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5月の米国中古住宅販売は、堅調な需要と物件の在庫不足により販売価格中央値が前年同月比23.6%上昇。5月の新築一戸建て住宅販売も、木材価格が値上がりするなか、販売価格の中央値が前年同月比18.1%増と高騰した。
CBT市場の木材先物価格は6/25終値が5/7終値比で約54%下落するなど、建材価格高騰の収束の兆しが見られる一方、一部のFRB高官は、住宅市場は十分に強く、FRBによる量的緩和としての住宅ローン担保証券(MBS)の購入はもはや必要ではないとの見方を示している。
米住宅価格とFRBの資産拡大〜住宅ローン担保証券の買付が焦点か?
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3/31にバイデン大統領が発表したインフラ投資計画の「米国雇用計画」は5/21に共和党との超党派の合意を目指して規模が当初の2.25兆ドルから1.70兆ドルへ圧縮されたものの、6/8に交渉が一旦打ち切られた。その後、6/24に超党派の上院議員との間でインフラ整備を中心に1.2兆ドルについて合意と伝えられた。
また、バイデン大統領は4/28に上下両院合同会議で施政方針演説を行い、子育てや教育支援を柱とする「米国家族計画」を発表。「家族や子どもたちに対しても一世一代の投資をする必要がある」と訴えた。各々の計画について財源として増税が想定されているなか、「雇用計画」は企業増税を財源とし、「家族計画」は富裕層に的を絞った所得増税やキャピタルゲイン増税が想定されている。
米国雇用計画と米国家族計画〜中長期の経済プログラムを改めて注目
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ナスダック総合指数は、昨年来の上昇基調から今年4/29に14,211ポイントまで上昇後に下落していたが、5/13の13,002ポイントを押し目として再上昇し、過去最高値を更新中だ。昨年3月末以降、NYSE FANGプラス指数構成銘柄である巨大IT企業、およびフィラデルフィア半導体指数の構成銘柄がナスダック指数の上昇を牽引していた一方、ナスダック・バイオテクノロジー指数は出遅れ傾向だった。
6/7にバイオジェン(BIIB)と日本のエーザイが共同開発したアルツハイマー病治療薬を米食品医薬品局(FDA)が承認して以降、バイオテクノロジー株見直し機運が出始めた。新型コロナワクチンの開発でモデルナ(MRNA)やビオンテック(BNTX)に出遅れたノババックス(NVAX)も複数国で承認申請を検討中の模様。
ナスダックバイオテクノロジー指数〜ナスダック構成銘柄の出遅れ業種
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世界の既存勢力の主要自動車メーカーは、米テスラ(TSLA)、および中国勢のニオ(NIO)やBYDなど電気自動車(EV)専業の新興勢力からの攻勢にあっていたなか、今年3月頃から株価のパフォーマンスでEVメーカーを上回る傾向が強くなってきた。3月、独フォルクスワーゲンが今年のEV販売目標を100万台とし、遅くとも2025年までに世界EV市場のリーダーになることを目指すと説明。米国勢では、今年1月に納車を開始したフォード(F)のEV「マスタング・マッハE」がテスラから市場シェアを奪いつつあることが明らかになったほか、ゼネラル・モーターズ(GM)も5月、今後5年間でEVと自動運転車に270億ドルを投資すると発表した。
一方で、テスラは欧州と中国のEVで競合激化に伴う販売減の動きがみられる。
攻守逆転してきた自動車業界〜既存勢力の新興EVメーカーへの逆襲
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米中古車価格の動向を示す「マンハイム指数」は今年5月に203.0と前月比9.0ポイント上昇し、3ヵ月連続で過去最高を更新。前年同月比では48%上昇した。半導体供給不足に伴う自動車生産の減少を受けて、レンタカー会社がオークションで中古車を購入せざるを得ない事態となっていることを反映している。6/10発表の5月の米消費者物価指数が前年同月比5.0%の大幅上昇となった主な要因の一つとして、中古自動車・トラック価格が同29.7%上昇したことが挙げられる。
米国のオンライン中古車販売で知られるカーバナ(CVNA)とブルーム(VRM)のうち、オンライン比率が高いカーバナの株価が相対的に堅調に推移。また、実店舗での販売が中心の老舗カーマックス(KMX)はオンライン販売を拡充中だ。
米中古車価格高騰の影響〜消費者物価上昇に寄与、関連銘柄は跛行色
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中国で飼料用作物の需要が増加していること、および南米での干ばつの発生といった天候要因により、トウモロコシや大豆の価格は昨年夏頃から今年5月上旬まで高騰を継続。その後は、5/12に米農務省発表の穀物需給において大豆の8月期末在庫増の見通しが示されたことおよび5月中旬以降、中国での銀行与信の伸び鈍化を受けてコモディティ全般が売られたことなどから軟調に推移。
一方で、温暖化ガス排出量削減が求められるなか、トウモロコシは「バイオエタノール」として化石燃料の代替需要が、大豆は生産過程でCO2の排出が少ない「代替肉」としての需要が高まっている。ディア(DE)のような農機メーカーやアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)のような穀物商社の商機は拡大しよう。
穀物相場の高騰は収まったか?〜バイオ燃料、植物肉の需要はこれから
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