前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。米国の追加利上げ観測を背景にドル買い・円売りが続いており、これに日経平均株価の上昇も加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。豪ドルは、豪州の政治的混乱を背景に上値の重い動きが続いていたが、新首相が決定しオーストラリアの政局不安が後退したことから、豪ドル買いが優勢となった。その後は、ジャクソンホールの経済シンポジウムの各国金融当局者の講演を控えて様子見ムードが高まっており、限定的な動きが続いた。
米国市場では、注目されたジャクソンホールでの講演で、パウエルFRB議長が米国は強い経済が続くとの見方を示したことを受けてドルが上昇したが、一方で段階的な利上げを維持する方針を示したことで、利上げペースの加速観測が後退し、円買い・ドル売りが優勢となった。ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。一方、米株式市場では、利上げペース加速への警戒感が後退したことから主要株価は堅調な動きとなり、ナスダックとS&P500はともに終値ベースで過去最高値を更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米国の追加利上げ観測を背景に海外市場からドル買い・円売りが続いており、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、実質的な五・十日であり、仲値公示にかけてドルは堅調な動きとなった。また、ユーロはトランプ大統領が政府債購入でイタリアを支援するとの報道を受けて堅調な動きが続いた。
(2)パウエルFRB議長の講演を控えて様子見ムードが広がっているが、 利上げ路線の継続が示されるとの期待感もあり、ドルは底固い動きが続き、ドル/円は、一時8/6以来の高値を付けた。一方、豪与党自由党の党首選でモリソン財務相が次期首相に就任することが決まったことで、豪州の政局不安が一旦後退したとの見方から、豪ドルの買い戻しが強まった。その後、利益確定の動きなどもあり、ドルや豪ドル、ユーロなどは対円で上値の重い動きとなった。
(3)欧州主要株価が堅調な動きとなったことを受けて、ドル円・クロス円は比較的堅調な動きとなった。その後、様子見の展開が続いたが、7月米耐久財受注が市場予想以上の悪化となったことから、ドルが売られた。
(4)ジャクソンホールの経済シンポジウムの講演で、パウエルFRB議長が米国は強い経済が続くとの見方を示したことを受けて、ドルが上昇したものの、段階的な利上げを維持する方針を示したことで、利上げペースの加速観測が後退し、円買い・ドル売りが優勢となった。また、中国金融当局が人民元の下支えに動く兆候や、非核化を目指した協議の十分な進展が見られないとし、予定されていたポンペオ国務長官の北朝鮮訪問をトランプ大統領が中止したことも加わり、ドルは、主要通貨に対して下落となった。一方、ユーロは対ドルで8/2以来、対円では8/8以来の高値を付けた。
本日のトピックス
今週は、各国政治リスクが相場の方向性を左右するポイントになりそうだ。特に、株価への影響なども加わるようなら、投資家のリスク回避姿勢が強まる可能性が考えられる。先週末に、オーストラリアの首相が後退したことや、トランプ米大統領の側近の問題、ポンペオ国務長官の北朝鮮訪問をトランプ大統領が中止したことの続報などには注目したい。また、ユーロ圏、英国、トルコ、南アの政治がらみの懸念もあり、関連する報道や要人発言には注意したい。
米国市場では、主要な経済指標の発表が少なく、先週末のパウエルFRB議長の金融政策に関する発言がややハト派的との指摘もあることから、ドルは上値の重い動きが続く可能性も考えられる。
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
豪ドル/円は、2016年11月ぶりとなる80円台割れから堅調な動きが続いている。現状では、一目均衡表の基準線を上抜けていることや、オシレーターのMACDで両線クロスして上向き、乖離幅の拡大となっていることから、堅調な動きが続く可能性も考えられる。
ただ、下げ途中の小休止の持ち合いパターン(フラッグ型)で、現在4波動目の上昇過程と見ることもできる。そのため、持ち合い上限近辺で失速となる場合、5波動目の下げに転じる可能性も考えられる。その際、基準線を下抜けると下げが加速する可能性が考えられることから、注目したい。なお、基準線は9/4までは81.47で横ばいが続くが、5日、6日と低下となる。
上値のポイント
(1)81.99(重要レジスタンス)(2)82.57(雲下限)(3)82.79(重要レジスタンス)
下値のポイント
(1)81.47(基準線)(2)81.00(重要サポート)(3)80.57(重要サポート)
気まぐれ投資コラム
ドルの買い越しは、2017年1月半ば以来の高水準
CFTC(米商品先物取引委員会)のIMM通貨先物の投機部門の取組(8/21までの週)では、ドルの主要6通貨(円、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル)に対する買い越し額が236億7000万ドル(前週の231億7000万ドル)と拡大し、2017年1月半ば以来の高水準となりました。また、ニュージーランドドル、メキシコ・ペソ、ブラジル・レアル、ロシア・ルーブルを含めた10通貨でも、249億5000万ドル(前週243億5000万ドル)の買い越しとなり、買い越し額が拡大しています。
※出所:CFTCのデータを基にSBILMが作成
※出所:CFTCのデータを基にSBILMが作成