前営業日トピックス
東京市場では、米FOMCの声明を受けて、ドル売りとなった流れを引き継ぎ、序盤は軟調な動きとなった。また、日経平均株価が下落して始まり、下げ幅を拡大する動きが続いたことから、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。ドル/円は、海外市場で112.06まで下落し、昨年11月30日以来の安値を付ける動きとなった。その後は、低下していた米債券利回りが上昇に転じたことや、値頃感の買い戻しの動きから堅調な展開が続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米FOMCの声明から利上げ時期のヒントが得られなかったことからドル売りとなった流れが一服し、序盤は堅調な動きとなった。ただ、日経平均株価が下落して始まり、下げ幅を拡大する動きとなったことから、リスク回避の円買いが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(2)下がったところでは国内輸入企業や機関投資家の買いなどが入るものの、株価の下落が続いたことや、米債券利回りの低下も影響して、上値の重い動きが続いた。また、日本の長期金利が約1年ぶりの高水準に上昇したことから、日米金利差の縮小を見込んだ円買いドル売りが広がった。
(3)海外市場でも円買いの動きが継続しており、ドル/円は序盤に一時112.06まで下落し、11月30日以来の安値を付けた。
(4)112円台前半での買い戻しの動きが強く、米債券利回りの上昇もあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、終盤は米雇用統計の発表を週末に控えて上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
東京市場では、前日に日本の長期金利が約1年ぶりの高水準に上昇した流れが継続するのか注目したい。金利上昇となる場合には、円買いの動きが強まる可能性も考えられる。ただ、112円台前半ではドル買い・円売りの動きも根強いことから、ドル/円が112円台を維持できるのか、または下抜けてしまうのかにも注目したい。米国市場では、米雇用統計の発表が予定されており、FOMCで早期利上げのヒントがなかったことから、雇用統計で利上げ期待が高まるような結果が出るのか注目したい。
2/3の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
1月非農業部門雇用者数
非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された雇用者数。農業以外の産業で働く雇用者であり、経営者や自営業者は含まれない。
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+17.5万人 | +15.6万人 |
前回は、市場予想を下回る結果となったが、完全雇用が近いことから、多少の雇用者数の伸びの低下でも影響は限定的となっている。今回は、前回から伸びが改善すると予想されており、+17.5万人が直前の予想値となっている。+20万人以上、+15万人以下となるようなら多少の動きが出ると考えられる。 | ||||
0:00 | 米国 |
1月ISM非製造業景況指数
ISM非製造業景況指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の非製造業(サービス業)の景況感を示す指数。管理責任者に対するアンケートを集計した指数であり、50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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57.0 | 57.2 |
前回は、前月に続き2015年10月以来の高水準となった。関連指標では、新規受注が好調となり、前月から4.6ポイント上昇となったが、雇用は4.4ポイント低下となった。今回は、雇用統計後の結果発表となることから、非農業部門雇用者数の参考にはならないが、どこまで改善しているのか注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 1時間足
ドル/円は、112.00台で底固い動きとなり、一旦値を戻す動きとなっている。一目均衡表の転換線、基準線を上抜けており、目先の上値のポイントである112.94を上抜ける動きとなるのか注目したい。ここを上抜ける場合には、雲が次のポイントとなり、ここも上抜けるようなら、113.96を目指す動きも考えられる。一方、再び軟調な動きとなる場合には、112円台を維持できるのか注目したい。112円台割れとなる場合には、下げが加速する可能性も想定しておきたい。
気まぐれ投資コラム
米雇用統計の発表を控えて
12月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を下回る結果となったことから、ドルは一時主要通貨に対して軟調な動きとなりました。しかし、前回結果が+17.8万人から+20.4万人に上方修正されたことや、賃金の伸びが前年比で2009年5月以来の高い伸びとなり、物価上昇率の目標達成に近づいたとの見方が広がったことが好感され、その後は堅調な動きとなりました。
今回の雇用統計では、非農業部門雇用者数の市場予想は+17.5万人、失業率は4.7%となっています。非農業部門雇用者数のエコノミスト予想は+14.0万人〜+23.0万人に分布しており、中心となる+17.0万人〜+18.0万人は予想全体の約47%となっています。また、+20万人以上で見ても14%となっており、予想にバラつきが見られます。先週までは、米GDPの低下などから、予想も控えめでしたが、今週発表されたISM製造業指数やADP雇用統計が予想以上の結果となったことから、やや期待感が高まることも考えられます。
前回の雇用統計では、雇用者数の伸びよりも、賃金の伸びが為替に影響したように思われます。完全雇用が近いこともあり、単月の雇用者数のある程度の増減(±2万人程度)は想定内であると考えられます。このことから、予想以上なら安定的、予想通り、または−2万人程度までならまずまず、予想から‐5万人以上ならやや懸念が高まると想定しています。
また、市場予想と大きく乖離する場合には、ドル相場もある程度動きが出る可能性も考えられます。特に、雇用者数の伸びが予想以上の結果、賃金の堅調な伸びが続けば、早期利上げ期待の高まりがドル相場に影響することも考えられます。
※出所:FX総合分析チャート
※出所:SBILM作成