前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを受けて、堅調な展開で始まった。米国市場での株価上昇を受けて、日経平均株価が大きく上昇したこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。その後は、黒田日銀総裁の所信聴取での発言が新鮮味に欠ける内容との見方から、やや一服感が強まり、ドル円・クロス円は反落となった。その後、朝鮮情勢の緊張緩和期待を背景に、安全資産とされる円を売る動きが強まったものの、米国市場では、米国の関税に対する懸念が高まっていることが影響し、上値の重い動きが続いた。また、株価もトランプ米政権の保護主義的な政策への懸念が根強く軟調な動きとなったことも影響した。終盤にかけては、底固い動きが続いた。そして、引け後には、コーン米国家経済会議委員長が辞任との報道を受けて、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米関税に関する貿易戦争への懸念が後退したことを材料に、米国市場でドル買い・円売りとなった流れを引き継ぎ、序盤から堅調な動きとなった。また、日経平均株価が上昇して始まったことも影響し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(2)日経平均株価が、一時前日比500円以上の大幅高となったことから、投資家のリスク志向が高まり、一段の上昇となった。午後に入り、参院での黒田日銀総裁の所信聴取があったが、発言の内容が新鮮味に欠けるとの見方が多く、反落となった。また、米長期金利の低下も影響した。
(3)韓国特使と北朝鮮の金委員長の会談を受けて、朝鮮半島情勢の緊張緩和に繋がるとの見方から、安全資産とされる円を売る動きが優勢となった。ただ、米国市場では、トランプ米大統領が表明した保護主義的な通商政策を巡る警戒感から、ドルは上値の重い動きとなった。その後は、トランプ大統領の関税方針への反対の動きが強まっていることから、再検討など緩和につながる可能性があるとの見方が広がり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
(4)引け後には、コーン米国家経済会議委員長が辞任との報道を受けて、ドルは一段の下落となった。
本日のトピックス
米国市場では、主要な経済指標の発表が予定されており、結果が注目されている。ADP雇用統計は、週末の米雇用統計の結果を占う意味で雇用者数の伸びが注目されている。一方、トランプ米大統領が貿易赤字の拡大に懸念を示し、輸入制限の方針を表明した直後であることから、米国の貿易収支には特に注目が集まっており、市場の予想通り赤字額が拡大となれば、為替相場にも過敏に反応する可能性が考えられる。
3/7の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:15 | 米国 |
2月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
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+20.0万人 | +23.4万人 |
前回は、市場予想を上回る結果となったものの、12月からは若干低下した。ただ、4ヵ月連続で+20万人を上回る結果となり、堅調な雇用の伸びが続いていることが示された。今回は、前回から若干の低下が予想されているものの、1年ぶりに5ヵ月連続で+20万人を上回るのか注目したい。 | ||||
22:30 | 米国 |
1月貿易収支
貿易収支は、米国から輸出された金額と米国へ輸入された金額の差額。米国では、輸出、輸入ともモノだけではなくサービス(運賃や保険、観光など)も含まれる。
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-550億USD | -531億USD |
前回は、市場予想を上回る赤字額となり、4ヵ月連続で赤字額が拡大し、2008年10月以来の大きさとなった。今回は、更に赤字額が拡大すると予想されており、結果が注目されている。トランプ米大統領が輸入制限の方針を表明した直後であることから、特に結果が注目されている。 |
気まぐれ投資コラム
初動は非農業部門雇用者数、その後は賃金の結果が影響
1月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を上回る結果となったことから、初動はドル買いが優勢となりました。また、失業率は4.1%と横ばいでしたが歴史的低水準が続いたことに加え、賃金の伸びが市場予想を上回る結果となったことを受けて、米FRBによる利上げペースが加速するとの観測から米長期金利が上昇し、円売り・ドル買いが優勢となりました。しかし、米金利の上昇を受けて、企業業績に影響するとの懸念から株価が下落し、一時前日比690ドル以上の下落となったことを受けて、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続きました。
今回の雇用統計では、非農業部門雇用者数の市場予想は+20万人と、比較的堅調な結果が予想されています。ただ、完全雇用に近い水準であることから、雇用者数の伸びはそれ程相場には影響しないと考えられます。しかし、依然として、初動では市場予想を上回るのか、下回るのかがポイントとなることから、非農業部門雇用者数の結果が注目されます。ただ、その後の動きは、賃金の伸びやFOMCを控えていることから、金利動向などが影響する可能性が考えられます。
※出所:FX総合分析チャート 5分足
※出所:SBILMが作成