米国株の当社顧客保有人数上位50で、4/26(金)〜5/4(土)に1-3月期決算を発表した銘柄の決算速報です。
ファイザー、マクドナルド、マスターカードなどの決算が良好でした。
銘柄名(コード) 決算発表日、株価反応日 株価、前日比、今期予想EPS、アナリスト目標株価 | | 直近実績 | 前年同期比 | 予想乖離 | 前四半期の 前年同期比 |
エクソン モービル(XOM) 4/26、4/26 | 売上(億ドル) | 636 | -7% | -2% | 8% |
80.49ドル、-2.1%、4.25ドル、86.19ドル | EPS(ドル) | 0.55 | -49% | -23% | 60% |
【1-3月期業績が予想を大幅ショート】
- 1-3月期業績は、前年同期比で原油価格が下落していることを主因に減収・減益となり、市場予想も大幅にショートしました。同社は4月に北米でのマージン縮小で精製部門の利益が10-12月期比低下するとのウォーニングを出していましたが、悪化の程度は市場の想定を上回りました。一方、原油生産量はパーミアン盆地での生産が前年同期比140%増と牽引して同5%増加しています。
- 1-3月期の部門利益は、原油価格の下落を受けて前年同期比6.2億ドルの悪化(35.0億ドル→28.8億ドル)、精製部門は同12.0億ドルの悪化(9.4億ドル→2.6億ドルの赤字)、化学部門は同4.9億ドルの悪化(10.1億ドル→5.2億ドル)です。精製部門の利益悪化は、年初からの原油価格回復局面でマージンが縮小したことに加え、例年よりもメンテナンスが多かったことも押し下げ要因となり、一時的と考えられます。
- 同社の株価は配当利回りを中心に動いているとみられ、原油価格の動きに対する反応は限定的です。利益水準が回復するまでそのような状況は続くと考えられます。今期の予想1株当たり配当は3.39ドルです。
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アルファベット A (GOOGL) 4/29、4/30 | 売上(億ドル) | 295 | 19% | -2% | 23% |
1,198.96ドル、-7.5%、56.19ドル、1,329.11ドル | EPS(ドル) | 11.90 | 20% | 18% | 32% |
【広告事業の伸びが鈍化して売上が市場予想をショート】
- 1-3月期決算は売上が市場予想を2%ショートして、主力のネット広告の分野に欧州などでの規制強化の影響が出てきていることが懸念されたと見え、株価は大幅な下落となりました。一方、クラウドなどの伸びやトラフィック獲得費用の低下などでNon-GAAPの利益は予想を上回りました。GAAPベースの利益は欧州での15億ユーロ(約17億ドル)の罰金の影響で市場予想を下回っています。
- 主力のネット広告売上は10-12月期の前年同期比20%増から同15%増へ減速しました。広告のクリック数が前年同期比39%増(10-12月期は同66%増)へ減速したことが主因で、規制の影響が出ている可能性がありそうです。クリック単価はクリック数の伸びが鈍化したために前年同期比19%減(同29%減)へ減り方が緩和しています。一方、トラフィック獲得費用の広告収入に対する比率が22%と前年同期から2%ポイント改善して利益を支えました。「その他の賭け」部門は売上が1.7億ドル(前年同期比13%増)、営業損失が8.7億ドル(前年同期は5.7億ドル)です。営業損失が拡大したのは、傘下企業の評価額が上昇して従業員に支払う報酬が増えたことによります。
- 一般的に言って将来の業績を予想するときには、直近実績のEPS増減よりも売上増減のほうが重要であるため、EPSのショートよりも売上のショートのほうが株価への影響が大きくなる傾向があります。今回の決算はその典型例と言えそうです。株価下落のコメントでは罰金でGAAPのEPSがショートしたことを強調するものがありますが、アナリストが重視したのは売上のショートだと見られます。
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ファイザー(PFE) 4/30、4/30 | 売上(億ドル) | 131 | 2% | 1% | 2% |
40.77ドル、+3.1%、2.90ドル、44.93ドル | EPS(ドル) | 0.85 | 10% | 12% | 3% |
【19年12月期のEPSガイダンスがわずかながら引き上げられた】
- 1-3月期のオーガニック成長率(事業買収や売却および為替の影響を除いた成長率)は前年同期比5%増と、大きく改善した10-12月期と同水準が維持されました。営業利益は同9%増です。19年12月期の業績ガイダンスは、調整後EPSが2.82〜2.92ドルから2.83〜2.93ドル(前年同期の投資売却益を除く調整後EPSの2.92ドルに対して前年比3%減〜0%)へわずかに引き上げられました。オペレーションでは0.03ドルの改善が見られたものの、ドル高の影響が0.02ドル分を相殺したとしています。
- 部門別のオーガニック成長率は、乳がん治療薬「イブランス」、血栓塞栓症治療薬「エリキュース」、関節リウマチ治療薬「ゼルヤンツ」などが牽引する「バイオ医薬品」部門が前年同期比7%増、医薬品製造の「アップジョン」部門は「バイアグラ」の特許切れや競合薬増加の影響を中国事業の伸びがカバーして同1%増、「コンシューマーヘルスケア」部門は米国事業が同8%減と振るわなかったことを主因に同2%減でした。同社は今期より部門を組み替えています。
- 主力の「バイオ医薬品」部門の伸びが牽引して業績が堅調に推移しており、評価できる内容と言えるでしょう。
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アドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD) 4/30、5/1 | 売上(億ドル) | 12.7 | -23% | 1% | -4% |
26.81ドル、-3.0%、0.65ドル、27.41ドル | EPS(ドル) | 0.06 | -45% | 11% | 0% |
【4-6月期の売上は1-3月期比19%増のガイダンス】
- 1-3月期の売上はガイダンス範囲内の減少で、EPSは市場予想を上回りました。4-6月期の売上ガイダンスは14.7〜15.7億ドルで、中央値は前年同期比13%減、1-3月期比19%増に相当します。1-3月期比の増加は全分野が改善することによるもので、前年同期比の減少は主にGPUの流通在庫の調整が続くことによります。
- 1-3月期の部門別売上は、コンピューティング&グラフィックス部門がGPUの流通在庫調整の影響を受けて前年同期比26%減(10-12月期は同9%増)、エンタープライズ、エンベッディッド&セミカスタム部門は主にセミカスタムの減少により同17%減(10-12月期は同横ばい)でした。
- 仮想通貨のマイニング向けGPUの需要急増と急減を受けて業績は乱高下していますが、CPUがデスクトップPC市場、サーバー市場とも対インテルでシェアを拡大するとの期待が継続しています。
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マクドナルド(MCD) 4/30、4/30 | 売上(億ドル) | 49.6 | -4% | 1% | -3% |
197.57ドル、+0.50%、8.06ドル、213.13ドル | EPS(ドル) | 1.78 | 0% | 2% | 15% |
【店舗の進化により既存店売上の堅調続く】
- 1-3月期の世界既存店売上は前年同期比5.4%増で、10-12期の同4.4%増から加速しています。米国の既存店売上は「ベーコン・イベント」など様々なキャンペーンが奏功して同4.5%増と10-12月期の同2.3%を大きく上回りました。営業利益は店舗売却益の剥落やドル高による売上の目減りの影響を受けて同2%減(為替の影響を除いて同3%増)でした。
- 売上が前年同期比4%減となっているのは、ドル高による目減りが6%ポイントあるほか、自社運営店舗のフランチャイズ化による売上減の影響を含みます。フランチャイズ先を含む全システムの売上は同6%増えています。海外の自社運営部門、フランチャイズ部門とも既存店売上は前年同期比6.0%増と好調です。全地域でプラスとなったほか、特に英国、フランスが好調です。
- CEOはリリースで、「中期経営計画の『Velocity Growth Plan』を始めてから2年が経ち、持続的に好パフォーマンスをあげていることから、当戦略が効果をあらわしつつあることに自信をもっている。」としています。
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マスターカード A(MA) 4/30、4/30 | 売上(億ドル) | 38.9 | 9% | 1% | 15% |
254.24ドル、+2.9%、7.62ドル、274.85ドル | EPS(ドル) | 1.78 | 19% | 7% | 36% |
【市場予想を上回る好決算】
- 1-3月期決算は10-12月期から鈍化したものの、市場予想を上回る増収増益でした。売上は為替の影響を除いたベースで同13%増です。営業費用が前年同期にあった法務費用の剥落したほか、販管費、広告宣伝費なども売上の伸びを大きく下回って同2%減となったため、営業利益は同21%増(為替の影響を除いて同27%増)と大幅な増益となっています。
- 総取引高(カードの総利用額)は世界が前年同期比12%増(10-12月期は同14%増)、米国が同8%増(10-12月期は同10%増)、現地通貨ベースの海外が同13%増(10-12月期は同16%増)と、米国・海外とも10-12月期から減速したとは言え、依然として高い伸びと言えるでしょう。
- 19年通年の売上は為替による影響を除いたベースで前年比10%台半ばの伸びとなり、約2%ポイントの為替による売上の目減りが想定されています。
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ゼネラル エレクトリック(GE) 4/30、4/30 | 売上(億ドル) | 277 | -3% | 2% | 6% |
10.17ドル、+4.5%、0.56ドル、11.60ドル | EPS(ドル) | 0.14 | -13% | 57% | -37% |
【カルプCEOの手腕に期待】
- 1-3月期決算は、航空、オイル&ガス、ヘルスケアの増益が、電力、再生エネルギーの不振をカバーして、市場予想を大きく上回る増益となりました。ただし、同決算には業績にポジティブな要因が想定よりも前倒しで起きたことを含んでいるとし、通年のガイダンスは維持されました。一方、オーガニックの受注は産業部門全体で前年同期比9%増、受注残は同6%増と今後の改善に期待を持たせるものとなっています。
- 主要部門別の受注と売上の前年同期比はそれぞれ、電力が14%減、22%減、航空が7%増、12%増、再生エネルギーが1%増、3%減、ヘルスケアが4%増、0%、オイル&ガスが同9%増、4%増です。産業部門の利益は前年同期比2%減の一方、金融部門が黒字転換して、部門利益は同14%増、純利益は同3.7倍でした。
- カルプCEOは説明会で、「19年の産業部門キャッシュフローのガイダンスは依然としてマイナスであるものの、20年にはプラスに転換しその後加速的に増加する見通しだ。」としています。
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アップル(AAPL) 4/30、5/1 | 売上(億ドル) | 580 | -5% | 1% | -5% |
210.52ドル、+4.9%、11.50ドル、215.17ドル | EPS(ドル) | 2.46 | -10% | 3% | 7% |
【中華圏の売上減少が緩和、4-6月期売上ガイダンスが予想を上回った】
- 1-3月期決算は前年同期比5%減収、同10%減益ながら、市場予想を上回りました。中華圏の売上減少が和らぎ、サービス収入の比率上昇、4-6月期のガイダンスが市場予想を上回ったことで、株価はポジティブな反応となっています。
- 品目別売上は、iPhoneが前年同期比17%減(10-12月期は同15%減)、iPadが同22%増(同17%増)、Macが同5%減(同9%増)、サービスが同16%増(同19%増)、その他製品(「Apple Watch」「AirPods」「Beats」「HomePod」など)が同30%増(同33%増)でした。主要地域別には米州が前年同期比3%増(10-12月期は同5%増)、欧州が同6%減(同3%減)、中華圏が同22%減(10-12月期は同27%減)でした。
- 4-6月期の売上ガイダンスは525〜545億ドルで市場予想の521億ドルを上回りました。株価は年初のプロフィットウォーニング直後に142ドルの安値を付けて底入れし、1/29(火)の10-12月期決算発表から上昇基調となっています。
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グラクソ スミスクライン ADR(GSK) 5/1、5/1 | 売上(億ポンド) | 76.6 | 6% | -1% | 7% |
40.41ドル、-1.8%、1.12ポンド、45.40ドル | EPS(ポンド) | 0.30 | 22% | 3% | 15% |
【19年の減益見込みを確認】
- 為替の変動による影響を除いたベースでは、売上が前年同期比5%増(10-12月期も5%増)、同じベースによる部門の売上と営業利益は、医療用医薬品部門が前年同期比2%増収、同8%減、ワクチン部門は同22%増収、同69%増益、コンシューマーヘルスケア(大衆薬)部門が同1%増収、同12%増益です。
- 医療用医薬品部門の売上は、呼吸器分野で主力の「Advair」が米国でジェネリック薬が2月に投入されたことを受けて前年同期比27%減となるも、呼吸器分野で「Ellipta」の増加、HIV治療薬の伸びによって全体として増収を確保しています。利益の低下が大きいのは、研究開発費が前年同期比15%増えていることが主因です。ワクチン部門の増収は、帯状疱疹ワクチン「Shingrix」の伸びに加え、米国でインフルエンザワクチンの使用が増えたことによります。
- 19年の業績ガイダンスは、為替の影響を除く調整後EPSの前年比5〜9%減が見込まれています。このガイダンスには、米国での「Advair」のジェネリック薬発売、がん治療薬開発のTesaro社買収、栄養補給剤事業の売却、ファイザーとのコンシューマーヘルスケア分野の合弁事業設立などが反映されています。
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サザン(SO) 5/1、5/1 | 売上(億ドル) | 54.1 | -15% | -10% | -5% |
52.52ドル、-1.3%、3.03ドル、52.08ドル | EPS(ドル) | 0.70 | -20% | -10% | -51% |
【売上・EPSとも市場予想を下回る】
- 1-3月期決算は、年初に売却が成立したフロリダの電力事業「Gulf Power」などの影響により売上は前年同期比15%減、25億ドルの資産売却益や12億ドルの税金の影響など一時的な損益を除く調整後EPSは同18%減でした。
- 資産売却は建設が遅れているボーグル原子力発電所の3号機、4号機の建設費用を賄うためです。同プロジェクトの完成まであと約3四半期と見られ、22年のフル稼働に向けて動いています。今回のリリースでもスケジュール通り進んでいることが確認されました。
- 四半期配当のBloomberg予想は1株当たり0.62ドルです。
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スクエア(SQ) 5/1、5/2 | 売上(億ドル) | 4.89 | 59% | 3% | 64% |
67.74ドル、-8.0%、0.75ドル、81.34ドル | EPS(ドル) | 0.11 | 83% | 41% | 75% |
【1-3期決算は良好、4-6月期ガイダンスは市場予想をショート】
- 1-3月期決算は売上・EPSとも市場予想を上回って好調でした。18年4-6月期に買収した「Weebly」と「Zesty」の貢献を除く売上も前年同期比49%増と大きく伸びています。規模が大きい事業者の獲得に加え、過去数年に投入した新サービスが順調に伸びています。同社サービスの支払総額は226億ドルで前年同期比27%増と、10-12月期の同28%増に近い水準が維持されました。
- 4-6月期のガイダンスは、調整後の売上(正味収入から取引にかかるコストを差し引いたもの)が5.45〜5.55億ドル(市場予想は5.55億ドル)、調整後EPSが0.14〜0.16ドル(市場予想は0.18ドル)と市場予想をショートしました。19年通期ガイダンスでは、調整後EPSの0.74〜0.78ドルが維持される一方、調整後の売上が22.2〜22.5億ドルから22.5〜22.8億ドルへ上方修正されています。
- 同社はカードによる決済を零細事業者でも使えるようにするサービスを中心に成長してきましたが、零細事業者が事業を始めるときに必要となる様々なサービスに展開することで高成長を維持しています。ただし、19年12月期の予想EPSは18年半ばに0.80ドルでピークを付けてやや下方修正気味で推移しています。ガイダンスで市場予想を押し下げてそれを上回るパターンがあり、その点については注意して見ていく必要がありそうです。
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バークシャー ハサウェイB(BRKB) 5/4、5/6 | 売上(億ドル) | 607 | 4% | -6% | 8% |
213.16ドル、-2.5%、10.44ドル、241.25ドル | EPS(ドル) | 8.81 | 4.1倍 | 3.9倍 | 赤字転換 |
【株価の回復で投資関係収支が大幅プラス】
- 1-3月期の営業利益(同社のEPSは営業利益をベースに計算されています)は、前年同期比5%増でした。「保険の引き受け」部門は減益となるも「保険の投資」部門がカバー、「鉄道・公益・エネルギー」部門が前年同期比7%増、製造業などを含む「その他事業」部門も同3%増でした。
- 投資関係収支は昨年末からの株価上昇を受けて161億ドルのプラスを計上、純利益は10-12月期の254億ドルの赤字から217億ドルに回復しています。なお、関係会社クラフトハインツの1-3月期決算が発表されていないため、発表された段階で営業利益はまだ変動する見込みです。このため、1株当たり純資産は今回のリリースでは報告されていません。
- バフェット氏は米経済専門チャンネルCNBCとのインタビューで、アマゾン株への投資を始めたことを明かして市場の注目を集めました。また、不祥事で業績が低迷しているウェルズファーゴ、株価が暴落したクラフトハインツの株式について保有継続が示唆されました。これら保有銘柄の動向については、5/15(水)が提出期限の機関投資家の株式保有明細で確認できます。
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※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
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