前営業日トピックス
ドル円は、米主要株価の大幅上昇を受けて106.62円から始まったものの、上昇して始まった日経平均株価がマイナス圏まで下落したことも影響し、序盤は軟調な展開となった。その後は新規材料に乏しい中、米雇用統計を控えていることや、米中の貿易摩擦に関して今後の展開を見極めたいとの思惑もあり、小動きの展開が続いた。そして、中国が米国に対する追加関税の計画を発表したことを受けて、再び貿易摩擦に対する懸念が高まり、リスク回避の動きが強まった。
米国市場でも序盤まで上値の重い動きが続いたが、NEC(米国家経済会議)委員長の発言をきっかけに、米中貿易摩擦の交渉による解決への期待から、大きく下落していた米株価が上昇に転じ、ドル円・クロス円も堅調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米国市場では、終盤に106.66円まで上昇したものの、その流れが一服し、序盤から軟調な動きとなった。米通商代表部が、米国が500億ドル相当の中国からの輸入品(1300品目)に関税を導入するという報道も影響した。
(2)下げ一巡後は、底固い動きとなり、ユーロ圏の消費者物価指数、米国のADP雇用統計、ISM非製造業景気指数などの発表が予定されていることや、セントルイス連銀総裁、クリーブランド連銀総裁が講演も予定されていることもあり、やや様子見ムードが出ていた。そのため、積極的な売買が手控えられ、もみ合いの動きが続いた。
(3)中国が500億ドル相当の米製品に追加関税を計画と発表したことを受けて、米中貿易摩擦への懸念が再燃し、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は急落。ドル/円は、一時106.00まで下落した。
(4)ADP雇用統計では、市場予想を上回る結果となったものの、前回からやや伸びが鈍化したことから、反応は限定的となった。その後、クドローNEC(米国家経済会議)委員長による中国側との交渉を重視するとの発言が伝わると、株価が急速に上昇に転じた。序盤に前日比510ドル安まで下落していたダウ平均株価は、230ドル高で引けるなど、軒並み株価は上昇した。そして、ドル円・クロス円も堅調な動きとなった。
本日のトピックス
欧州市場では、ユーロ圏主要国のサービス業関連の経済指標の発表が予定されている。先に発表された製造業関連の結果発表では、やや動きが出たものの、それほど大きな反応ではなかったが、一応注目したい。
米国市場では、米雇用関連や貿易収支の発表が予定されている。特に、米国の貿易赤字の拡大が予想されており、結果を受けた反応に注意したい。また、米中貿易摩擦に関して対抗措置が出されるなど、懸念が一段と高まっており、対中赤字の結果にも注目したい。そして、結果を受けて、トランプ大統領などの要人発言にも注意したい。
4/5の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
2月貿易収支
貿易収支は、米国から輸出された金額と米国へ輸入された金額の差額。米国では、輸出、輸入ともモノだけではなくサービス(運賃や保険、観光など)も含まれる。
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-568億USD | -566億USD |
前回は、赤字額が予想以上に拡大し、2008年10月以来の大きさとなった。また、注目された対中赤字は、2015年9月以降で最大となった。今回は、前回から赤字額が拡大すると予想されており、対中赤字も拡大となると、米中貿易摩擦に対する懸念が高まる可能性も考えられる。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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22.5万件 | 21.5万件 |
前回は、市場予想に反して減少し1973年1月以来の低水準となった。今回は、前回から若干増加すると予想されているが、歴史的な低水準域で推移していることから、影響は限定的だろう。週末に米雇用統計を控えていることもあり、より減少する場合には、反応する可能性も考えられる。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、基準線を再び上抜けて堅調な動きとなっている。前回107.29の重要なレジスタンスを上抜けられず、年初から重要なレジスタンスを上抜けられない展開が続いている。ただ、再びトライのチャンスが来ている。目先の重要なレジスタンス(ボトム後の高値)は107.01となり、ここを上抜けて年初から続く下げトレントが終了となるのか注目したい。
目先のポイントは107.01であり、ここを完全に上抜けると107.29、107.90と過去の重要なレジスタンスがポイントとなる。また、一目均衡表の雲下限ラインが迫っており、雲の中に入り込む展開となるのか、雲下限ラインで跳ね返される展開となるのかも注目される。
また、6日には基準線・転換線がクロスすることや、遅行スパンが価格帯を上抜けることから、重要レジスタンスを上抜ける展開になると、チャート形状としては転換に向けて良好な形状となるのだが・・・。
上値のポイント
(1)107.01(重要レジスタンス)(2)107.29(レジスタンス)(3)107.67(レジスタンス)
下値のポイント
(1)105.96(基準線)(2)105.83(転換線)(3)105.66(直近安値)
気まぐれ投資コラム
初動は非農業部門雇用者数の結果が方向性を左右する?
2月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+31.3万人と、市場予想の20.5万人を上回り、2016年7月以来の高い伸びとなりました。一方、失業率は4.1%と5ヵ月連続で横ばいでした。そして、平均時給は、前月比で0.1%と2ヵ月連続で鈍化、また前年比でも2.6%と前月の2.8%から鈍化しました。
非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったことを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇となりました。しかし、賃金の伸びが市場予想を下回り、前月からも伸びが鈍化したことが影響し、その後ドルは上値の重い動きが続きました。
今回の雇用統計では、非農業部門雇用者数の市場予想は、前回から伸びが減少すると予想されていますが、完全雇用に近い水準であることから、市場予想から大きく乖離する結果とならなければ、反応は限定的と考えられます。むしろ、マーケットでは非農業部門雇用者数より賃金の伸びの方が注目されています。賃金の上昇圧力が確認されれば、インフレ上昇を巡る議論から、年内計4回の利上げの可能性が高まる可能性も考えられます。そうなれば、ドルの下値は限定的となる可能性も考えらます。ただ、依然として初動は非農業部門雇用者数が市場予想を上回るのか、下回るのかで方向性が決まるケースが多いことから、初動にも注目です。
※出所:FX総合分析チャート 5分足
※出所:SBILMが作成