前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを受けて、序盤は底固い動きとなったものの、新規材料に乏しく、米中貿易問題の行方を見極めたいとの思惑もあり、小動きの展開が続いた。そして、日経平均株価が下落したことを受けて円が買われる場面もあったが、その後はプラスに転じて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、日米欧の中央銀行のトップが出席する討論会で、パウエルFRB議長のタカ派的発言を受けてドルは主要通貨に対して上昇した。また、米長期金利の上昇が続いたことからドル買い・円売りが優勢となり、クロス円も堅調な動きとなった。また、ECBの政策メンバーが、ECBの初回利上げは2019年の夏になる可能性があると指摘したことを受けて、ユーロは堅調な動きとなった。また、英下院がEU離脱法案の修正案を否決したことから、ポンドも堅調な動きとなる場面もあった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米中貿易摩擦が激化するとの懸念がやや一服し、序盤のドル円・クロス円は底固い展開で始まった。マーケットでは、通商問題の行方を見極めたいとの思惑もあり、やや小動きの展開となった。ただ、日経平均株価が下落に転じたことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。また、五・十日だったが、実需のフローは限定的だった。
(2)日経平均株価が上昇に転じて上げ幅を拡大し、一時300円以上の上昇となったことから、投資家のリスク選好の円売りも出ており、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、日米欧の中央銀行のトップが出席する討論会を控えていることもあり、やや上値の重い動きが続いた。一方、ノボトニー・オーストリア中銀総裁が「金融政策の違いからユーロはドルに対して大幅に下落している」と発言したことに反応し、ユーロはドルや円などに対して急落した。
(3)ポルトガルのシントラで開かれたECBフォーラムの討論会で、パウエルFRB議長が「米経済は極めて好調、段階的な利上げを継続する根拠は強い」と発言したことを受けて、ドルが買われた。また、米長期金利が上昇し、ドル買い・円売りとなったこともあり、クロス円も堅調な動きとなった。また、ECB政策委員会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁が、ECBの初回利上げは2019年の夏になる可能性があると書簡で指摘したことを受けて、ユーロは欧州タイムの下落を帳消しにする動きとなった。
(4)米長期金利の上昇が続いたことから、ドル買い・円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、英下院がEU離脱法案の修正案を否決されたことで議会権限が制約されたことが好感され、ポンドは主要通貨に対して上昇、一方対米貿易懸念からカナダ中銀の利上げの見通しが後退しており、カナダ・ドルは5営業日続落となった。
本日のトピックス
英中銀のMPC(金融政策委員会)が予定されており、結果が注目される。前回は、穏やかな金融引き締めが必要との考えが示されたが、直前の米経済指標の減速が影響して利上げが見送られた。今回も、金利据え置きがコンセンサスとなっているが、声明や議事録で今後の金融政策のヒントがあるのか注目したい。
米国では、雇用や景気関連の経済指標も発表が予定されているが、反応は限定的だろう。そして、貿易問題では、EUが報復措置を発表するなど、懸念が高まっていることから、関連する報道や要人発言には注意したい。
6/21の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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20:00 | 英国 |
英中銀MPC金融政策発表
金融政策委員会(MPC 〜Monetary Policy Committee)は、イングランド銀行に設置されている委員会であり、総裁、副総裁(2名)、チーフ・エコノミスト、エグゼクティブ・ディレクター、4名の外部委員からなる9名の委員で構成されている。毎月上旬に開催され、政策は木曜日の会合後に発表を行う。
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0.50% | 0.50% |
前回は、予想以上の景気減速が影響し、利上げが見送られるなど、金融政策を維持した。今回も政策の維持が予想されており、反応は限定的と考えられる。ただ、声明や議事録などで、利上げの時期などに言及があれば、敏感に反応する可能性もあるだろう。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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22.0万件 | 21.8万件 |
前回は、市場予想を下回り、3週連続の低下となった。今回は、やや増加が予想されているが、21万件台を維持できるのか注目したい。このところ、結果受けた反応は小さいものの、市場予想との乖離が大きくなる場合には、反応も大きくなる可能性が考えられる。 |
気まぐれ投資コラム
据え置きが確実視されているが、利上げスケジュールのヒントがあるのか注目
英中銀のMPC(金融政策委員会)が予定されており、結果が注目されています。前回は、穏やかな金融引き締めが必要との考えが示されましたが、直前に発表された英国のGDPなど主要な経済指標の減速が影響して利上げが見送られました。そして、2会合連続で7対2での決定となり、マカファティー委員、ソーンダース委員は利上げを主張していました。
今回も金利据え置きなど、政策の現状維持が予想されており、金利先物市場における今回の利上げ予想確率は2.3%と、前回直前の12%よりも低くなっています。前回、金利据え置きを主張したメンバーは、弱い経済指標を理由に挙げていましたが、最近の英国の経済指標はまずまずの結果が続いていることもあり、主張理由に変化があるのか注目です。また、2名以外で利上げを主張するメンバーが現れるどうかにも注目されています。
そして、先週は米FOMCでの利上げに加え、ECBが年内の量的緩和終了を発表しましたが、欧米と英中銀のスタンス違いなどを示すのか、また議論がされたのか声明や同時に発表される議事録にも注目です。また、英国のEU離脱交渉に絡む政治的リスクに対する懸念を示す可能性も指摘されており、これをどう見ているのか、また金融政策の判断に影響が出ているのかにも注目が集まっており、それによりポンド相場に影響する可能性も考えられます。
※出所:データを基にSBILMが作成