“小売り大手後半戦、先に売られたグロース銘柄”
- 市場が注目していた17日発表の4月の小売売上高(季節調整済み)は、前月比0.9%増と高インフレにもかかわらず消費が引き続き堅調に推移していることを示した。17日以降発表の小売り大手の2022年2-4月期の決算および先行き見通しも無難に通過するのではないかと期待されたが、ウォルマート(WMT)とターゲット(TGT)の両社は増収を確保したもののインフレに伴うコスト増により企業収益が圧迫される構図が明らかとなったほか、ディスカウント小売りのロス・ストアーズ(ROST)は利益だけでなく既存店売上高でも22年度の業績見通しを下方修正。3社とも大幅な株価下落に見舞われた。
- 一方で、ホームセンター大手では、ホーム・デポ(HD)は住宅設備機器の堅調な需要を受けて既存店売上高が好調だったほか、ロウズ(LOW)は悪天候の影響で既存店売上高は不振だったものの粗利益率が堅調に推移するなど、住宅金利上昇やインフレに対する耐性を示した。
- 26日には、ダラーストア(1ドルショップ)大手2社のダラー・ゼネラル(DG)とダラー・ツリー(DLTR)、および粗利益を会費収入に依存し商品販売に係る利益率が元々ゼロに近い事業モデルを擁するコストコホールセール(COST)の22年2-4月期決算発表が予定される。これらの3社はインフレ悪化に対しても既存店売上高が減少しにくい面が相対的に強いとみられることに加え、既に他の小売り大手の株価下落に連れ安したことから決算発表後に株価が底堅さを示す可能性がある。仮にそのような展開になるのであれば投資タイミングが検討されよう。なお、ターゲット(TGT)も21年度まで50年連続増配企業でもあり、更なる下落局面では長期投資の観点から投資妙味があるだろう。
- 先週号(2022年5月17日号)で述べた通り、S&P500、ダウ平均株価、ナスダック100といった主要株価指数は、予想PERが2000年のITバブル崩壊後の底値近辺の時期と同水準まで低下した。仮に現在の市場が株価調整局面から底入れに向かうとした場合、先に大きく下落した銘柄から順に反転上昇に向かう可能性も考慮されよう。足元では景気後退懸念から長期金利上昇が一服傾向にある。24-31日に4半期決算を発表するSaas(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)企業は比較的早い時期に金利上昇懸念から大きく売られてiいた。景気動向に左右され難い成長力を示せば反転上昇の余地もあろう。
- 巨大ハイテク企業の「GAFAM」に係るクラウド・コンピューティング事業の22年1-3月期は、アマゾン・ドット・コム(AMZN)の「AWS」が前年同期比37%増収、マイクロソフト(MSFT)の「Azure」が同46%増収、アルファベット(GOOGL)の「Google Cloud」が同44%増収。成長力への信頼度は高いだろう。(笹木)
- 5/24号では、シティグループ(C)、ゴープロ(GPRO)、マッチ・グループ(MTCH)、ニューモント(NEM)、ペリゴ(PRGO)、スノーフレーク(SNOW)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(5/20現在)
主要企業の決算発表予定
5月24日(火) | アジレント・テクノロジー、インテュイット、ラルフローレン、ベストバイ、網易(ネットイース)、オートゾーン |
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5月25日(水) | スプランク、エヌビディア、DXCテクノロジー |
5月26日(木) | マーベル・テクノロジー、オートデスク、ゼットスケーラー、ワークデイ、アルタ・ビューティ、コストコホールセール、ダラー・ゼネラル、百度[バイドゥ]、ダラー・ツリー、メドトロニック |
5月27日(金) | ピンドゥオドゥオ |
5月31日(月) | セールスフォース、HP |
主要イベントの予定
5月24日(火) |
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5月25日(水) |
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5月26日(木) |
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5月27日(金) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
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(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は5/20現在であり、変更される可能性があります。