前営業日トピックス
東京市場が休場となったことから、新規材料に乏しく、ドル円・クロス円は小動きの展開が続いた。また、中国をはじめ、アジア市場の主要株価が軟調な動きとなったことや、欧州主要株価が下落して始まったこともあり、やや上値の重い動きが見られた。
米国市場では、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードが強まっており、住宅関連の経済指標が堅調な結果となったものの、反応は限定的だった。そして、FOMCでは、追加利上げが決定されたものの、利上げのペースが維持されたことから思惑が交錯し、ドル/円はやや乱高下となった。その後、パウエル議長が賃金の伸びに関してややハト派的な見解を示したこともあり、ドルは主要通貨に対して下落した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日本市場が休場だったことや、米国のFOMCを控えて様子見ムードが強まっていることから、アジア市場では、小動きの展開が続いた。また、堅調な動きが続いていた中国、香港株が終盤にマイナス圏に下落したことなどが影響し、ドル円・クロス円はやや軟調な動きとなる場面があった。
(2)米国市場では、FOMCを控えて積極的な売買が手控えられており、序盤から小動きの展開となった。そして、米住宅関連の経済指標が市場予想を上回る結果となったことから、底固い動きも見られた。
(3)FOMCでは、市場の予想通り0.25%の追加利上げが決定されたが、加速が期待されていた年内の利上げペースが維持されたことから、加速を期待した向きの失望もあり、発表直後はやや乱高下となった。また、パウエルFRB議長が就任後初の記者会見で、賃金の伸びが加速する兆候は見られないとの認識を示したことが影響し、ドル売りが加速した。
本日のトピックス
欧州市場では、ユーロ圏と主要国の製造業・非製造業の指数発表が予定されている。結果を受けて動きが出るケースもあることから、市場予想との乖離が大きい場合にはやや注意したい。また、英国の金融政策発表が予定されている。金利据え置きがコンセンサスだが、年内の追加利上げのペースに関する声明や議事録内容、また当局者の発言に注目したい。
米国市場では、トランプ米大統領が貿易に関する文書に署名する予定と発表されていることから、注目したい。特に、中国の経済的攻撃に狙いを定めた文書のようであり、中国側の反応にも注目したい。
3/22の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:00 | 英国 |
英中銀MPC 政策金利発表
金融政策委員会(MPC 〜Monetary Policy Committee)は、イングランド銀行に設置されている委員会であり、総裁、副総裁(2名)、チーフ・エコノミスト、エグゼクティブ・ディレクター、4名の外部委員からなる9名の委員で構成されている。毎月上旬に開催され、政策は木曜日の会合後に発表を行う。
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0.50% | 0.50% |
2月は、全会一致で据え置きが決定された。今回も据え置きがコンセンサスとなっており、マーケットではすでに織り込み済みと見られている。特に、次回5月の利上げ期待を押し上げる声明や当局者の発言があるのか注目される。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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22.5万件 | 22.6万件 |
前回は、市場予想を下回り、2週ぶりに減少した。今回は、前回とほぼ同水準が予想されており、引き続き22万件台の低水準が維持されると見られる。相場への影響は大きくないと予想されるが、市場予想と乖離する結果となる場合には、相場への影響も。 |
気まぐれ投資コラム
利上げを支持するメンバーが現れるか?
前回(2/8)の英中銀のMPC(金融政策委員会)では、全会一致で政策金利の据え置きが決定され、2会合連続での全会一致の決定となりました。ただ、カーニー英中銀総裁が、「英経済の過熱を防ぐためにこれまでの想定よりも早期にかつ大幅に政策金利を引き上げる必要があるかもしれない」との認識を示したことを受けて、ポンドは主要通貨に対して上昇となり、ポンド/円も大きく上昇しました。そして、総裁の発言を受けて、金利先物市場では、5月の利上げ予想確率が直前の48%から70%まで上昇しました。
今回のMPCでは、金利などの政策の据え置きがコンセンサスとなっており、マーケットでは織り込み済みで、5月以降の利上げがポイントとなります。金利先物市場では、現時点(3/21時点)の3月の利上げ予想確率は15.8%、次回5月は65.3%近辺で推移しています。
今回は、利上げを支持するメンバーが現れるかどうかに注目しています。昨年12月から全会一致での決定が続いていますが、MPCのメンバーが1人でも利上げを支持すれば、5月利上げへの期待感が高まり、ポンドの押し上げ要因になるかもしれません。そして、複数のメンバーが利上げを支持するなら、5月の追加利上げの確率がさらに高まる可能性も考えられます。
※出所:FX総合分析チャート 10分足
※出所:SBILMが作成