“バイデン当確後の米国株相場の流れとリスク”
- 11/9現在、大統領選挙はバイデン民主党候補が当選確実な情勢となった。トランプ大統領は主に郵便投票の不正を巡って法廷闘争で決着を付けたい構えだが、金融マーケット上では法廷闘争で結果が覆る可能性が小さいと見て米国株も次期バイデン政権を歓迎するリスクオンの動きで推移している。現時点では、ジョージア州2議席が来年1/5の決選投票に持ち込まれたことから上院は流動的であるものの、上院が共和党、下院が民主党で上下両院の多数派が異なる「ねじれ議会」となることが有力視されている。ねじれ議会の下で考えられる主な動きは、「ドル安の進行」および「規制強化政策の後退」の2点と考えられる。
- (1)ドル安の進行に関しては、民主党が掲げる財政支出の大規模化およびそれに伴う景気拡大が困難となり、変動相場制の下ではFRBの金融緩和に伴う長期金利低下によって投資資金が海外流出しやすくなることからドル安傾向が強まり、多国籍のコングロマリットや製造業に追い風となろう。また、ドル安および低金利環境下では金や暗号資産が買われやすくなる面があり、スクエア(SQ)といった暗号資産を取り扱うフィンテック企業にも恩恵が及ぶと見られる。
- (2)規制強化政策の後退に関しては、反トラスト法、医療保険制度改革、対中国制裁の3点が注目される。反トラスト法では、巨大プラットフォーマーであるアルファベット(GOOG)、アップル(AAPL)、フェイスブック(FB)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)といったGAFAへの恩恵となろう。医療保険制度改革では、ファイザー(PFE)、メルク(MRK)などの医薬品・ヘルスケア企業などにメリットがあろう。対中国制裁では、アドバンスト・マイクロ・デバイセス(AMD)ほか半導体関連企業は、中国通信機器大手ファーウェイへの制裁に伴う禁輸措置の緩和に伴う業績悪化要因の解消が期待されよう。
- ジョージア州に係る上院2議席が未確定のほか、トランプ大統領による法廷闘争の行方も波乱要因になり得ることは要注意だろう。激戦州の各州ごとに控訴審、最高裁への上告まで進むような展開になれば投票の結果確定に時間がかかり、12/8予定の各州ごとの大統領選挙人の指名、12/14予定の選挙人による大統領候補への投票が進展せず、来年1月に召集される議会で大統領を選出するプロセスまでもつれるリスクが僅かながら残っている点は懸念される。それでも、1/20に次期大統領の任期が開始されることは確実と見られ、来年以降に向けた長期投資のタイミングの観点では来年1月に焦点が当たろう。(笹木)
- 11/10号では、アップル(AAPL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、アリババ・グループ・ホールディング(BABA)、フェイスブック(FB)、アルファベット(GOOG)、ペイパル・ホールディングス(PYPL)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(11/6現在)
主要企業の決算発表予定
11月10日(火) | DRホートン、ロックウェル・オートメーション、アドバンス・オート・パーツ |
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11月11日(水) | アトモス・エナジー、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ |
11月12日(木) | アプライド・マテリアルズ、ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー、シスコシステムズ、ピンデュオデュオ、トランスダイム・グループ |
11月13日(金) | JDドットコム |
11月16日(月) | タイソン・フーズ |
主要イベントの予定
11月10日(火) |
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11月11日(水) |
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11月12日(木) |
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11月13日(金) |
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11月16日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アップル(AAPL)市場:NASDAQ・・・2021/1/28に2021/9期1Q(10-12月)の決算発表を予定
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アマゾン・ドット・コム(AMZN)市場:NASDAQ・・・2021/1/29に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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アリババ・グループ・ホールディング(BABA)市場:NYSE(ADR)・・・2021/2/12に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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フェイスブック(FB)市場:NASDAQ・・2021/1/29に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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アルファベット(GOOG)市場:NASDAQ・・・2021/2/3に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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ペイパル・ホールディングス(PYPL)市場:NASDAQ・・・2021/1/29に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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- (※)決算発表の予定は11/6現在であり、変更される可能性があります。