“「米国雇用計画」に関連する注目企業”
- バイデン大統領は、先に成立した1兆9,000億ドル規模の経済対策に続く大規模経済プログラムとして、3/31に2兆2,500億ドル規模のインフラ投資計画である「米国雇用計画」を発表。支出の財源に法人税増税による税収が充てられるとしているため共和党議員の強い反発が予想されるものの、成立すれば米国株投資の潮流に大きく影響を及ぼすものとみられる。
- 「道路や橋、高速道路、港湾など公共交通・運輸関連のインフラ再整備」の6,210億ドルについては、建設機械・重機のキャタピラー(CAT)への追い風となろう。このインフラ再整備予算の内、気候変動対策の一環として電気自動車(EV)市場向けに1,740億ドルを支出し、公的なEV充電所を2030年までに現在の12倍強の50万ヵ所とする計画である。EV本体だけでなく急速充電器でも市場を先導するテスラ(TSLA)のほか、EV向け充電ステーション網運営のチャージポイント(CHPT)やブリンク・チャージング(BLNK)は長期間に渡り恩恵を受けよう。
- 次に、「清涼な飲料水や高速ブロードバンド整備など各家庭の生活の質向上に関連した施策」に係る6,500億ドルでは、清涼な飲料水に関し、上下水道向けのエンジニアリング製品・サービスを提供するザイレム(XYL)、および水道公益事業を展開し積極的買収戦略により事業地域を拡大しているアメリカン・ウォーター・ワークス(AWK)が注目される。高速ブロードバンド整備については、5G向け基地局の拡大に伴い5G計測ソリューションで市場のリーダーであるキーサイト・テクノロジー(KEYS)が恩恵を受けよう。
- 更に、「高齢者や障がい者向けの手頃な価格の地域密着型介護サービスの拡充」の4,000億ドルについては、在宅医療やホスピスサービスのプロバイダーとして全米39州で事業を展開するアメディシス(AMED)への恩恵が見込まれる。米国の最近の動向として、高齢者を老人ホームに住まわせることから、自宅で生活することを支援する動きが強まっていることも同社への追い風となろう。
- また、今回の「米国雇用計画」には載っていないものの、単にCO2排出ゼロ電源というだけでなく、世界の貧困層の人たちにも安全で安価な電気を届けることが遠くない将来における気候変動問題の中心的論点になることが予想される。米国では廃棄物である劣化ウランを利用した次世代小型モジュール原子炉(SMR)の開発が進んでおり、SMRに関し日本の日立製作所と合弁事業を展開するゼネラル・エレクトリック(GE)は、中長期的には風力発電機のタービンを含め、今後のエネルギー業界で重要な位置を占めることが期待されよう。(笹木)
- 4/6号では、アドビ(ADBE)、オートデスク(ADSK)、ブッキング・ホールディングス(BKNG)、ビザ(V)、イェルプ(YELP)、ZTOエクスプレス(ケイマン)(ZTO)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(4/1現在)
主要企業の決算発表予定
4月6日(火) | ペイチェックス |
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4月7日(水) | ラム・ウェストン・ホールディングス、カーニバル |
4月8日(木) | コナグラ・ブランズ、コンステレーション・ブランズ |
主要イベントの予定
4月6日(火) |
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4月7日(水) |
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4月8日(木) |
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4月9日(金) |
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4月12日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アドビ(ADBE)市場:NASDAQ・・・2021/6/17に2021/11期2Q(3-5月)の決算発表を予定
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オートデスク(ADSK)市場:NASDAQ・・・2021/5/27に2022/1期1Q(2-4月)の決算発表を予定
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ブッキング・ホールディングス(BKNG)市場:NASDAQ・・・2021/5/7に2021/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
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ビザ(V)市場:NYSE・・・2021/4/30に2021/9期2Q(1-3月)の決算発表を予定
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ZTOエクスプレス(ケイマン)(ZTO)市場:NYSE/ADR・・・2021/5/27に2021/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は4/1現在であり、変更される可能性があります。