東京市場では、序盤やや方向性に乏しく、小動きの展開となった。そして、日経平均株価が堅調な動きとなったことに反応し、ドル買い・円売りとなったものの、本邦実需などの動きに押されて下押しする場面もあった。しかし、麻生財務相の円高牽制発言や、堅調な株価動向を受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。ただ、要人発言も連日続いており、ややインパクトに欠けるとの見方や、欧州株が下落して始まったことから、その後はやや上値の重い動きが続いた。米国市場では、米物価関連の経済指標が市場予想を下回る結果となったものの、下値は限定的となった。そして、堅調な株価動向に加えて原油価格の大幅上昇を受けて、投資家のリスク志向が強まり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。

※出所：FX総合分析チャート10分足

（1）日経平均株価が安く寄り付いた後、プラス圏に切り返して堅調な動きとなったことから、ドル買い・円売りに反応した。しかし、仲値公示にかけて本邦実需筋のドル売り・円買いの動きが優勢となった。ただ、仲値通過後にはやや値を戻す動きも見られた。また、麻生財務相が「為替に一方的に偏った投機的な動きが見られれば、場合によっては必要な措置を取る」と発言したことを受けて、やや円を売る動きが優勢となった。
（2）本邦財務相の発言や、日経平均株価が200円以上の上昇となったこともあり、堅調な動きが続いた。その後は欧州株が下落して始まったことや、日本当局の介入は限定的との思惑もあり、やや反落となり、上値の重い動きが続いた。
（3）米国の経済指標の発表も反応は限定的となった。むしろ、堅調な株価動向や、原油価格の上昇、当局者のタカ派発言がドルの押し上げ要因となった。

G20を翌日に控えて、様子見ムードが強まる可能性もあり、当局者の発言も控えられることも考えられ、比較的限定的な動きが予想される。ただ、アジアタイムでは、中国の貿易収支の発表が予定されており、結果には注目したい。そして、米国市場では、小売売上高や物価関連の経済指標の発表が予定されている。市場の予想通りの改善となるのか注目されており、結果を受けて動く可能性も考えられる。また、堅調な動きが続いている原油価格の動向にも注目したい。

時間	国・地域	経済指標・イベント	予想	前回
21:30	米国	3月小売売上高（前月比） 米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70％を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。	0.1%	-0.1%
		前回は、市場予想を上回る結果となったものの、2ヵ月連続のマイナスとなった。そして、堅調な個人消費を背景に、楽観的な見方も出ていただけに、13項目中半数以上の8項目で売り上げが減少したことで、やや不安も出ている。今回はプラスへの改善が予想されているが、減少幅の大きいガソリンスタンドや電気製品の回復がポイントとなる。
21:30	米国	3月生産者物価指数（前月比） 米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数（CPI）と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。	0.2%	-0.2%
		前回は、再びマイナスに落ち込む結果となった。特に、エネルギー価格の下落が大きかったことが影響した。3月は2月に比べて原油価格の平均価格が上昇していることから、反発も期待されている。

※出所：FX総合分析チャート1時間足

豪ドル/円は、一目均衡表の雲を上抜けて、レジスタンスも上抜けて一段の上昇となっている。オシレーターのMACDでは、先行するラインがやや失速していることから、ここからクロスして下向きに転換する場合には、やや軟調な動きも考えられる。その場合、レジスタンスであったポイントの延長線上（82.45）が一つのポイントとなる。次のレジスタンスとなる83.72が上値のポイントとなる。