7-9月期決算発表で注目される企業
- 2021年7-9月期決算の発表は概ね堅調に推移している。仕入れコスト上昇、サプライチェーン混乱に伴う物流コスト高騰や入荷遅延、および人件費上昇といった「三重苦」のコスト上昇要因が懸念されていたなか、企業は値上げによってコスト増を吸収することで対応できているように見受けられる。22日に決算発表のクレジットカード大手アメリカン・エキスプレス(AXP)に見られるように、新型コロナを巡る規制措置の緩和に伴う消費回復がその背景にあるとみられる。その一方で、19日に決算発表した日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(PG)のように、前年同期比で減益となるなかでこれから値上げの対象を幅広い商品群に広げる方針を示している企業もある。
- 新型コロナウイルスのワクチンおよび経口薬を中心としたヘルスケア企業も好調な決算を示している。19日に決算発表したジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は新型コロナワクチンのほかにコロナ禍の影響で低迷していた病院需要回復の恩恵を受けた。また、新型コロナ経口治療薬の開発で先頭を走るメルク(MRK)が11日に米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請したほか、ファイザー(PFE)も9月にコロナ予防の飲み薬で大規模治験を開始済み。更に、FDAが新型コロナワクチンの追加接種、異なるワクチンの混合接種を認可したほか、バイデン政権が5-11歳の子ども向けワクチン接種計画を発表するなど、多方面で将来的な需要拡大が続きそうな様相だ。
- 電気自動車大手テスラ(TSLA)は、自動車大手他社が軒並み半導体不足で生産減少に見舞われるなかでソフトウェア開発力の強みを生かして生産・販売台数を順調に伸ばしたことを受けて株価が過去最高値を更新した。
- その一方、IBM(IBM)は事業の選択と集中を進めるなかで、スピンオフに伴う受注減やコア事業の伸び鈍化懸念で株価下落に見舞われたが、予想配当利回りで5%を超えて来た点は投資機会と見る余地がある。また、半導体メーカーのインテル(INTC)もアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)等との競争激化の下で市場シェア低下に歯止めがかかる兆しが見えなかったとして同様に株価下落。ファウンドリー参入戦略に中長期的期待がかかろう。
- 今週に決算発表を控えるSNS大手のフェイスブック(FB)などにとっては、米アップル(AAPL)によるiOSのプライバシーに関する変更によってアプリに新たな制限が設けられ、デジタル広告のターゲットを絞ったり追跡することが難しくなる影響をどの程度受ける可能性があるのかが注目されよう。(笹木)
- 10/26号では、ダイナトレース(DT)、エラスティック(ESTC)、IBM(IBM)、インテル(INTC)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、ウィックス・ドットコム(WIX)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(10/22現在)
主要企業の決算発表予定
10月26日(火) | UDR、チャブ、CHロビンソン・ワールドワイド、テキサス・インスツルメンツ、フォーチュン・ブランズ・ホーム&セキュリティ、ビザ、F5ネットワークス、マイクロソフト、AMD、エンフェーズ・エナジー、アルファベット、テラダイン、S&Pグローバル、3M、エコラボ、ウエイスト・マネジメント、コーニング、シャーウィン・ウィリアムズ、ハズブロ、ゼネラル・エレクトリック(GE)、パッカー、レイセオン・テクノロジーズ、MSCI、インベスコ、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド、ロッキード・マーチン、パルトグループ、アイデックス、ペンテア、イーライリリー、センティーン、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)、ツイッター、ジュニパーネットワークス |
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10月27日(水) | エベレスト・リー・グループ、アバロンベイ・コミュニティーズ、アライン・テクノロジー、エクストラ・スペース・ストレージ、タイラー・テクノロジーズ、KLA、イーベイ、サービスナウ、ユナイテッド・レンタルズ、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、アフラック、エドワーズライフサイエンス、オライリー・オートモーティブ、ザイリンクス、フォード・モーター、ゼネラル・モーターズ(GM)、アンフェノール、インターナショナル・ペーパー、オールド・ドミニオン・フレイト・ライン、オートマチック・データ・プロセシング、CMEグループ、マクドナルド、マスコ、ヒルトン・ワールドワイドHD、ローリンズ、ブリストルマイヤーズスクイブ、ウェスティングハウスエアブレーキ・テクノロジーズ、ボストン・サイエンティフィック、コカ・コーラ、TEコネクティビティ、ゼネラル・ダイナミクス、ノーフォーク・サザン、ボーイング、ヘス、ファイサーブ、サーモフィッシャーサイエンティフィック、テレダイン・テクノロジーズ、ガーミン、DTEエナジー、クラフト・ハインツ、エイブリィ・デニソン |
10月28日(木) | リパブリック・サービシズ、ハートフォード・ファイナンシャル・サービシズ・G、スターバックス、モホーク・インダストリーズ、デクスコム、レスメド、フォーティブ、アーサー・J・ギャラガー、シージェン、アトラシアン、アマゾン・ドット・コム、ギリアド・サイエンシズ、モノリシック・パワー・システムズ、ウエスタンデジタル、ダビータ、アップル、バイオ・ラッド・ラボラトリーズ、ファーストエナジー、イーストマン・ケミカル、ストライカー、ベリサイン、イリノイ・ツール・ワークス、キャタピラー、メルク、インターコンチネンタル・エクスチェンジ、ノースロップ・グラマン、ヤム・ブランズ、コムキャスト、テキストロン、A.O.スミス、ハンチントン・バンクシェアーズ、ニューモント、モルソン・クアーズ・ビバレッジ、キューリグ・ドクターペッパー、LKQ、ウィリス・タワーズ・ワトソン、CMSエナジー、Carrier Global Corp、アビオメッド、シリウスXMHD、チェックポイント・ソフトウエア・テクノロジーズ、ハーシー、エクセル・エナジー、ムーディーズ、バクスターインターナショナル、ウエスト・ファーマシューティカル・サービシズ、アルトリア・グループ、テレフレックス、マスターカード、ニールセンHD、アメリカン・エレクトリック・パワー |
10月29日(金) | WWグレンジャー、コルゲート・パルモリーブ、フィリップス66、L3ハリス・テクノロジーズ、シェブロン、ウェアーハウザー、Cboe・グローバル・マーケッツ、エクソンモービル、アッヴィ、チャーチ・アンド・ドワイト、チャーター・コミュニケーションズ、サーナー、ライオンデルバセル・インダストリーズ、ニューウェル・ブランズ、Aon PLC |
11月1日(月) | レゲット・アンド・プラット、マケッソン、ダイヤモンドバック・エナジー、モザイク、アリスタネットワークス、ホロジック、ウィリアムズ・カンパニーズ、SBAコミュニケーションズNXPセミコンダクターズ、パブリック・ストレージ、クロロックス、ロウズ |
主要イベントの予定
10月26日(火) |
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10月27日(水) |
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10月28日(木) |
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10月29日(金) |
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11月1日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
ダイナトレース(DT)市場:NYSE・・・2021/10/27に2022/3期2Q(7-9月)の決算発表を予定
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エラスティック(ESTC)市場:NYSE・・・2021/12/2に2022/4期2Q(8-10月)の決算発表を予定
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IBM(IBM)市場:NYSE・・・2022/1/24に2021/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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インテル(INTC)市場:NASDAQ・・・2022/1/21に2021/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)市場:NYSE・・・2022/1/25に2021/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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ウィックス・ドットコム(WIX)市場:NASDAQ・・・2021/11/11に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は10/22現在であり、変更される可能性があります。