米2月雇用統計
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | |
非農業部門 雇用者数(万人) | 26.4 | -30.6 | 16.6 | 37.9 |
失業率(%) | 6.7 | 6.7 | 6.3 | 6.2 |
時間給賃金 前月比(%) | 0.3 | 1.0 | 0.1 | 0.2 |
時間給賃金 前年比(%) | 4.4 | 5.4 | 5.3 | 5.3 |
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | |
製造業 | 6.8万人増 | 8.2万人増 | 1.3万人減 | 4.8人減 |
サービス業 | 29.1万人増 | 35.6万人減 | 10.3万人増 | 51.3万人増 |
政府系 | 9.5万人減 | 3.2万人減 | 7.6万人増 | 8.6万人減 |
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※出所:SBIリクイディティ・マーケット
2月雇用統計
米2月雇用統計は前月比+37.9万人の就業者増となり、失業率は6.3%から6.2%に改善した。米経済の早期正常化への期待感で、10年債利回りは一時昨年2月13日以来の1.625%に上昇し、ドル円は108円64銭と昨年6月8日以来の円安水準に上昇した。
米10年債利回りは、その後押し目買いや週末要因の持ち高調整に上昇が一服する場面が見られた一方、セントルイス、ミネアポリス、クリーブランド連銀総裁が米長期金利の上昇を容認する発言を行ったこともあり、1.57%で先週末の取引を終えました。
今回の雇用統計、失業率は昨年4月の14.8%をピークに大きく改善傾向が続いている一方、「コロナ前」のほぼ50年ぶり低水準を依然として大きく上回っている状況が続いている。さらに、就業をあきらめ労働力から外れた人が多いため、感染拡大が始まってから約1年に当たる先月時点の失業状況を十分に反映していない可能性もあるとの慎重な見方も聞かれる。
2月の就業者数増加の大半を占めたのは、娯楽・観光業界(35.5万人増)となったほか、医療、小売りなどの業種も小幅な増加となった一方、製造業が2ヵ月連続で減少しており、セントルイス地区連銀が完全雇用とみる失業率の水準である4.4%と比べ依然として高水準であり、労働参加率も61.4%と1月と同水準に留まったほか、昨年12月(61.5%)、さらに昨年2月(63.5%)から大きく下回っていることも懸念材料の一つであるとの指摘もある。加えて、2月の就業者数は、感染拡大直前の1年前に比べ950万人少なく、人口増加分を加味すれば、実際にはさらに約1,050万人少ないことになるとみられており、決して楽観視できないといった声も聞かれる。
今後の見通し
新規感染者数が減少し、一部地域では行動制限も緩和されていることから、3月の雇用統計でも就業者数が大幅に増える公算が大きいとの見方もある。
一方で、今回の結果は米債券市場にとって、FRBがこれまで示唆していたよりも早期に資産購入の規模縮小と利上げに着手するかもしれないという、新たな懸念材料となるとの見方もNY株式市場の波乱要因になりかねないとの指摘もある。
また、前回の米国での景気後退後に雇用がほぼ景気後退前の水準に戻ったのは2014年1月で、それまでFRBは資産買い入れの縮小に着手しなかった。当時、FRBはその後1年近く、オーバーナイト金利の誘導目標レンジをゼロ近辺から引き上げなかったことを考慮すると、今回も早期の政策変更は封印されるかもしれない。
実際、先週4日にパウエルFRB議長は、インフレの一時的な上昇に対し、辛抱強く対応するとの考えを明らかにし、根深い低インフレが速やかに解消される可能性は少ないとの認識を示している。それだけに、今週の米債入札(3年債、10年債、30年債)を受けて、どの程度まで長期金利の上昇が続くか注目だ。
ドル円の日足チャートは、先週末まで9日連続の陽線引けとなり、3月1日の106円36銭を下値に一週間で2円超もドル高円安が進んだ。米金利の上昇に一服感が見られた場合、ドル円も109円台回復を前に一時的な調整に見舞われる可能性があるかもしれない。
また、米労働市場を見ても、依然として16歳未満の子供向けに承認されたワクチンはまだなく、ある程度の制限措置が続く可能性がある。さらに、FRBは、賃金上昇に顕著な過熱感が出る前に雇用市場の過熱に懸念を示した過去の政策判断について、杞憂だったとの見方で一致していることから、3月のFOMCで政策変更の兆候を示すことがないと見られ、こうした観測が米債券市場にどのように影響を及ぼしていくのか注意深く見ていく必要があるかもしれない。
非農業部門雇用者数(万人)の推移
- ※出所:米労働局
米時間給賃金(%)の推移
- ※出所:米労働局
米失業率(%)の推移
- ※出所:米労働局
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