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【そうだったのか!ETF徹底解剖】第7回 ETFの「乖離」のいろいろ

2018/02/07

「このETFは乖離が大きい」という表現を聞いた場合、まず頭に浮かぶものは何でしょうか?この表現の意図を正確に把握するためには、ETFの「何が」「何に対して」乖離していて、それを「何で測っているか?」によって、その意味合いが変わってきます。ここではETFの乖離について整理して、それぞれが何を示す指標なのかを説明します。

プレミアム・ディスカウント=ETFの基準価額(NAV)と市場価格の差

一般的に乖離といった場合は、このプレミアム・ディスカウントを指す事が多いです。ETFは、投資信託でいうところの基準価額または純資産価額であるNet Asset Value(NAV)と市場で売買される価格である市場価格という2つの価格を持っています。例えば、日本に上場している日本株ETFのNAVは保有している株式の終値を用いて算出されます。一方で、そのETF自体の終値も市場で決まります。この両者の差をプレミアム・ディスカウントといいます。(単純な引き算で表す場合と、その差をNAVで割り算してパーセントで表す場合があります。)この差が大きなETFは市場での売買が活発でないために、ETFの価格形成メカニズムが上手く働いていない可能性があります。ただし、原資産が同じ市場で売買されていない場合などの理由で構造的にずれが生じている場合もありますので、一概にプレミアム・ディスカウントが大きいから良くないETFであると言い切ることは出来ません。

トラッキング・エラー①(NAVベース)=ETFのパフォーマンス(NAVベース)とベンチマークのパフォーマンスの差の標準偏差

次によく聞く用語は、トラッキング・エラーではないでしょうか?トラッキング・エラーは、ファンドのパフォーマンスとベンチマークのパフォーマンスの差の標準偏差を意味します。後述するトラッキング・ディファレンスのことをトラッキング・エラーと表現する誤りを見ることがありますが、トラッキング・エラーとは、正確には標準偏差の方を示す言葉です。標準偏差はデータの散らばりの度合いを示す値であり、両者のパフォーマンスの差がどの程度ぶれていたのかを表現します。一般的に、資産運用の世界で言う「リスク」とは、その資産のリターンの標準偏差を指します。この場合はETFのパフォーマンスとベンチマークのパフォーマンスの差のリスクを示す指標だといえます。
このとき、ETFのパフォーマンスについてNAVを用いて測定したものが、NAVベースのトラッキング・エラーです。この場合は、ETFのNAVと市場価格の差であるプレミアム・ディスカウントは考慮されませんので、言ってみればファンドの運用の質を純粋に図るための指標であるといえます。

トラッキング・エラー②(市場価格ベース)=ETFのパフォーマンス(市場価格ベース)とベンチマークのパフォーマンスの差の標準偏差

トラッキング・エラーをETFの市場価格ベースのパフォーマンスを用いて測定したものがこちらとなります。投資家が市場価格を使った売買や市場価格での資産評価を前提にしている場合は、こちらのほうが投資家の実感に近いものになります。ただし、プレミアム・ディスカウントが内包されることになるので、トラッキング・エラーの原因がファンドの運用によるものなのか、価格形成によるものなのかを判別することは難しくなります。

トラッキング・ディファレンス①(NAVベース)=ETFのパフォーマンス(NAVベース)とベンチマークのパフォーマンスの差

ファンドのベンチマークに対するパフォーマンスの差を指します。所謂アクティブ・リターンと呼ばれるものと同じものですが、インデックス運用の場合はこのような表現を使います。こちらはNAVベースのものとなりますので、ファンドの運用者の実績を示すものです。一般的には年率換算値を用いることになります。ほぼ完全にバスケットを複製できるようなインデックスファンドの場合は、この値はほぼゼロか経費率の分だけマイナスとなると考えられますが、実際はそれ以外の要因(セキュリティーズ・レンディングによる収益や保有証券の取引コスト)もあるため、それどおりになるわけではありません。

トラッキング・ディファレンス②(市場価格ベース)=ETFのパフォーマンス(市場価格ベース)とベンチマークのパフォーマンスの差

トラッキング・エラーの場合と同様に市場価格でのリターンを用いたものがこちらです。プレミアム・ディスカウントも含みますので、投資家が市場価格での売買を基本としている場合に、そのパフォーマンスを評価するときなどに利用可能です。ただし、プレミアム・ディスカウントの変動が激しいETFだと、期間によってはかなりこの値も上下しますので注意が必要です。

ETFのパフォーマンス評価の概念図

上記にこれらの関係を整理して示してあります。ベンチマークとETFのNAVまたは市場価格のそれぞれの(パフォーマンスの)差を直接示すのか、それともその標準偏差を示すのかによって、その数字が何を評価しているのかという意味合いも変わってきます。ETFの評価をする際には、「何を評価または比較したいのか」によって用いるべき数値が変わってきます。
例えば、ベンチマークからずれるリスクを極力排除したいのであれば、トラッキング・エラーを用いるでしょうし、パフォーマンスを比べたいのであればトラッキング・ディファレンスでしょう。また、運用者の能力を測定したいのか、実務的な制約があるために市場価格でのパフォーマンスを見たいのかによって、ETFのリターンをNAVベースとするのか、市場価格ベースとするのかは変わってくるでしょう。また、市場での価格形成を調べたいのであれば、プレミアム・ディスカウントを見ることになります。
ETFの乖離と一言で言ってもさまざまなものがあり、また、それらはそれぞれに意味があるため、正しく用いることが重要です。単に「乖離が大きい」という表現を聞いたときには、それは何と何を比べて、それをどのように数値化したのかというところを確かめてから次の議論に入るべきです。

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著者

渡邊 雅史(わたなべ まさふみ)

ウィズダムツリー・ジャパン株式会社 ETFストラテジスト

アクセンチュア株式会社にて金融機関向けコンサルティング業務に携わった後、バークレイズ・グローバル・インベスターズ(現ブラックロック・ジャパン)にて、ポートフォリオマネジャー、ストラテジスト、及びETF部門専任のストラテジストを歴任。金融ベンチャー企業に参画した後、2016年よりWisdomTree JapanのETFストラテジスト。ETF市場の分析、ETFを用いた運用戦略の立案・提案業務などに携わる。
慶應義塾大学総合政策学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス修士(MBA)。
著書に『計量アクティブ運用のすべて』(金融財政事情研究会)(共著)

渡邊 雅史

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