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2024-11-04 16:24:57

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小型株の上昇が目立つ米国株式市場!!「ラッセル2000指数」とその注目銘柄

2020/12/16
投資情報部 榮 聡

米国株式市場では最近、小型株の「ラッセル2000指数」の上昇が注目を集めています。そこで今回は、「ラッセル2000指数」を中心に小型株についてご報告いたします。

図表1:注目銘柄

銘柄 株価(12/15) 52週高値 52週安値
iシェアーズ ラッセル 2000 ETF(IWM) 194.68ドル 194.90ドル 95.69ドル
iシェアーズ S&P 小型株 ETF(IJR) 91.28ドル 91.31ドル 47.52ドル
アピアンコープ(APPN) 143.81ドル 216.41ドル 29.07ドル
プラグ パワー(PLUG) 28.47ドル 29.69ドル 2.53ドル
ステッチフィックス A(SFIX) 64.30ドル 64.86ドル 10.90ドル
ブルックス オートメーション(BRKS) 74.88ドル 77.44ドル 21.19ドル
ブラックライン(BL) 127.20ドル 129.04ドル 38.32ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1米国市場で小型株のパフォーマンスが好調

米国株式市場では、最近小型株のパフォーマンス好調がたびたび話題になっていますので、今回は小型株の代表的指数である「ラッセル2000指数」を中心に小型株についてご報告いたします。

残念ながら当社ウェブサイトには米国の規模別指数までは掲載していません。しかし、「ラッセル2000指数」は、米国「Yahoo! Finance」のトップ画面(※外部のサイトに遷移します)の上に、S&P500指数、NYダウ、ナスダック指数とともに掲載され、市場での注目が高い株価指数です。内容は以下の通りです。

【ラッセル2000指数】
ラッセルインベストメント社が開発した米国の代表的な小型株指数で、ニューヨーク証券取引所やナスダックなどに上場している銘柄のうち、時価総額が上位1001位から3000位までの銘柄の時価総額加重平均型の株価指数です。米国の小型株ファンドのほとんどがベンチマークとして採用しています。

このラッセル2000指数について、年初来のパフォーマンスをS&P500指数と比較したのが図表2になります。

ラッセル2000指数はS&P500指数に対して、新型コロナウイルスのパンデミックで下落した3月に劣後し始め、企業の信用リスクが意識された4月中旬には最大で16%ポイントの差が開きました。

一方、10月頃まで一進一退となった後に徐々にアンダーパフォームを縮め、COVID-19ワクチンの開発成功のニュースが出た11/9(月)以降は急速にアウトパフォームし、直近では昨年末来のパフォーマンスと並ぶまでに回復しています。

10月末から12/11(金)までの指数騰落率は、S&P500指数が12.0%に対してラッセル2000指数は24.0%に達しています。ワクチン接種の普及による経済の回復を織り込む相場が続けば、ラッセル2000指数はS&P500指数を今後も上回って推移する可能性があり、注目できると考えます。

米国の小型株に投資するには、相対的にリスクが高いことを考えると、まず、分散投資できているETFが考えられるでしょう。当社で取り扱っている商品は、図表3の通りです。

純資産額が大きいのは、小型株 ETF iシェアーズ ラッセル 2000 ETF(IWM)iシェアーズ・コア S&P(IJR)です。前者はラッセル2000指数に、後者はS&P小型株600指数に連動を目指すもので、いずれも米国の代表的な小型株ETFです。

図表2:S&P500指数とラッセル2000指数

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表3:米国の小型株ETF(当社の取り扱い分)

コード

銘柄名

対象指数

純資産額
(億ドル)

IJR

iシェアーズ・コア S&P 小型株 ETF

S&P 小型株600 インデックス

511

IWM

iシェアーズ ラッセル 2000 ETF

Russell 2000 インデックス

510

VB

バンガード スモールキャップ ETF

CRSP USスモールキャップ・インデックス

343

VIOO

バンガード S&Pスモールキャップ600 ETF

S&Pスモールキャップ600指数

111

VBR

バンガード 米国スモールキャップ・バリューETF

CRSP USスモールキャップ・バリューインデックス

165

VBK

バンガード 米国スモールキャップ・グロースETF

CRSP USスモールキャップ・グロースインデックス

132

VIOV

バンガード S&Pスモールキャップ600バリューETF

S&Pスモールキャップ600バリューインデックス

6

VIOG

バンガード S&Pスモールキャップ600グロースETF

S&Pスモールキャップ600グロースインデックス

4

  • 注:純資産額は12/11(金)時点です。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

2ラッセル2000指数の何があがっているのか?

ラッセル2000指数はあまり馴染みがないという方も多いと思いますので、その中身をみてみましょう。

まず、「米国で小型株指数が好調」という市場コメントをみて筆者がイメージしたのは、ワクチン開発の進展で経済活動の正常化が期待され、内需のサービス業的な小型企業が物色されているのだろうということでした。

しかし、今回調べてみて気がついたのは、ラッセル2000指数の業種ウェイトがS&P500指数のそれと大きく異なっており、上昇をけん引していたのはヘルスケア銘柄だったことです。

業種ウェイトは図表4の通り、S&P500指数に比べて「情報技術」や「コミュニケーション・サービス」の構成比が低く、「ヘルスケア」「金融」「資本財・サービス」が高くなっています。さらに、図表5に株価騰落率の上位銘柄をリストアップ(時価総額50億ドル以上の株価騰落率上位20銘柄)したところ、ヘルスケアの銘柄が多く、また、直近の純利益が赤字であるものが多くなっていることがわかります。

ヘルスケアが買われている背景には、S&P500指数の業種別EPSでヘルスケアは7-9月期に前年同期比プラスを維持して景気後退下でのディフェンシブ性が発揮されていたことがあるでしょう。また、赤字企業が買われている理由として、COVID-19のワクチン開発成功が信用リスクへの警戒を後退させているとみられます。

さらに、ファイザーとモデルナが開発に成功したCOVID-19ワクチンは「mRNA(メッセンジャーRNA)」という新しい技術によるもので、ライフサイエンスのフロンティアが切り開かれたという意味があると考えられます。これが同様のフロンティアを追っている企業の株価に刺激を与えた可能性があります。この点については、また、稿を改めて考えてみたいと思います。

ただ、薬の企業の投資判断には、高度な専門知識が必要なケースが多いため、信用リスクが相対的に高い小型株ということも鑑み、今回はこれを避けました。ソフトウェア、資本財、インターネットの企業を5つ選んで次節でご紹介いたします。

図表4:S&P500指数とラッセル2000指数の業種ウェイト

  • 注:ラッセル2000指数の業種ウェイトは、筆者が個別銘柄の12/8(火)のデータを用いて計算したものです。業種分類できない5銘柄を除いています。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表5:ラッセル2000指数の株価騰落率上位銘柄(過去3ヵ月、時価総額50億ドル以上)

銘柄名(コード)

事業内容

時価総額
(億ドル)

株価騰落率
(3ヵ月)
(%)

実績純利益
(百万ドル)

アピアンコープ(APPN)

業務自動化のためのロー・コード・ソフトウェア開発プラットフォームを提供する企業。

107.1

159.4

-50.7

フェイト セラピューティクス(FATE)

iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った細胞治療の開発を行っている企業。

82.7

153.0

-98.1

コディアック サイエンシズ(KOD)

眼の慢性疾患に対する治療薬を開発する臨床段階のバイオ医薬品企業。

63.8

139.5

-47.4

デナリ セラピューティクス(DNLI)

アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患患者に対する治療薬を開発するバイオ医薬品企業。

96.0

121.8

-197.6

プラグ パワー(PLUG)

フォークリフト、配送車、バックアップ電源などに燃料電池システムを提供する代替エネルギー技術の企業。

118.5

118.7

-85.5

ツイスト バイオサイエンス(TWST)

独自の半導体ベースの技術により合成DNAを製造して、医療、農業、工業などの分野の顧客に提供する企業。

68.3

118.3

-139.9

アローヘッド ファーマシューティカルズ(ARWR)

RNA干渉(RNAi)治療法の開発を行うバイオテクノロジーの企業。遺伝子の発現を抑制する難病治療向けの医薬品を開発。

76.1

117.6

-84.6

クリアフィールド(CLFD)

米国内で鉄鉱石を供給する企業であったが、2020年3月にAKスチール、2020年12月にアルセロールミタルの米国事業を買収して鉄鋼生産へ業態転換している。

64.9

114.7

292.8

ステッチフィックス A(SFIX)

オンラインパーソナルスタイリングサービスを提供する企業。推奨アルゴリズムとデータサイエンスにより、サイズ、予算、スタイルに基づいて衣料品をパーソナライズする。

63.0

108.5

-67.1

ウルトラジェニクスファーマシューティカル(RARE)

代謝、ミオパチー、グルクロニダーゼ、稀少遺伝性疾患の治療薬およびシアル酸を開発するバイオテクノロジー企業。

95.6

87.6

-402.7

ツー シックス(IIVI)

オプトエレクトロニクス部品を開発・製造する企業で、産業用レーザ用二酸化炭素(CO2)レーザ、ファイバビーム伝送システムなどに使用される。

72.7

83.2

-67.0

ブリッジバイオ ファーマ(BBIO)

遺伝病を標的とする医薬品の発見・開発を行うバイオ医薬品企業。

75.2

68.3

-260.6

ミラティ セラピューティクス(MRTX)

腫瘍治療法の専門企業。 限定した患者グループ向けの治療法のパイプラインを開発する。

121.3

63.5

-213.3

TGセラピューティクス(TGTX)

臨床期向けバイオ医薬品企業。が ん治療およびその他の治療困難な病気の治療用として、革新的医薬品の買収、開発、商品 化に注力する。

55.6

63.5

-172.9

インビテ(NVTA)

遺伝子診断企業。遺伝子診断、遺伝性疾患の着床前診断・キャリアスクリーニング、流産分析、および遺伝性がんの情報などを提供する。

100.0

61.1

-242.0

ブルックス オートメーション(BRKS)

自動化ソリューションの企業。世界の半導体関連産業を対象に、製造工程の自動化ソリューションを提供する。

52.8

60.9

64.9

アミカス セラピューティクス(FOLD)

希少代謝性疾患の患者のための医薬品の発見・開発・提供を行うバイオテクノロジー企業。

57.6

60.5

-356.4

ブループリント メディスン(BPMC)

バイオ医薬品メー カー。がんに対する分子標的治療薬・治療方法の研究・製造に従事する。

63.9

59.0

-347.7

ナテラ(NTRA)

遺伝子診断企業。受胎前および出産前遺伝子検査サービスを提供。着床前遺伝子診断、異数性スクリーニング、転位、単一遺伝子検査サービスも提供。

82.4

56.5

-124.8

ブラックライン(BL)

ソフトウエアメーカー。エンタープライズ・ソフ トウエアの開発・販売に従事、会計の複雑な業務や手作業、反復作業を自動化・管理するクラウドベースのソフトウエアを提供する。

72.4

56.2

-32.5

  • 注:純資産額と株価騰落率は12/11(金)時点です。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

3注目銘柄をご紹介

アピアンコープ(APPN)

  • 業務自動化のためのロー・コード・ソフトウェア開発プラットフォームを提供する企業。ロー・コード・ソフトウェア開発は、プログラミング言語の知識がなくとも、ビジュアル的な操作でソフトウェアを開発することで、業務を熟知した人がプログラミング言語を知らなくても自動化ソフトウェアを開発できることから、市場が拡大しています。
  • 調査会社ガートナーのマジッククアドラント2020では、「エンタープライズ・ロー・コード・プラットフォーム」の分野でグローバル市場のリーダー企業の1社と認められています。この市場はガートナーが、「2023年までに中堅から大企業の50%以上がロー・コード・アプリケーション・プラットフォームを採用しているだろう。」と予想する成長市場です。
  • 2020年7-9月期の売上は、77.3百万ドルでサービス収入が落ち込んだことから前年同期比17%増にとどまりました。しかし、売上の44%を占めるクラウド・サブスクリプション収入が同39%増となっており、おなじく15%を占めるオンプレミス・サブスクリプション収入も同28%増と伸びて、コア部分の高成長が続いています。

プラグ パワー(PLUG)

  • 1997年に創業した燃料電池システムの設計・開発・製造・商用化を行っている企業です。同社の燃料電池は水素を燃料とするプロトン交換膜(PEM)燃料電池システムです。主力製品の「GenDrive」は物流倉庫内で使われるフォークリフトやその他ハンドリング機器に使われています。また、「ProGen」は燃料電池のスタックおよびエンジン技術からなり、公益事業向けの定置型バックアップ電源やUPSなど物流事業者の配送用車に利用されています。
  • 2019年にはロボット向けなどコンパクトな燃料電池システムの技術をもつカナダのEnergyOrを買収したほか、2020年半ばには北米における水素生産の最大手の一社であるUnited Hydrogen Groupなどを買収して関連事業の垂直統合を進めています。
  • 20年7-9月期は、売上が前年同期比80%増と伸びましたが、純損失は前年同期の18百万ドルから39百万ドルに増えています。売上のうち、燃料電池システムと関連インフラの売上は前年同期比2.1倍に拡大して需要は強いと考えられます。

ステッチフィックス A(SFIX)

  • 2011年に創業した米国のオンラインパーソナルスタイリングサービスです。顧客に対して行うサイズ、好み、ライフスタイル、予算などに関するアンケートをもとに、同社のデータサイエンティストやスタイリストが個々の顧客のために洋服や靴などを提案するサービスです。自社ブランドのほか、1,000以上の外部ブランドから選んで送られたものから、気に入ったものを購入、そうでないものは送り返すことができます。
  • アクティブ顧客数は、18年度末274万、19年度末324万、20年度末352万と順調に拡大しています。営業利益率は20年7月期にマイナス3%となっていますが、長期的には売上拡大による販売管理費率の低下によって10〜12%の水準を目標としています。
  • 20年8-10月期の売上は前年同期比10%増でした。多くのアパレル企業が売上を減らす中、相対的に堅調な業績と言えるでしょう。21年7月期の売上について、最近の顧客の増加動向や「Direct Buy」サービスの拡張から、前年比20〜25%増のガイダンスを出しています。

ブルックス オートメーション(BRKS)

  • 半導体業界およびライフサイエンス業界向けに、製造工程の自動化ソリューションを提供する企業です。売上の約6割を占める半導体業界向けでは、真空環境下でのウエハーハンドリング装置や汚染制御装置などを提供、アプライドマテリアルズ、サムスン電子、マイクロンテクノロジーなどが顧客です。売上の約4割を占めるライフサイエンス業界向けでは、検体の貯蔵管理システム、血液分画システム、検体のハンドリングシステムなどを提供、アストラゼネカやアッヴィなどが顧客に含まれています。
  • 同社はマイナス150℃という超低温でサンプルを3時間超持ち運ぶことができるシステム「CryoPod Carrier」を提供しています。ファイザーとバイオエヌテックが開発したCOVID-19ワクチンはマイナス70℃以下で保管する必要があり、ワクチンが各地に配布される際に同社製品に対する需要が拡大する可能性もあり、注目できるでしょう。
  • 20年7-9月期は、売上が前年同期比24%増へ加速し、調整後EPSは同倍増と好調でした。半導体業界向けは真空システムが7割近く伸びるなどして売上が同31%増で営業利益率が7.2%ポイント拡大、ライフサイエンス業界向けは消耗品やサービスがけん引して売上が同15%増で営業利益率が9.0%ポイント拡大しています。

ブラックライン(BL)

  • エンタープライズ・ソフ トウエアの開発・販売を行う企業で、会計の複雑な業務や手作業、反復作業を自動化・管理するクラウドベースのソフトウエアを提供しています。同社のソフトウエアは、NetSuite、Oracle及びWorkdayを含む30以上のエンタープライズリソースプランニング(ERP)システム、並びに多くの金融システムとアプリケーションからのデータを統合・取得することができます。
  • 顧客企業は130ヵ国にわたり3,200社以上、ユーザー数は28万人以上です。同社日本サイトでは、イーベイ、ナスダック、コカ・コーラ、フィリップス、日本通運、日本ガイシなど大企業の導入事例が掲載されています。調査会社Frost&Sullivanは、ブラックラインが事業を展開する対象市場は、16.5万社と13百万人の財務・会計のプロが潜在顧客となり得る最大170億ドルの市場と推定されています。
  • 20年7-9月期決算は売上が90.5百万ドルで前年同期比21%増、調整後純利益が15.1百万ドルで同2.1倍と好調です。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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  • 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
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