前営業日トピックス
東京市場では、米国の輸入制限でカナダとメキシコが適用除外になったことや、同盟国に適用除外の余地が残されたことから、投資家の積極姿勢が強まり、安全な通貨とされる円を売ってドルを買う動きが優勢となった。また、米国と北朝鮮が会談に前向きな姿勢を示したことから、ドル円・クロス円は一段の上昇となった。ただ、上昇一服後は、今後の動きを見極めたいとの思惑も出ており、やや上値の重い動きとなった。
米国市場では、注目された米雇用統計で、非農業部門雇用者数が市場予想を上回る結果となったことを受けて、ドルは堅調な動きとなった。ただ、賃金の伸びが冴えない結果となったことから、その後のドルは上値の重い動きが続いた。しかし、NY株式市場が「適温相場」への回帰期待とともに大幅高となったことから、下値も限られ底堅い動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米国の鉄鋼やアルミニウムの輸入制限でカナダとメキシコが適用除外になったことから 投資家の積極姿勢が強まり、相対的に安全な通貨とされる円を売ってドルを買う動きが優勢となった。
(2)北朝鮮を訪問した韓国特使は、北朝鮮の金委員長ができる限り早期にトランプ米大統領との会談を希望したことや、非核化にコミットし、今後核・ミサイル実験を控える意向であると発表したことを受けて、北朝鮮情勢の緊張が和らぐとの見方から、安全資産とされる円が売られ、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、実質的な五・十日に当たり、仲値公示付近まで実需のドル買いフローも出ていた。
(3)上昇一服後は、やや上値の重い動きとなった。そして、北朝鮮がこれまでにも非核化を約束しながら実現しなかったことから、今後の動向を見極めたいとの思惑もあった。また、米雇用統計を控えていることも影響した。
(4)米雇用統計で、非農業部門雇用者数が市場予想を上回り、2016年7月以来の高い伸びとなったことが影響し、ドルは主要通貨に対して上昇した。しかし、賃金の伸びが市場予想を下回り、前月からの伸びが鈍化したことが影響し、ドルは上値の重い動きが続いた。また、原油価格が大きく上昇したことが好感され、ノルウェー・クローネ、オーストラリア・ドル、カナダ・ドルなどの資源国通貨が米ドルに対して上昇した。
本日のトピックス
先週末の欧米株の上昇を受けた日本株の上昇期待から、下値は限られる見通しだが、107円台での本邦実需筋のドル売り観測のほか、森友学園問題に絡む安倍首相の政権運営にどの程度のダメージとなるのか、日経平均株価への影響を見極める必要もあるだろう。一方、本日は、欧州市場や米国市場で主要な経済指標の発表がないことから、新規材料に乏しく、やや限定的な動きが考えられる。また、米FOMCを来週に控えてブラックアウト期間に入っていることから、米当局者の発言もない。その中で、先週末に大幅上昇となった米主要株価の動きが注目される。なお、米国では、昨日から夏時間に移行しており、主要市場の取引時間や経済指標の発表時刻などは、本日から夏時間対応となる。
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、一目均衡表の転換線を上抜けて、堅調な動きが続いており、基準線を上抜ける展開となるのか注目したい。基準線(本日107.77)は、13日には107.51に低下し15日まで横ばい、その後16日に107.27、19日に106.84まで低下する。基準線の上抜けは、重要な転換シグナルの一つであることから注目したい。なお、オシレーターのMACDは、両線クロス後上向きとなっており、堅調な動きを示唆する形状だが、参考程度で見ておきたい。
上値のポイントは
(1)107.20(レジスタンス)(2)107.77(基準線)(3)107.90(重要レジスタンス)
下値のポイントは
(1)106.16(サポート)(2)105.89(サポート)(3)105.25(直近安値)