“値上げへ追い風の個人消費、明暗分かれるGAFAM”
- 10/29発表の9月の米個人消費支出(PCE)物価指数は食品・エネルギーを含む総合指数の上昇率が前年同月比4.4%と8月の4.2%から加速。約30年ぶり高水準となった。堅調な個人消費に係る経済環境は米主要企業の7-9月期決算にもプラスの影響を与えている。10/27発表のマクドナルド(MCD)は、人件費や食材費などコストが11%増えたものの、値上げや新製品投入で純利益が前年同期比22%増となった。コカ・コーラ(KO)は外食需要の回復で飲料販売を中心に幅広く幅広く売上げが回復し、純利益が同42%増。インフレへの懸念を示したものの人件費や物流コスト上昇を踏まえて価格に反映していくとして値上げを示唆。堅調な個人消費が長く続くかどうか不透明であることから、現時点で値上げせずにコスト上昇を吸収できている企業は将来的な値上げ余力が大きく、インフレ耐性が強いと見る余地もあろう。
- 10/25-28、マイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)、アルファベット(GOOGL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、フェイスブック(FB)と、米国上場の時価総額上位6位までを占める5企業が決算発表を行った。アップルは供給制約に伴う半導体不足の影響が10-12月に一段と悪化する恐れがあるとした。アマゾンは前年同期におけるネット通販の巣ごもり特需からの反動減から純利益が前年同期比50%減となったほか、年末商戦向けの人手不足対応に係る追加費用は発生する見通しとした。その一方、マイクロソフトはクラウドサービスが好調、アルファベットも傘下のグーグルの広告事業が好調で、両社とも決算発表後の株価が堅調に推移している。
- アップルはデジタル広告の個人情報追跡をユーザーが停止できるようにした規約変更を実施。これが他社の広告事業に大きな影響を与えている。グーグルの検索エンジンは広告主にとって価値のあるユーザー関心事に関するデータ収集として同業他社よりも影響が少ない一方で、フェイスブックの「ターゲティング広告」は逆風の影響が大きいとされる。フェイスブックは「メタバース」と呼ぶ仮想空間構築と関連サービス拡充のため、社名を「メタ」、ティッカーを「MVRS」に変更すると発表し「第2の創業」に踏み出した。それは逆風が一時的ではないという会社の危機感の表れだろう。また、同時にデータセンターやサーバーなど2022年度の設備投資増額を発表。「第2の創業」は多額の先行投資を必要とし、その収穫は中長期的視点から見ていく必要があるだろう。一方で、同社の設備投資増額はエヌビディア(NVDA)やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)など半導体大手への追い風となろう。(笹木)
- 11/2号では、フォード・モーター(F)、ゼネラル・エレクトリック(GE)、マクドナルド(MCD)、プロコア・テクノロジーズ(PCOR)、ペイパル・ホールディングス(PYPL)、ショッピファイ(SHOP)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(10/29現在)
主要企業の決算発表予定
11月2日(火) | アカマイ・テクノロジーズ、デボン・エナジー、FMC、ペイコム・ソフトウエア、パーキンエルマー、マッチ・グループ、アクティビジョン・ブリザード、シーザーズ・エンターテインメント、プルデンシャル・ファイナンシャル、ベリスク・アナリティクス、アシュラント、エジソン・インターナショナル、ONEOK、ステリス、Amcor PLC、バーテックス・ファーマシューティカルズ、アメリカン・ウォーター・ワークス、アムジェン、TモバイルUS、モンデリーズ・インターナショナル、ウエスタンユニオン、エスティローダー、エクスペディターズInt'lオブワシントン、WECエナジー・グループ、コノコフィリップス、ファイザー、グローバル・ペイメンツ、アメテック、レイドスHD、マーチン・マリエッタ・マテリアルズ、アイデックスラボラトリーズ、PSEG、シールド・エアー、インサイト、バイオテクネ、マラソン・ペトロリアム、ウォーターズ、カミンズ、ラルフローレン、デュポン・ド・ヌムール、キャタレント、イートン、ロックウェル・オートメーション、IPGフォトニクス、ジェネラックHD、ヘンリーシャイン、ゼブラ・テクノロジーズ、ガートナー、ザイレム、アンダーアーマー |
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11月3日(水) | Corteva Inc、CFインダストリーズHD、アルベマール、リンカーン・ナショナル、マラソン・オイル、APA Corp、セリディアンHCMHD、アンシス、アメレン、パイオニア・ナチュラル・リソーシズ、エッツィ、エレクトロニック・アーツ、ホスト・ホテル・アンド・リゾート、MGMリゾーツ・インターナショナル、メットライフ、テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア、ルーメン・テクノロジーズ、エクイニクス、トリンブル、PTC、クアルコム、フリートコア・テクノロジーズ、DXCテクノロジー、オールステート、ブッキングHD、コルボ、フォックス、CVSヘルス、ボルグワーナー、マリオット・インターナショナル、ディスカバリー、コテラ・エナジー、エバジー、チャールズリバー・ラボラトリーズIntl、エマソン・エレクトリック、エクセロン、トレイン・テクノロジーズ、CDW、ブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズ、ナイソース、エバーソース・エナジー、エンタジー、ノルウェージャンクルーズライン・HD、ヒューマナ |
11月4日(木) | リージェンシー・センターズ、ペロトン・インタラクティブ、ノートンライフロック、イルミナ、コンソリデーテッド・エジソン、アライアント・エナジー、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、オキシデンタル・ペトロリアム、メトラー・トレド・インターナショナル、フォーティネット、マイクロチップ・テクノロジー、スカイワークス・ソリューションズ、メルカドリブレ、ライブ・ネーション・エンタテインメント、エクスペディア・グループ、モトローラ・ソリューションズ、ニューズ・コーポレーション、モンスタービバレッジ、ケロッグ、サザン、シグナ、センターポイント・エナジー、ハウメット・エアロスペース、モデルナ、リジェネロン・ファーマシューティカルズ、シトリックス・システムズ、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ、NRGエナジー、デューク・エナジー、ゾエティス、アプティブ、ペン・ナショナル・ゲーミング、ヘインズブランズ、バイアコムCBS、フィデリティナショナルインフォメーションサービシズ、デンツプライ・シロナ、ボール、AES、アメリソースバーゲン、PPL、クアンタ・サービシーズ、バルカン・マテリアルズ、パーカー・ハネフィン、ジンマー・バイオメット・HD、アイアンマウンテン、ベクトン・ディッキンソン |
11月5日(金) | EOGリソーシズ、センプラ・エナジー、ピナクル・ウエスト・キャピタル、ドミニオン・エナジー、ジョンソンコントロールズインターナショナル、ベンタス、バークシャー・ハサウェイ |
11月8日(月) | ペイパルHD、ジャック・ヘンリー・アンド・アソシエーツ、Viatris Inc |
主要イベントの予定
11月2日(火) |
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11月3日(水) |
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11月4日(木) |
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11月5日(金) |
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11月7日(日)・8日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
フォード・モーター(F)市場:NYSE・・・2022/2/4に2021/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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ゼネラル・エレクトリック(GE)市場:NYSE・・・2022/1/25に2021/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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マクドナルド(MCD)市場:NYSE・・・2022/1/28に2021/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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プロコア・テクノロジーズ(PCOR)市場:NYSE・・・2021/11/4に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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ペイパル・ホールディングス(PYPL)市場:NASDAQ・・・2021/11/8に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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ショッピファイ(SHOP)市場:NYSE・・・2022/2/28に2021/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は10/29現在であり、変更される可能性があります。