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2024-04-17 07:30:24

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中国株 ココがPOINT!  〜「恒大問題」に進展、当局が融資規制を緩和する可能性〜

2021/11/12
投資情報部 李 燕

11/4-11/11の香港市場はハンセン指数が横ばい、ハンセンテック指数は小幅に上昇しました。中国恒大(03333)の利払いの正念場(11月10日)と、「独身の日」イベントの最終日(11月11日)を控え、様子見ムードが漂っていました。なお、中国恒大は利払いを実施したと報じられています。「独身の日」イベントについては、EC大手2社のアリババ(09988)とJDドットコム(09618)の取引額がともに過去最高を更新したことが、12日に明らかになりました。

中国恒大の債務問題をめぐっては、いくつかの進展がみられました。今回は、中国恒大と中国当局の動きを確認したうえで、恒大問題の行方や不動産市場への影響を探ってみたいと思います。結論から申し上げますと、不動産市場は中国当局の関与のもと、ハードランディング・シナリオは回避され、ソフトランディング・シナリオとなりそうです。

図表1 ハンセン指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

注:11/11(木)までのチャートです。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成。

図表2 香港市場の業種別指数騰落率(11/11(木)までの騰落率によります)

ハンセン総合指数業種別騰落率 5日 1ヵ月 3ヵ月
ハンセン総合 0.4% -0.5% -5.7%
不動産 5.9% -0.1% -9.1%
ヘルスケア 3.1% -6.9% -18.5%
コングロマリット 1.9% -1.8% -7.3%
一般消費財 0.8% 7.7% -3.8%
工業 0.7% 1.9% -9.0%
素材 0.4% -1.6% -8.2%
情報テクノロジー -0.5% -1.1% -2.5%
金融 -0.5% -1.9% -5.2%
生活必需品 -0.5% 1.6% -3.3%
電気通信 -1.1% -1.8% -5.6%
エネルギー -1.8% -10.0% 3.2%
公益 -2.5% 0.5% -5.1%

注:業種別騰落率はハンセン総合指数が母集団です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

図表3 香港市場の個別銘柄の騰落率と関連ニュース等(11/11(木)までの騰落率によります)

ハンセン指数

騰落率上位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
01109 華潤置地 [チャイナ・リソーシズランド] 15.6% 6.4% 10.5% 中国不動産大手。業界をめぐる融資規制の緩和観測に加え、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントによる中国不動産会社の社債購入も好材料に。
00688 中国海外発展 [チャイナオーバーシーズランド] 13.2% 4.7% 0.4% 中国不動産大手。業界をめぐる融資規制の緩和観測に加え、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントによる中国不動産会社の社債購入も好材料に。
00960 龍湖集団[ロンフォー・グループ] 11.8% 10.7% -1.2% 中国不動産大手。業界をめぐる融資規制の緩和観測に加え、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントによる中国不動産会社の社債購入も好材料に。
06862 Haidilao International Holdings 11.2% -21.3% -31.5% 火鍋チェーン中国最大手。不採算店舗300店の閉鎖を発表し、買い手掛かりとなったもよう。なお、12日寄り付きは増資の発表を嫌気し、売られた。
02007 碧桂園控股 [カントリー・ガーデン] 8.2% 1.7% -9.9% 中国不動産大手。業界をめぐる融資規制の緩和観測に加え、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントによる中国不動産会社の社債購入も好材料に。
騰落率下位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
00857 中国石油天然気 [ペトロチャイナ] -2.5% -14.1% 5.7% 中国石油・天然ガス最大手。期待に反して、中国当局がガソリンと軽油の価格を据え置いたことが嫌気された。
00883 中国海洋石油 [CNOOC] -2.5% -8.7% -0.1% 中国石油・天然ガス大手。期待に反して、中国当局がガソリンと軽油の価格を据え置いたことが嫌気された。
01299 友邦保険控股[AIAグループ] -3.1% -6.4% -11.4% アジアの保険大手。7-9月期の決算発表を前に、大手証券会社が目標株価を引き下げた。
00005 HSBCホールディングス -3.6% 1.0% 3.2% 英金融大手。英中央銀行が予想外に金利を据え置いたことを受け、欧州銀行株が売られた。
01211 比亜迪 [BYD] -4.4% 16.5% 12.4% 中国EV最大手。テスラ株の大幅調整を嫌気し、連れ安に。

ハンセンテック指数

騰落率上位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
00909 Ming Yuan Cloud Group Holdin 13.6% -2.5% -15.0% ソフトウェア会社。テクニカル要因のよう。11月9日にRSIが30まで低下した後、反発した。(SBI証券取り扱いなし)
00285 比亜迪電子(国際)[BYDエレクトロニック]? 13.6% 3.2% -32.4% スマホ部品受託製造大手。「独身の日」イベントでスマートフォン販売の好調が伝わり、買い手掛かりになったもよう。
01833 Ping An Healthcare and Technology 10.4% -34.8% -54.4% 平安保険傘下のインターネットヘルス大手。規制強化懸念で大幅に売られてきたが、「独身の日」イベントで医薬品販売の好調が伝わり、買い戻された。
00241 阿里健康信息技術[アリババ・ヘルス] 7.6% -15.4% -24.3% アリババ傘下のインターネットヘルス大手。規制強化懸念で大幅に売られてきたが、「独身の日」イベントで医薬品販売の好調が伝わり、買い戻された。
06618 JD Health International Inc. 7.1% -3.9% -8.4% JDドットコム傘下のインターネットヘルス大手。規制強化懸念で大幅に売られてきたが、「独身の日」イベントで医薬品販売の好調が伝わり、買い戻された。
騰落率下位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
00268 金蝶国際軟件集団[キングディー] -1.0% -4.3% 0.4% ソフトウェア会社。企業の統合管理ソフトウエアなどを手掛ける。特段材料はなかったもよう。
03690 Meituan -1.3% 1.8% 19.1% 中国フードデリバリー最大手。滴滴出行 ADR(DIDI)が再びフードデリバリー市場へ参入すると報じられ、競争激化懸念で売られた。
09988 アリババ・グループ -1.5% -2.7% -14.6% EC大手。「独身の日」イベントをめぐり、中国当局の規制強化や恒大問題による消費への影響が懸念された。12日に発表された実際の販売実績は好調だった。
09618 JDドットコム -3.2% 0.6% 11.3% EC大手。「独身の日」イベントをめぐり、中国当局の規制強化や恒大問題による消費への影響が懸念された。12日に発表された実際の販売実績は好調だった。
02518 汽車之家 -4.8% -25.2% -7.8% 平安保険傘下の自動車インターネットプラットフォーム会社。7-9月期の決算発表を前に、大手証券会社が自動車販売の鈍化を理由に慎重な見方を示した。(SBI取り扱いなし、米国ADR(ATHM)は取り扱い銘柄です)

注:銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergをもとにSBI証券が作成。

今週の中国株市況

香港のハンセン指数とハンセンテック指数は週間で(11/11まで)、それぞれ0.1%上昇、1.4%上昇しました。米国上場のADRで構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数は、4.6%(同)上昇しました。

ナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数の上昇幅がより大きいのは、11月11日(米国現地時間)の上昇分(5.2%高)によるものです。主な上昇要因として、以下3点が挙げられます。
1)これまでに規制強化の“ターゲット”とされてきた滴滴出行 ADR(DIDI)が複数アプリの再投入を準備していると報道されました。
2)米金融大手のゴールドマン・サックス(GS)が7-9月期にアリババ ADR(BABA)、TAL エデュケーション ADR(TAL)、ニューオリエンタル エデュケーション ADR(EDU)を買い増したことが明らかになりました。
3)中国最大のネット通販セール「独身の日」イベントの取引額が好調と伝わりました。(イベントは中国現地時間11月11日まで実施されたため、取引額の判明は翌日となります)
上記の3点はいずれも、ネット大手への規制強化に対する懸念を後退させる要因となりました。

なお、11月11日までの香港市場では、業種別で不動産とヘルスケアの反発が目立ちました。不動産は、資金調達の規則が緩和される見込みとなり、好材料となりました。中国恒大の債務問題を受け、不動産業界で資金繰りの悪化が懸念されていましたが、融資緩和の観測を受け、懸念がやや後退しました。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントが中国不動産会社の社債を購入していると報じられたことも、投資家センチメントを支えました。ヘルスケアは主にインターネットヘルスが上昇を牽引しました。インターネットヘルスは規制強化懸念で大幅に売られてきましたが、「独身の日」イベントで医薬品販売の好調が伝わり、買い材料となりました。

一方、公益とエネルギーは逆行安となりました。中国当局が電力不足への対応を進めていることを背景に、発電関連株が軟調でした。エネルギーは主にペトロチャイナ(00857)やCNOOC(00883)が足を引っ張りました。中国当局がガソリンと軽油の価格を据え置いたことが嫌気されました。市場では足元の原油高を受け、ガソリンと軽油の価格引き上げを期待していました。

その他では、情報テクノロジーが小幅安となりました。インターネットヘルスは買い戻されましたが、アリババ(09988)やJDドットコム(09618)などEC大手2社がやや軟調でした。「独身の日」イベントをめぐり、中国当局の規制強化や恒大問題による消費への影響が懸念されました。販促初日の販売動向は好調でしたが、販促のピークは11月11日のため、その販売結果を見極めたいとのムードが強かったです。なお、12日朝に発表されたイベント期間中の販売実績は好調でした。アリババとJDドットコムの取引額はそれぞれ5,403億元、3,491億元となり、いずれも過去最高を更新しました(前年比増加率はJDドットコムが高いです)。中国当局の規制強化や恒大問題による消費への影響は限定的のようです。

今回のトピックス

11月11日、ブルームバーグは「中国恒大、再びデフォルト回避の見込み」と題する記事を掲載しました。不動産大手の中国恒大(03333)は10月にドル建て債の利払い期限を迎えましたが、利払いが実施できず、デフォルト懸念が浮上しました。猶予期間内(11月10日まで)に利払いができなかった場合、デフォルトとなるため、11月10日が正念場として注目されました。そんな中、中国恒大(03333)の複数の債券保有者は、利支払いを受けたもようです。現時点で(11月11日)、中国恒大がすべての債券保有者に対し利払いを実施したかどうかは不明ですが、ひとまず「恒大問題」をめぐる緊張感は和らぎました。

恒大問題をめぐっては、今後も社債の利払いや償還が続くため、その動向を引き続き注視していく必要があります。特に今後の展開で重要なカギを握るのは、中国当局の動きとなります。そこで今回は、中国恒大と中国当局の動きを確認したうえで、恒大問題の行方を探ってみたいと思います。

まず、中国恒大は9月以降、資産売却と中断していた工事の再開を進めています。

1)資産売却
・9月:傘下の盛京銀行(地方銀行)の株式19.93%を地方政府系企業に売却。
・10月:傘下の不動産管理サービス会社である恒大物業(03333、SBI証券取り扱いなし)の過半数株を、合生創展(00754)に売却することで合意。その後交渉を続けたが、最終的に交渉は決裂した。
・11月:傘下のインターネットサービス会社である恒騰網絡集団(00136)の株式を売却。
・11月:同社の電気自動車(EV)部門は、2019年に買収した英プロティアン・エレクトリックを英EVメーカーのベデオに売却。
・11月:保有するプライベートジェット機2機を売却。その他の1機についても買い手を探しているもよう。

これらの資産売却もあり、中国恒大は11月10日に利払いを実施できたとみられます。社債の利払いや償還が続くため、中国恒大は今後も資産売却に頼りながら資金を捻出することになると思います。

2)工事の再開
・10月-11月:広東省など南部の都市で40件以上の住宅プロジェクトで、中断していた工事を再開。
・その後、西部や中部の都市でも工事を再開した。
・中断しているその他の工事についても、今後、順次に再開を進めると表明。

中国恒大の工事再開は各地方政府による支援があったとみられます。工事再開に関する地方のニュースでは、必ずといっていいほど地方当局の“姿(関与)”が確認できます。その“姿”の名称は都市によって異なりますが、例として“不動産に関する苦情や紛争解決の作業チーム”、“不動産の引き渡しを確保するための専門チーム”などが挙げられます。名称から分かるように、これらの“チーム”のミッションは、中断していた工事の再開や不動産の引き渡しです。ウォールストリートジャーナルの報道によると、中国恒大がプロジェクトを抱える約200都市の大半では、中国当局の指示で、“作業チーム”が設置されています。

中国当局が工事の再開や不動産の引き渡しを重視しているのには、2つの理由があります。1つ目は、社会安定の維持です。中国恒大が開発している物件で工事の中断が長引く場合、住宅購入者による抗議活動が大規模に発展する恐れがあります。2つ目の理由は、不動産市場全体への波及に対する制御です。中国恒大の工事中断が長引けば、必然的に下請けの建設業者や他の不動産会社にも影響を与えます。政府の関与がみられなかった場合、不動産市場への見通しは一気に悲観に傾き、不動産価格の暴落を招く恐れもあります。そのような極端な状況を回避するために、中国当局は全面的でないにしても陰で支援する必要があります。地方政府が財政面で不動産業界への依存が比較的に高いことも、地方政府にとって支援の動機づけになっています。

中国当局はまた、金融面での支援を進めています。金融当局は10月に一部大手銀行に対して、第4四半期に住宅ローンの承認を加速するよう指示しました(実際10月の金融統計では、不動産向け融資が増加しました)。また11月には不動産会社による銀行間取引市場での債券発行を緩和する方向で動いています。11月11日付のダウ・ジョーンズによると、中国当局は“3つのレッドライン”規制を緩和する可能性があります。

“3つのレッドライン”規制は、中国当局が2020年9月に打ち出したものです。具体的には、下記3つに抵触した不動産会社に対し、新規の資金調達を規制したものです。
1)総資産負債比率が70%以下
2)ネットD/Eレシオが100%以下
3)現金に対する短期負債の比率が100%以下
中国恒大の場合は当時、この“3つのレッドライン”に全部抵触していたため、その後資金調達ができなくなり、デフォルト懸念が強まりました。銀行間取引市場での資金調達や“3つのレッドライン”規制が本当に緩和されるなら、不動産会社にとって資金面で大きな支援となりそうです。

以上の動きからすると、中国当局は恒大問題をめぐり、行政面や金融面で関与あるいは支援を行っています。今後、不動産市場の状況次第で、支援を拡大する可能性もあると考えます。他方、中国当局の意図は中国恒大の救済にあらず、あくまでも不動産市場や経済、金融市場への波及を制御することが主目的と思われます。総合的に考えると、不動産市場は中国当局の関与のもと、ハードランディング・シナリオは回避され、ソフトランディング・シナリオとなりそうです。

図表4 EC大手2社の「独身の日」イベントの取引額の推移(10億元)

※Syntunおよび各社発表データをもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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