マーケット > レポート > 米国ウィークリー・マンスリー >
“隠れトランプとペンシルベニアが勝敗を分ける?”
2020/11/4
提供:フィリップ証券株式会社
リサーチ部:笹木 和弘、李一承
今後のグローバルマネーの大きな流れの枠組みを方向づけると見られる米大統領選挙ウィークが到来した。世論調査はバイデン候補リードと伝えられるが、世論調査データ収集サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によれば、11/2現在、2票以上の割り当てがある接戦州12州(195票)について、(1)バイデン候補が6ポイント以上リードしている州が2州(合計26票)、(2)同候補が3-5ポイントのリードは3州(合計36票)、(3)同候補が0-2ポイントのリードは5州(合計89票)、(4)トランプ候補がリードしているのが2州(合計44票)となっている。先ず問題となるのが、激戦州においてトランプ大統領支持を公表することで生活上の不利益を被ることを恐れる「隠れトランプ」の存在が指摘されている点である。その点を考慮すると、上記(3)の州はトランプ大統領が獲得する可能性が高いと見るべきだろう。そのような前提の下であっても、バイデン候補が上記の(1)と(2)の62票を獲得できれば、過半数(270票)を超える278票の獲得を見込むことができる。その一方、上記(2)の州の中でペンシルベニア州(20票)をトランプ大統領が獲得すれば、バイデン候補の獲得票は過半数未満の258票にとどまる。ペンシルベニア州の結果が大統領選挙の結果を大きく左右する可能性が高いと考えられよう。 選挙後に株式相場が下落する場合として、まず、バイデン候補が大統領に当選した場合でも米議会上院の過半数を共和党が押さえることで、追加経済対策などに係る財政支出規模の小規模化が見込まれる場合、次に、選挙結果が短期間で判明せずに法廷闘争にもつれ込んで解決が長引く場合が挙げられよう。下落した際の下値の目処とは、長期金利上昇に伴うVIXショック時の2018年2月の安値23,360ドル、次に、ペンス副大統領の演説に端を発し、米中摩擦激化に伴い相場が下落した2018年12月の21,712ドルが想い起される。特に、今年9/24に押し目を付けて反転上昇した価格が26,537ドルであり、2018年1月の高値である26,616ドルと同水準であることもあり、26,600ドル近辺を中心とした価格帯のレンジが意識されやすい面があろう。レンジ上限を今年3月以降の高値である9/3の29,199ドル近辺と見れば、下限は24,000ドル近辺と見る余地もあろう。 10/29、大型ハイテク株のGAFAの2020年7-9月決算が発表された。10/30終値での200日移動平均からのプラス乖離率は、アルファベット(GOOG) が13.6%、アマゾン・ドット・コム(AMZN) が15.8%、フェイスブック(FB) が16.0%、アップル(AAPL) が20.3%。移動平均からの乖離率縮小時が狙い目だろう。(笹木) 11/4号では、アクティビジョン・ブリザード(ATVI) 、チェックポイント・ソフトウエア・テクノロジーズ(CHKP) 、3M(MMM) 、MINISO Group Holding(MNSO) 、マイクロソフト(MSFT) 、リングセントラル(RNG) を取り上げた。
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(10/30現在)
11月4日(水) リンカーン・ナショナル、マラソン・オイル、クアルコム 、リバティ・グローバル、CFインダストリーズ・ホールディングス、アルベマール、センチュリーリンク、パイオニア・ナチュラル・リソーシズ、ペイコム・ソフトウエア、アンシス、ベリスク・アナリティクス、ホスト・ホテル・アンド・リゾート、ホロジック、メットライフ 、オールステート、ジャック・ヘンリー・アンド・アソシエーツ、エクスペディア・グループ 、タイラー・テクノロジーズ、アメリカン・ウォーター・ワークス、アパッチ、メルカドリブレ、パブリック・ストレージ、エクストラ・スペース・ストレージ、コルボ、ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス、ペリゴ 11月5日(木) EOGリソーシズ、リパブリック・サービシズ 、リージェンシー・センターズ、ノートンライフロック、テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア、アメレン、マイクロチップ・テクノロジー、バイオマリン・ファーマシューティカル、フリートコア・テクノロジーズ、Amcor PLC、ライブ・ネーション・エンタテインメント、フローサーブ、エレクトロニック・アーツ 、メトラー・トレド・インターナショナル、NRGエナジー、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG) 、ニューズ・コーポレーション、モンスタービバレッジ、DXCテクノロジー、TモバイルUS 、ブッキング・ホールディングス 、ゼネラル・モーターズ(GM) 、ディスカバリー、デューク・エナジー、インサイト、センプラ・エナジー、シグナ、Corteva Inc、カーディナルヘルス、ホーリーフロンティア、ブリストル マイヤーズ スクイブ 、ベクトン・ディッキンソン、ゾエティス、デンツプライ・シロナ、Linde PLC、リジェネロン・ファーマシューティカルズ 、ウエストロック、ドミニオン・エナジー、アメリソースバーゲン、ボール 、ハンティントン・インガルス・インダストリーズ、エバジー、センターポイント・エナジー、PPL、バルカン・マテリアルズ、アイアンマウンテン、ヘインズブランズ、ニールセン・ホールディングス、パーカー・ハネフィン 11月6日(金) マリオット・インターナショナル 、ジンマー・バイオメット・ホールディングス、ハーシー、バイアコムCBS、AES、ベンタス、CVSヘルス 11月7日(土) バークシャー・ハサウェイ 11月9日(月) オキシデンタル・ペトロリアム、サイモン・プロパティー・グループ、インターナショナル・フレーバー&フレグランス、ハウメット・エアロスペース、マクドナルド
11月4日(水) FOMC(5日まで)、米が「パリ協定」正式離脱 米ADP雇用統計(10月) 、貿易収支(9月)、ISM非製造業総合景況指数(10月) 11月5日(木) 米FOMC声明発表および議長記者会見、米新規失業保険申請件数(10月31日終了週) 11月6日(金) 米雇用統計(10月) 、卸売在庫(9月)、消費者信用残高(9月) 11月9日(月)
1979年創業のアクティビジョンが2008年にヴィヴェンディ・ゲームと合併して設立したゲームソフト開発企業。子会社のキング・デジタル・エンターテイメントと共に世界的ヒットのスマホゲームを擁する。 10/29発表の2020/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比52.4%増の19.54億USD、Non-GAAPの調整後EPSが同2.3倍の0.88USD。各々で著名ゲームタイトルを有するアクティビジョン、ブリザード、およびキングの3事業部門合計の月間平均稼働ユーザー数は同23.4%の3.90億人に伸びた。 2020/12期4Q(10-12月)会社計画は、売上高が前年同期比56.1%増の20.01億USD、調整後EPSが同65.8%増の0.63USD。対3Q比では、売上高が2.4%増、調整後EPSが28.4%減と慎重な見通し。その一方、同社は10/29、新たに2,000人以上のスタッフを雇用する予定と発表。主力の「Call of Duty」シリーズに続き、「Candy Crush」や「World of Warcraft」などを強力タイトルに育成する方針だ。(李)
1993年に設立。ファイアウォールとVPN製品などのネット・セキュリティ製品を手掛け、統合プラットフォーム「インフィニティ・アーキテクチャ」を提供。世界10万以上の企業・組織が同社の製品を利用。 10/22発表の2020/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比3.7%増の5.09億USD、Non-GAAPの調整後純利益が同6.5%増の2.31億USD。プロダクト&ライセンス部門が「Quantum」シリーズへの乗り換え進展により同1.6%増収だったほか、セキュリティ・サブスクリプション部門が同10%増と伸びた。 2020/12期4Q(10-12月)会社計画は、売上高が5.25-5.75億USD(前年同期5.44億USD)、調整後EPSが1.98-2.18USD(同2.02USD)。テレワーク導入が広がるなか、オフィス外でネットに繋いで仕事する際のセキュリティへの脅威に対し、同社の統合プラットフォーム「インフォニティ・アーキテクチャ」はユーザー単位のサブスクリプション・モデルの定額課金で提供。ユーザー数を伸ばしている。(李)
1902年設立の化学・電気素材メーカー。安全&産業(作業現場向け)、輸送&電子機器、ヘルスケア、および消費者の4事業セグメントの下で運営され、世界中で多様な事業部門を展開する。 10/27発表の2020/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比4.5%増の83.5億USD、Non-GAAPの調整後純利益が同6.1%減の14.13億USD。部門別の調整後EBITDAでは、輸送&電子機器が同10.2%減だが、安全&産業が同27.0%増、ヘルスケアが同25.8%増、消費者が同13.6%増だった。 コロナ禍による不確実性を考慮して通期の会社計画を取り下げたが、通期設備投資計画を従来計画の13億USDから14-15億USDに引き上げた。手術件数減少によるヘルスケア部門の減速が懸念される一方、夏以降の世界での新車販売持ち直しに伴う輸送&電子機器部門の回復が見込まれるほか、フリーキャッシュフローが45.19億USDと潤沢であることから自社株買い再開が期待される。(李)
2013年設立の中国雑貨販売企業で中国最大の10元店を展開。「名創優品」としても知られる。「MINISO」や「メイソウ」ブランドでフランチャイズ雑貨店を展開し、店舗数は世界で4,200店舗超。 10/15、NYSEにADRを上場した。2020/12期1H(1-6月)は、売上高が前年同期比4.4%減の89.79億元、純利益が前年同期の▲2.94億元の赤字から▲2.60億元に縮小。コロナ禍が減収に響いたほか利益面では出店費用が嵩んだ。世界10,000店舗を目指す方針の下、欧州で新規出店を強化した。 会社業績予想は非公表。同社の最大の強みは迅速な製品企画力にある。7日ごとに10,000件のアイディアから100件の新製品を生み出す「711」と呼ばれる方針に基づき、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、スペインなどのデザイナーと提携して商品開発に注力。一方で、同社の95%以上の商品は50元以下の低価格だった中、1Hの粗利率は前年同期比3.7ポイント上昇の30.4%となった。(李)
1975年に設立したテクノロジー企業。基本ソフトウェア(OS)のWindowsのほか、サブスクリプション型サービス群のOffice 365、クラウドプラットフォームのAzure、タブレットのSurfaceなどを提供する。 10/27発表の2021/6期1Q(7-9月)は、売上高が前年同期比12.4%増の371.54億USD、純利益が同30.1%増の138.93億USD。主要製品サービスの売上高は、データセンターのAzureが同48%増、Office365が同21%増だったほか、ビジネス特化型SNSであるLinkedInも同16%増と堅調に伸びた。 2021/6期2Q(10-12月)会社計画の売上高は、Productivity and Business Processes部門が127.5-130億USD(前年同期118.26億USD)、Intelligent Cloud部門が135.5-138.0億USD(同118.69億USD)、More Personal Computing部門が132-136億USD(同132.11億USD)。同社は10月中旬、宇宙分野への進出を表明。米宇宙企業スペースXとの提携を通じ、宇宙空間でのAzureの利用を目指す。(李)
1999年に設立。電話やビデオ会議などのコミュニケーションツールを統合してクラウドベースで提供するUCaaS市場のプロバイダー。「RingCentral Office」、「RingCentral fax」などの主力製品がある。 8/3発表の2020/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比29.2%増の2.78億USD、Non-GAAPの調整後純利益が同26.5%増の2,284万USD。主力のサブスクリプション収益が同31.9%増収(2.57億USD)。毎年継続して発生する収益である年間経常収益(ARR)が同33%増(11億USD)だった。 2020/12通期会社計画、および3Q(7-9月)会社計画を上方修正。通期売上高を10.48億USD(従来計画10.43億USD)、3Qの売上高を2.65億USD(同2.63億USD)、3Qの調整後営業利益率を10.2%(同10.0%)へ引き上げた。デジタルサービスの仏アトス社のUCaaS(United Communication as a Service)ソリューションに係る独占提供権を2Qに獲得。テレワーク拡大の恩恵が見込まれよう。(李)
※決算発表の予定は10/30現在であり、変更される可能性があります。
米国ウィークリー・マンスリー一覧へ戻る
免責事項・注意事項
当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提供している証券会社との契約に基づき対価を得ております。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。<日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則平14.1.25」に基づく告知事項> 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。
マーケットへ戻る
回答が必要なご質問は「お問い合わせフォーム」よりお問い合わせください。