前営業日トピックス
東京市場では、日銀の金融政策発表を控えて様子見ムードもあり、序盤はレンジ内の動きとなった。しかし、日経平均株価が下げ幅を拡大する動きとなったことや、トランプ米大統領の政策に対する不透明感が材料視され、上値の重い動きとなった。
そして、日銀の金融政策発表では、現状維持が発表されたことから、一時円売りとなる場面もあったが、反応は一時的となった。また、黒田日銀総裁の会見も、想定通りの無難な内容だったことから反応は限定的となった。
そして、欧州主要株価が堅調な動きとなったことで、ドル円・クロス円は堅調な動きとなったが、トランプ大統領などの発言を受けて、ドル売り・ユーロ買い、ドル売り・円買いの動きが優勢となり、ユーロは対ドルで上昇となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、ドル円・クロス円は値を戻す動きも見られた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価が200円以上下落して寄り付き、下げ幅を拡大する動きとなったことから、円買いが優勢となった。ただ、日米の中銀のイベントが控えていることから、下値は限定的となった。そして、仲値公示にかけては、輸入企業の月末フロー(ドル買い・円売り)が入り、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(2)トランプ米大統領が、難民・移民の入国を制限する大統領令を受け入れないように司法省弁護士に指示したイェーツ米司法長官代行を解任したとの報道などからドルが売られた。また、日銀が金融政策の現状維持を発表したことで、緩和姿勢の継続と受け止められたことから円が売られ、ドル円・クロス円は上昇する場面もあった。
(3)円売りの勢いは続かず、トランプ米大統領の政策に対する不透明感が引き続き材料視され、上値の重い動きが続いた。しかし、独DAX指数や英FT100指数など欧州主要株価が堅調な動きとなったことや米10年債利回りの上昇もあり、ドルは前日の高値を更新した。
(4)米国家評議会委員長が、ドイツは大幅に過小評価されたユーロを利用していると発言したことが報じられたことに反応し、ユーロ買い・ドル売りとなった。そして、米国市場では、主要な経済指標が悪化したことや、トランプ大統領が日本と中国は通貨切り下げで市場を手玉に取っていると発言し、日本の通貨政策を強く牽制したことで、円買い・ドル売りが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(5)やや下げ過ぎ感から買い戻しの動きが見られたことや、米債券利回りが反発したことも影響し値を戻す動きとなった。
本日のトピックス
前日の海外市場で、トランプ大統領が中国や日本の通貨政策を強く牽制したこともあり、東京市場でも発言の影響が残る可能性も考えられる。中国市場は休場だが、中国の経済指標の発表が予定されていることから、こちらの結果にも注目したい。海外市場では、米FOMCを控えており、結果を見極めたいとの思惑から限定的な動きとなる可能性も考えられる。ただ、昨日のようにトランプ大統領や関係者の発言が出る場合には、マーケットが影響を受ける可能性も考えられることから注意したい。FOMCでは、利上げは見送りが確実視されているが、トランプ政権が掲げる景気刺激策による物価上昇なども警戒されることから、実施時期を見定める必要もある。トランプ政権の政策に対する不安感や、米指標結果の悪化などもあることから、声明で利上げのペースに関してハト派的な見方が示される場合には、今年3回の利上げのペースがより緩やかになるとの思惑から、ドル売りに繋がる可能性もあることから注目したい。
2/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:15 | 米国 |
1月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
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+16.7万人 | +15.3万人 |
前回は、市場予想を下回る結果となったものの、+15万人は維持した。今回は改善が予想されているが、前回大企業で雇用が増えているものの、中小企業では減速しつつあると指摘されていたことから、割合の大きい中小企業の雇用の伸びにも注目したい。 | ||||
翌4:00 | 米国 |
FOMC金融政策発表
FOMC(Federal Open Market Committee 連邦公開市場委員会)は、米国における金融政策の最高意思決定機関で、公開市場操作の方針を決定する委員会である。メンバーはFRBの議長、副議長を含7名の理事と、ニューヨーク連銀総裁、地区連邦準備銀行の総裁4名の計12名から構成されている。
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今回は、金利などの変更は無いと予想されており、ポイントは利上げのペースである。GDPなど、最近の米経済指標の悪化が目立っていることや、トランプ政権の先行き不安を背景に、やや慎重な声明が出される可能性もあり、声明の内容に注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル円は、一時もみ合いレンジの下限を下抜ける動きとなった。しかし、値を戻す動きとなり、終値ベースでは踏みとどまっている。そのため、本日の動きに注目したい。本日時点のもみ合いレンジ下限ラインは112.45、ここを完全に下抜けるようなら、一段の下げが考えられる。その場合の下値目標の計算値は、109.60と考えられる。