前営業日トピックス
海外市場の軟調な流れが一服し、序盤から小動きの展開となった。トランプ米大統領によるイラン核合意の破棄・延期の判断を控え、米中貿易問題への警戒感などを背景に、リスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、下落して始まった日経平均株価が堅調な動きとなったことなどもあり、底固い動きが続いた。一方、武田薬品工業がアイルランドの製薬大手シャイアーの買収で合意したと正式に発表したことを受けて、ポンドは一時上昇する場面もあった。
米国市場では、米国債利回りが上昇したことや、雇用関連の経済指標が良好な結果となったことを受けて、ドルは堅調な動きとなった。ただ、株価の軟調な動きが続いていたこともあり、上値は限定的となった。また、トランプ米大統領が、「米国はイラン核合意を離脱する」と表明したことを受けて、リスク回避の動きからドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)新規材料に乏しい中、序盤から小動きの展開となった。イランの核問題や、日中韓首脳会談など政治リスクへの懸念を背景に、やや上値の重い動きとなった。また、日経平均株価が下落して始まったことも影響した。仲値公示近辺では、輸入企業のドル買いが見られたが、相場を大きく押し上げる程ではなかった。
(2)日経平均株価が上昇に転じたことや、米国債利回りの上昇をうけて、ドルは堅調な動きとなった。一方、武田薬品がシャイアーの買収で合意(買収総額は約460億ポンド)したと正式に発表したことを受けて、ポンド上昇する場面もあった。また、複合的な要因から新興国・資源国通貨を中心に売りが加速している一方、ドルは比較的底固い動きが続いている。
(3)トランプ米大統領によるイラン核合意に関する発表を控えて様子見ムードが広がる中、序盤から米国債利回りが上昇したことや、米求人件数が過去最高となったことなどが影響し、ドルは堅調な動きとなった。
(4)トランプ米大統領が、イラン核合意からの離脱と、イランに対する経済制裁の再開を表明したことを受けて、中東情勢の緊迫化への懸念が意識され、投資家のリスク回避の動きから、安全な通貨とされる円が買われ、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。終盤にかけては、米株価が底堅く推移したことを受けて、ドル円・クロス円は値を戻した。
本日のトピックス
トランプ米大統領が、イラン核合意を離脱すると表明したことで、海外市場では一時円が買われたが反応は限定的となった。引き続き関連する報道や要人発言には注意したい。また、ポンペオ米国務長官が北朝鮮を訪問しており、北朝鮮当局者との会合が予定されていることや、日中韓首脳会談など、政治リスクへの懸念も燻っており、会談の内容が注目される。
米国市場では、物価関連の経済指標の発表や米10年債の入札も予定されており、結果次第では動きが出る可能性が考えられる。また、アトランタ連銀総裁が経済見通しと金融政策について講演する予定であり、こちらの内容にも注目したい。
5/9の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
4月生産者物価指数(前月比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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0.2% | 0.3% |
前回は、市場予想を上回る結果となり、サービスや財が伸びたことが影響した。また、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数も市場予想を上回る結果となった。今回は、前回からの伸び幅の低下が予想されているが、4月は原油価格が上昇していることから、予想以上の伸びとなる可能性も一部では予想されている。 |