“バリュー株へのシフトで注目される銘柄”
- 資産運用世界最大手のブラックロック(BLK)が7/6の週次コメンタリーで投資ファクター別のバリュー投資をアンダーウエイトから中立に1ランク格上げしたのに続き、7/14、米投資家のグロース氏が短期的にはグロース株よりもバリュー株を選好すべきとの投資見通しを公表。テスラ(TSLA)、アマゾン(AMZN)、ネットフリックス(NFLX)、エヌビディア(NVDA)など移動平均線からの乖離率が拡大傾向にあったNYSE FANGプラス指数構成銘柄が揃って7/13にローソク足で大きな陰線を付けて短期的に下落に転じた。更に、7/16にネットフリックス(NFLX)が好調な4-6月期決算を発表したものの翌日の株価は6%以上下落したほか、7/15発表の半導体露光装置大手 ASMLホールディングス(ASML)が増収増益ながら市場予想を下回るなど業績に対する市場の期待のハードルが高まりつつあり、好調な決算であっても株価上昇基調を維持しにくいことを窺わせる内容だった。
- これに対し、7/20以降に4-6月決算発表を迎えるバリュー株の中で配当利回りが注目される銘柄の予想配当年利回り(7/17終値)は、7/20予定のIBM(IBM)が5.2%、7/21予定の フィリップ・モリス・インターナショナル(PM)が6.24%、7/23予定のDOW Inc(DOW)が6.41%、AT&T(T)が6.88%、7/24予定のベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)が4.37%である。FRBによる金融緩和政策に伴って米国10年国債利回りが0.6%台、30年国債利回りが1.3%台まで低下している現状からすれば、これらの高配当利回り株はグロース株からの資金シフトの受け皿として十分に魅力的な投資機会を提供していると言えそうである。
- また、米国の主要銀行はFRBによって9月まで増配や自社株買い再開を禁止されているなか、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー(JPM)やゴールドマン・サックス(GS)などの主要銀行の4-6月決算は、コロナ禍の危機および当局の対策を受けた金融市場の変動性の高まりに伴う債券・株式トレーディング収入増の恩恵を受けた。金融機関の高リスク自己勘定取引を禁じたボルカー・ルールなどの規制が6/25に緩和されて収益拡大の機会が増えていることが見直される余地があり、銀行株もグロース株からの資金シフトの対象となり得よう。
- 更に、7/14に英仏両政府が新型コロナウイルス対策で公共の場でのマスク着用義務を強化する方針を示し、米国でもマスク着用義務化に関し全米を巻き込んだ論争が勃発している。医療用マスク「N95」を生産する3M(MMM)もバリュー株の中でも重要な位置を占めよう。(笹木)
- 7/21号では、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)(JNJ)、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー(JPM)、ITT(ITT)、イリノイ・ツール・ワークス(ITW)、ルルレモン・アスレティカ(LULU)、アトラシアン(TEAM)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(7/17現在)
主要企業の決算発表予定
7月21日(火) | インテュイティブサージカル、ユナイテッド・エアラインズHDS、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、コメリカ、コカ・コーラ、プロロジス、テキサス・インスツルメンツ、ロッキード・マーチン、パッカー、シンクロニー・ファイナンシャル、フィリップ・モリス・インターナショナル |
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7月22日(水) | CSX、マイクロソフト、アライン・テクノロジー、ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズ、エキファックス、キンダー・モルガン、グローブライフ、ラスベガス・サンズ、チポトレ・メキシカン・グリル、ワールプール、アンフェノール、ベイカー・ヒューズ、キーコープ、ノーザン・トラスト、ナスダック、サーモフィッシャーサイエンティフィック、バイオジェン、マーケットアクセスHDS、IQVIAHDS、HCAヘルスケア、テレダイン・テクノロジーズ、テスラ、チェックポイント・ソフトウエア・テクノロジーズ |
7月23日(木) | インテル、Eトレード・ファイナンシャル、スカイワークス・ソリューションズ、エドワーズライフサイエンス、SVBファイナンシャル・グループ、ファーストエナジー、ベリサイン、ユニオン・パシフィック、サウスウエスト航空、CMSエナジー、キンバリー・クラーク、トラクター・サプライ、Dow Inc、M&Tバンク、トラベラーズ、パルトグループ、ハーシー、アレジオン、ハンチントン・バンクシェアーズ、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ、AT&T、ウエスト・ファーマシューティカル・サービシズ、ペンテア、シンタス、シトリックス・システムズ、アメリカン航空グループ、フリーポート・マクモラン、アラスカ・エア・グループ、ツイッター、ニューコア、フィフス・サード・バンコープ、ダナハー |
7月24日(金) | シュルンベルジェ、ベライゾン・コミュニケーションズ、アメリカン・エキスプレス、アイデックス、ハネウェルインターナショナル、ネクステラ・エナジー、TモバイルUS |
7月27日(月) | F5ネットワークス、プリンシパル・ファイナンシャル・グループ、ハズブロ、エイブリィ・デニソン、エヌエックスピー・セミコンダクターズ |
主要イベントの予定
7月21日(火) |
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7月22日(水) |
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7月23日(木) |
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7月24日(金) |
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7月27日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)(JNJ)市場:NYSE ・・・2020/10/13に2020/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー(JPM)市場:NYSE ・・・2020/10/13に2020/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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ITT(ITT)市場:NYSE ・・・2020/7/31に2020/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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イリノイ・ツール・ワークス(ITW)市場:NYSE ・・・2020/7/31に2020/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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ルルレモン・アスレティカ(LULU)市場:NASDAQ ・・・2020/9/7に2021/1期2Q(5-7月)の決算発表を予定
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アトラシアン(TEAM)市場:NASDAQ ・・・2020/7/30に2020/6期4Q(4-6月)の決算発表を予定
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