“「トランプ劇場」が加速する展開か?”
- 11/3の米大統領選まで残り約5ヵ月半となり、米国株式市場はトランプ大統領とバイデン前副大統領とで繰り広げられる予定の選挙戦を軸に動くことが予想される。2020/4下旬のUSAトゥデイ紙などが実施した世論調査では、トランプ大統領は新型コロナウイルス危機で痛手を受け、無党派層の支持率低下からバイデン氏にリードを許していると伝えられている。現職の優位性を生かし、トランプ大統領は今後思い切った戦略・政策を打ち出してくるものと予想される。
- まず、選挙直前の7-9月に向けて雇用を急回復させる政策が求められよう。2020/3中旬から5/9終了週までの8週間で新規失業保険請求件数が3,650万件に達し、5人に1人以上が失業した計算となった。トランプ政権の新型コロナウイルス対策による家計への現金給付が迅速に行き渡った効果もあり、5/15発表の5月のミシガン大学消費者態度指数(速報値)における「現在の景況感」は前月比8.7ポイント上昇の83.0となった。5/15には民主党が主導する3兆ドルの新型コロナウイルス対策第4弾が下院で可決されたが、トランプ大統領は「給与税」の減税や雇用の受け皿となるインフラ投資を軸とした独自の対策を検討する考えを表明。大規模経済対策の追加が期待されるなか、4-6月に米国株相場が下落する局面があったとしても7-9月に切り返して上昇する相場展開が想定されよう。また、サービス業に係る営業の再開は雇用回復に大きな効果が期待できることから、外食や映画館、テーマパークなども早晩営業の再開が見込まれよう。
- 次に、中西部のラストベルト(錆びた工業地帯)や農家の支持を固めるため、中国の不公正な政策への批判を強め強硬策を打ち出してくる可能性があろう。特に、新型コロナウイルス感染拡大への責任の所在に関し中国への批判を強めている点は昨年までの米中摩擦には無かった点であり、この点に関し5/14にトランプ大統領は中国と断交する可能性までほのめかした。5/15には米商務省が中国のファーウェイに対する事実上の禁輸措置の強化を発表。この措置により、米国製の半導体製造装置を使う場合は米国外で製造した半導体でもファーウェイに輸出できなくなる。これに対し、 アップル(AAPL)や クアルコム(QCOM)が中国政府の対抗措置の標的となる可能性があると報じられているが、その一方、ファーウェイを中心に中国勢が先行している次世代5G通信競争において、米国企業が追いつこうとする動きが加速化することも考えられよう。米中摩擦の激化の中でも5G関連に強いテクノロジー・半導体関連企業は有望だろう。
- 5/19号では、 アプライド・マテリアルズ(AMAT)、 シスコシステムズ(CSCO)、 ダナハー(DHR)、 ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー(DIS)、 フェイスブック(FB)、 マイクロソフト(MSFT)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(5/15現在)
主要企業の決算発表予定
5月19日(火) | ウォルマート、ホーム・デポ、アドバンス・オート・パーツ、コールズ |
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5月20日(水) | テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア、エクスペディア・グループ、シノプシス、アナログ・デバイセズ、ロウズ、マケッソン、ターゲット |
5月21日(木) | インテュイット、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、ロス・ストアーズ、アジレント・テクノロジー、エヌビディア、メドトロニック、ホーメルフーズ、TJX |
5月22日(金) | ディア |
主要イベントの予定
5月19日(火) |
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5月20日(水) |
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5月21日(木) |
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5月22日(金) |
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5月25日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アプライド・マテリアルズ(AMAT)市場:NASDAQ ・・・2020/8/13に2020/10期3Q(5-7月)の決算発表を予定
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シスコシステムズ(CSCO)市場:NASDAQ ・・・2020/8/14に2020/7期4Q(5-7月)の決算発表を予定
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ダナハー(DHR)市場:NYSE ・・・2020/7/17に2020/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー(DIS)市場:NYSE ・・・2020/8/6に2020/9期3Q(4-6月)の決算発表を予定
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フェイスブック(FB)市場:NASDAQ ・・・2020/7/24に2020/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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マイクロソフト(MSFT)市場:NASDAQ ・・・2020/7/17に2020/6期4Q(4-6月)の決算発表を予定
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