価格を算出したもの。円換算価格はドルベースの価格に、月次のドル・円相場平均レートを乗じたもの。

原油価格が下落している要因は、以下の3点が考えられます。

(1)人口の多い新興国の経済成長が鈍化しており、原油の需要拡大にブレーキがかかりやすくなっているため。
(2)米国の量的緩和が縮小から停止となり、その分ヘッジファンド等投機資金へ資金が流れにくくなっているため。
(3)中東など従来の産油国が減産の意向を見せない上、シェール革命が進む米国で生産量が増えているため。

ここで特筆したいのが(3)です。OPEC(石油輸出国機構)全体の原油産出量は、11月まで7ヵ月連続で「生産目標」である日量3,000万バレルを上回っています。サウジ、リビア、イラクなどはむしろ増産意欲が高いと言われ、需給調整が行われる兆しは認められません。さらに、シェール革命が続く米国ではついに、日量1,000万バレルが生産されるようになり、ロシアなどと並びサウジを抜き、世界最大の産油国となっています。

米国が世界一の産油国に躍り出てきたという大きな変化が、原油価格下落に拍車をかけたと言えそうです。米国産原油にシェアを奪われないよう、サウジなどが価格下落で米国勢の減産を促そうとしているとの指摘もあります。ただ、米シェール・オイルの採算ラインは、1バレル60〜70ドルと言われ、既に採算割れの油田が増えている以上、ここからは需給調整が進む可能性があります。ただし、その効果が表れるのは2015年後半(商社系リサーチ機関)との見方があります。株式市場への参加者としては、もうしばらく原油価格下落への備えをしておく必要がありそうです。

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 原油価格下落のメリット・デメリットを整理する。

(A)原油価格下落のデメリット

原油価格下落が続いた場合、想定される大きなデメリットとしては、
(1)産油国の経済・財政に悪影響が及ぶ可能性
(2)米国株の下落要因となり、それが日本に波及する可能性
(3)我が国の資源大手や総合商社・総合化学の一角に悪影響が及ぶ可能性
などが指摘されます。

このうち(2)について説明すると、実はNYダウの過去10年(2014年11月まで)における原油価格との相関係数は0.402となっており、やや高めであるという点です。ダウ平均採用30銘柄の中には、エクソンモービルやシェブロンといったエネルギー大手が含まれており、原油価格下落が株価に影響することになります。無論、シェール革命が進み、原油生産に関連する企業は数多く、米経済全般へも影響が出る可能性があります。

無論、米国ほどではないにせよ、我が国の「鉱業」や「石油・石炭製品」に属する企業にも悪影響が出やすくなります。また、住友商事の業績予想下方修正で示されたように、総合商社のシェール権益等で減損のリスクが残ります。昭和電工の業績予想下方修正は、エチレンなどを生産する総合化学メーカーに悪影響が及ぶ可能性を示唆しています。その他の業種でも、資源系企業と関わりが深いプラント・機械等の企業に影響が出る可能性もあります。

(B)原油価格下落のメリット

原油価格下落が続いた場合、エネルギーの輸入依存度が高い国にとっては、貿易・経常収支改善要因となります。 ガソリン価格の下落等に波及すれば、さらに消費者や企業の負担軽減・購買力増加に寄与するとみられます。多くの製品は原油等の鉱物性資源をもとに製造されていますので、物価の安定にも寄与します。

図表5は、我が国の天然ガス輸入価格の推移です。同価格は我が国の場合、原油価格と連動するように決められており、原油価格の上昇が天然ガス価格の上昇につながってきました。特に東日本大震災(2011年3月)以降、原子力発電所が止まり、発電に要する燃料を確保すべく、スポット価格で天然ガスを買いに行ったことも、価格を引き上げる方に作用してしま いました。

こうした流れを受け、2010年度に5.3兆円計上されていた我が国の貿易収支は、2013年度に13.8兆円の赤字に転落し、その差19.1兆円の悪化につながってしまいました。その最大の要因は、22.2兆円も輸入が増えたからで、原油・粗油や液化天然ガス(LNG)など、鉱物性資源の輸入が10.3兆円増えたことが響きました(図表6)。

ちなみに、2010年度から2013年度にかけ、日本の原油・粗油の輸入量は年2.1億キロリットル前後で変わらず、原油価格等でコストが5割超も上昇した結果、金額ベースで輸入拡大となりました。LNGについては、輸入量・価格ともに増加し、貿易収支悪化の大きな要因となりました。

急速な貿易収支の悪化は、国富の流出であり、日本経済の大きな問題点でした。しかし、原油価格の下落から波及するLNG価格の下落は、我が国の貿易収支改善に大きく寄与することになりそうです。

東日本大震災以降、エネルギーコストの上昇に苦しんできた電力会社には強い追い風となりそうです。原発稼働率が既に現状でゼロであることを考えれば、逆にコスト的には、これ以上悪化しにくくなっていると言えるでしょう。燃料を大量に消費する輸送系企業(陸運・空運)や、「装置産業」と言われるパルプ・紙にも追い風となるでしょう。

なお、原油価格や天然ガス価格の下落で、我が国の貿易収支が改善に向かうことは、外為市場での円高・ドル安要因となります。電気・ガスやパルプ・紙などの業種は、円高・ドル安が追い風となりやすい業種でもあります。

図表5:我が国の天然ガス輸入価格
(1MMBTU当たりドル)
図表5:我が国の天然ガス輸入価格(1MMBTU当たりドル)
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
    LNG主要輸入国であるマレーシア、オーストラリア、カタールからの輸入価格の単純平均(月次)。MMBTUは100万英国熱量単位。
    1BTU=252〜253カロリー。
図表6:我が国の貿易収支
(2010年度と2013年度の比較)

2010年度

2013年度

輸出

67.8

70.9

3.1

輸入

-62.5

-84.6

-22.2

   うち 鉱物性燃料

-18.1

-28.4

-10.3

   うち原油・粗油

-9.8

-14.8

-5.1

   うちLNG

-3.5

-7.3

-3.8

その他輸入

-44.3

-56.2

-11.9

貿易収支

5.3

-13.8

-19.1

※財務省「貿易統計」をもとにSBI証券が作成。単位は兆円。
輸入をマイナスとして表示。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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