“ウイルス封じ込めから共存への転換と株式市場”
- 米国人がまとまった休みを取る時期は日本ほど決まった時期があるわけではないが、7/4の独立記念日は多くの人が前後に有休を付けて連休にし、実家へ帰りつつ家族旅行を楽しむ場合が多いようだ。日本のお盆休みのようなものだろうか。その分、相場の世界では祝日前にポジションが縮小され、祝日後に新規のポジションが増える傾向も出て来やすいだろう。
- 振替休日(7/3)の前3日間(6/30-7/2)に重要指標の発表が集中するなか、7/1発表の6月のISM製造業景況指数は52.6となり好不況の境目である50を4ヵ月ぶりに上回った。7/2発表の6月の雇用統計では非農業雇用者数が前月比480万人増、失業率が前月比2.2%ポイント低下の11.1%となるなど雇用の改善が示された。更に、6/30にムニューシン財務長官が下院金融委員会での証言で示唆したとおり、新型コロナウイルスの打撃を受けた中小企業への資金支援策である給与保護プログラム(PPP)の申請期限を8/8まで延長する法案が7/4に成立した。年度の後半開始直後、かつ祝日明けで新規に株式のポジションを取りたい投資家の立場からすれば、買いから入りたい局面なのかも知れない。
- その一方、米国における新型コロナウイルス感染拡大の勢いは衰える兆しを見せない。全米の新規感染者数が7/1から3日連続で5万人を上回り、7/5には全米人口1位と3位のカリフォルニア州とフロリダ州の新規感染者数が1万人を上回った。経済活動再開にブレーキがかかるのではないかという懸念に対し、ホワイトハウスが「We need to live with it」(我々はコロナウイルスと共存することが必要だ)というメッセージを用意していると伝えられた。新型コロナウイルスを封じ込めるのではなく、リスクを取って共存し、経済を優先する方針がトランプ政権より近々示されるかも知れない。また、感染拡大への懸念が高まることにより、FRBの金融緩和政策、および政府の財政による資金支援策の強化への期待が高まり、株価の上昇につながりやすい面が出て来ると考えられる。
- 新型コロナウイルスに関し、7/3、世界保健機関(WHO)がワクチン候補の臨床試験の暫定結果を向こう2週間以内に入手すると明らかにした。また、トランプ大統領が、6/24にワクチンや治療薬について「大きなサプライズ」を示唆したほか、7/2に、ワクチン候補3種類が有望とみられ、近く使用が可能になると考えていると述べた。バイオテクノロジーや医薬品メーカーの株価が刺激されやすい状況であることも株価の下支え要因となろう。(笹木)
- 7/7号では、 アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、 アメリカン・エキスプレス(AXP)、 IQVIA・ホールディングス(IQV)、 パロアルトネットワークス(PANW)、 ヴイエムウェア(VMW)、 Slack Technologies Inc(WORK)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(7/2現在)
主要企業の決算発表予定
7月7日(火) | ペイチェックス |
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7月9日(木) | ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス |
7月13日(月) | ペプシコ |
主要イベントの予定
7月7日(火) |
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7月8日(水) |
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7月9日(木) |
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7月10日(金) |
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7月13日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)市場:NASDAQ ・・・2020/7/30に2020/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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アメリカン・エキスプレス(AXP)市場:NYSE ・・・2020/7/24に2020/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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IQVIA・ホールディングス(IQV)市場:NYSE ・・・2020/7/24に2020/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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パロアルトネットワークス(PANW)市場:NYSE ・・・2020/9/4に2020/7期4Q(5-7月)の決算発表を予定
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ヴイエムウェア(VMW)市場:NYSE ・・・2020/8/23に2021/1期2Q(5-7月)の決算発表を予定
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Slack Technologies Inc(WORK)市場:NYSE ・・2020/9/3に2021/1期2Q(5-7月)の決算発表を予定
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