前営業日トピックス
東京市場では、序盤に「米国が中国輸入品への関税引き上げを計画」との報道を受けて、ドル円・クロス円は下落する場面もあったが、下値は限定的だった。その後は、日経平均株価の上昇が続いたことや、米FOMCで利上げペースの加速が確認されるとの思惑もあり、ドル買い・円売りが優勢となり、クロス円も堅調な動きとなった。その後、米中貿易問題に対する懸念が高まったことから軟調な動きとなった。
米国市場では、米ADP雇用統計が予想以上の伸びとなり、一方でISM製造業景況指数が悪化したものの、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードも強く、反応は限定的だった。ただ、米国の関税引き上げに中国が警告を示したことから、ドル売り・円買いが強まった。そして、FOMCで政策金利の据え置きが決定されたが、経済活動は力強いペースで拡大しているとの認識が示されたことから、終盤には値を戻した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)序盤は小動きの展開で始まったものの、米国が中国輸入品2000億ドルへの関税引き上げを計画との関係者の発言が報道されたことを受けて、貿易摩擦への懸念が高まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。前日に日銀の緩和継続が示されたことで円高への警戒感が薄れたとの見方や、FOMCで米国の漸進的な利上げ方針が維持されるとの見方を背景に、底固い動きとなった。
(2)日経平均株価が堅調な動きとなり、午後に上げ幅を拡大したことが影響し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、10年債長期国債利回りが0.115%に上昇し、昨年2/3以来の高水準をつけたが、米10年国債利回りも2.9%台後半まで上昇しており、相対的に金利差拡大にはなっていないことから、円が買われ難いことも影響し、堅調な動きが続いた。
(3)米国が中国からの輸入品に関税を課す計画について、税率を従来予定の2倍余りに引き上げることを提案すると一部で報じられ、貿易関係を巡る緊張が高まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。米国市場では、序盤の米ADP雇用統計が予想以上の伸びとなったものの、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードも強く、反応は限定的となった。
(4)米国が関税引き上げなら反撃すると中国が警告したことから、投資家のリスク回避の動きも見られ、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。そして、FOMCで政策金利の据え置きが決定されたことを受けて、ドルは主要通貨に対して一段の下落となった。しかし、声明で経済活動は力強いペースで拡大しているとの認識が示され、利上げのペース(年内あと2回)は変わらないとの見方を背景に、終盤には値を戻した。
本日のトピックス
昨日は、米中貿易問題に関する報道を受けて、ドル円・クロス円は下落する場面もあった。今後も報道に左右される可能性があるものの、解決に時間を要するのは織り込み済みであり、また米国の決定期限が8月末であることから、追加関税や税率の引き上げなどに関する牽制的な発言や報道にも、限定的な反応となるだろう。むしろ、日本と米欧英などの金融政策の進行、金利差が影響する可能性も考えられる。
本日は英国の金融政策発表が予定されている。金利先物市場での利上げ予想確率が91%となっており、マーケットでは利上げがほぼ確実視されている。ただ、エコノミスト予想では17%が据え置きを予想しており、サプライズとなる場合には一応注意を払いたい。
また、昨晩「米政府がトルコへの経済制裁で対象リストを準備」との関係者の発言が報道され、トルコリラは対ドルで最安値、対円でも7月の安値(22.25)に次ぐ安値(22.27)を付けており、続報には注意したい。
8/2の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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20:00 | 英国 |
英中銀MPC結果発表
金融政策委員会(MPC 〜Monetary Policy Committee)は、イングランド銀行に設置されている委員会であり、総裁、副総裁(2名)、チーフ・エコノミスト、エグゼクティブ・ディレクター、4名の外部委員からなる9名の委員で構成されている。毎月上旬に開催され、政策は木曜日の会合後に発表を行う。
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0.75% | 0.50% |
前回は、市場の予想通り政策金利は据え置きとなり、5会合連続で据え置きとなった。ただ、6対3での据え置き決定となり、3名が利上げを支持したことで、今回の利上げ期待は高まっている。そして、金利先物市場における利上げ予想確率は、現状で91%と高い確率が示されている。 |
気まぐれ投資コラム
米雇用統計、変動幅は大きくなるのか?
7/6に発表された6月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが+21.3万人と市場予想を上回り、2ヵ月連続で安定的な伸びとされる+20万人を上回りました。しかし、失業率が前月から0.2ポイント上昇し、3ヵ月ぶりの4%台となったことに加え、賃金の伸びが市場予想を下回る結果となったことが嫌気され、ドルは軟調な動きとなりました。ただ、失業率が悪化したものの、依然として低水準が続いていることや、雇用情勢が堅調に推移しており、米FRBの利上げペースには影響しないとの見方から、ドルは底固い動きが続きました。
民間部門雇用者数の伸びが+20.2万人、このうち製造業が+3.6万人、建設業が+1.3万人、鉱業・林業が+0.4万人。また、民間のサービス部門は+14.9万人と前月から伸びが鈍化、サービス業のうち、教育・医療サービスが+5.4万人、小売業は-2.2万人、一時雇用を含む企業専門サービスは+5.0万人、政府部門は+1.1万人。また、労働参加率は62.9%と前月から上昇、フルタイムで働きたいのにパートの仕事しか見つからない人なども含めた広義の失業率(U6)は7.8%と前月から上昇。そして、1時間当たりの賃金は、前月と比べ+0.05ドルの26.98ドル、前年比+2.7%となりました。管理職を除いたベースの時給は前月比+0.04ドルの22.62ドル。自発的離職率は12.4%と前月から低下。失業期間が半年以上の長期失業者数は前月から+28.9万人の147.8万人となりました。
今回の米雇用統計の予想
失業率・・・・・・・・・・ 3.9%(前回 4.0%)
非農業部門雇用者数・・・+19.0万人(前回 +21.3万人)
民間部門雇用者数・・・・+19.0万人(前回 +20.2万人)
製造業雇用者数・・・・・ +2.5万人(前回 +3.6万人)
平均時給(前月比)・・・・ 0.3%(前回 0.2%)
平均時給(前年比)・・・・ 2.7%(前回 2.7%)
労働参加率・・・・・・・・ 62.9%(前回 62.9%)
今回の雇用統計では、非農業部門雇用者数は前回から伸び幅が縮小すると予想されています。2ヵ月連続で市場予想を上回る結果となっており、尚且つ安定的な伸びとされる+20万人を上回っていることから、反動でやや伸び幅が縮小すると予想する向きも多くなっています。
また、住宅関連の経済指標の悪化が続いていることや、企業の設備投資の低下から、関連部門の雇用者数の伸びが低下するとの見方も根強く、エコノミスト予想でも+20万人を下回るとの予想は全体の63%を占めています。そして、エコノミスト予想では、78%が+18.0万人〜+20.0万人に集中しており、この範囲内の結果となるようなら、マーケットの反応は限定的となる可能性が考えられます。
最近の米雇用統計では、発表から1時間のドル/円の平均変動幅が過去半年間で0.42円となっており、マーケットの反応は以前と比べ小さくなっています。ここ2ヵ月は、特に動きが小さくなっていることから、市場予想から乖離する結果とならなければ大きな動きにはつながらないと考えられます。また、賃金は前回市場予想を下回る結果となるなど、このところやや伸び悩む結果が続いていることから、こちらの結果にも注目です。
※出所:FX総合分析チャート 5分足
※出所:SBILM