前営業日トピックス
東京市場では、トランプ米大統領が対日貿易協議に言及したことや、大統領が新たに2670億ドル相当の中国製品に対して追加関税を課す用意があると明らかにしたことが材料視され、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。また、今後の日米や米中の通商問題の行方を見極めたいとの思惑もあり、限定的な動きが続いた。その後、欧州主要株価が堅調な動きとなったことから、底固い動きとなった。
米国市場では、米国の主要な経済指標の発表がなかったものの、EUのバルニエ首席交渉官が英国のEU離脱交渉で楽観的な見方を示したことが好感され、ポンドは主要通貨に対して上昇となり、ドル円・クロス円も連れ高となった。その後、米政府がトランプ米大統領と北朝鮮の金委員長の首脳会談を調整しているとの報道を受けて、ドルは対円で一段の上昇となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)今月下旬に2回目の日米通商協議が予定されているが、日米通商協議が長引くとの見方がある中、トランプ米大統領が「仮に協議が物別れとなれば、日本側は一大事になることを認識している」と語ったことが材料視され、序盤からドル売り・円買いが先行した。その後、五・十日のフローを受けて仲値公示前ドル買い円売りとなったことから111.04まで反発したが、その後は110.80円台まで下落した。
(2)小動きながら堅調な動きが見られたものの、日経平均株価が限定的な動きとなったことに加え、米長期債利回りが低下したことも加わり、上値の重い動きが続いた。その後、欧州主要株価が底固い動きとなったことが好感され、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
(3)EUのバルニエ首席交渉官が「幾つかの問題が残っているものの、英国のEU離脱に関する合意を8週間以内に結ぶことは『現実的』だ」との認識を示したことが好感され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ポンドは主要通貨に対して上昇となり、特に対円で8/30以来、対ドルで8/2以来の高値を付けた。ただ、米中通商摩擦が一段と激化する可能性があるとの懸念もあり、ドルはやや上値の重い動きとなった。
(4)米政府がトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の首脳会談を調整しているとの報道を受けて、ドルは対円で一段の上昇となった。しかし、引けにかけてはやや上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
欧州では、イタリアの予算をめぐる懸念が後退したとの見方や、英国のEU離脱に関して当局者から楽観的な見通しが示されたことから、ユーロやポンドが上昇したが、マーケットでは依然として懸念も燻っていることから、新たな報道や要人発言には注目したい。一方、今月下旬に2回目の日米通商協議が予定されているが、協議が長引くとの見方がある中、トランプ米大統領が「仮に協議が物別れとなれば、日本側は一大事になることを認識している」と語ったこともあり、今後の動向が注目される。また、米中通商摩擦に対する懸念も根強いことから、通商問題に関する報道や要人発言には敏感に反応する可能性も考えられる。
9/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
7月JOLT労働調査[求人件数]
JOLTS 労働調査(求人件数)は、米労働統計局が求人状況を測定するために実施する調査で、小売業や製造業など各業種の雇用データをもとに算出する統計。
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667.5万件 | 666.2万件 |
前回は、市場予想を上回り、5月から若干の増加となった。自発的離職者は過去最高となった前月を下回ったが、離職率は変わらずとなり、引き続き転職が容易であることが示された。今回は、前回から若干の増加が予想されており、依然として雇用市場が良好であることから、ドルの下支え要因となるだろう。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、一目均衡表の雲の中での動きが続いており、雲上限ライン近辺では上値が重く、雲下限ライン近辺では底固い動きが続いており、雲の上下のどちら側に抜けるのか見極めたい。
オシレーターのMACDでは、両線がゼロライン近辺で横ばいとなっており、方向性を見極める参考にならない。その他では、109.78からの上昇に対する小休止の持ち合いパターンと見ることもできる。そして、現在5波動目の上昇であるなら、雲の上抜け&持ち合い上限ラインの上抜けに注目したい。
一目均衡表の雲上限‐雲下限は、本日が111.548‐110.641、12日が111.582‐110.641、13日が111.581‐110.761、14日が111.547‐110.781となる。
上値のポイント
(1)111.55(雲上限)(2)111.70(持ち合い上限)(3)111.83(重要レジスタンス)
下値のポイント
(1)111.00(サポート)(2)110.80(基準線)(3)110.64(雲下限)
気まぐれ投資コラム
ドルの買い越しは5週間ぶりの低水準
CFTC(米商品先物取引委員会)が公表したIMM通貨先物の投機部門の取組(9/4までの週)では、ドルの主要6通貨(円、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル)に対する買い越し額が206億ドル(前週233億4000万ドル)に減少し、5週間ぶりの低水準となりました。ドルの買い越しは12週連続。また、NZドル、メキシコペソ、ブラジルレアル、ロシアルーブルを含めた10通貨に対しては、221億4000万ドルの買い越し(前週246億9000万ドル)と縮小しました。
ユーロは7963枚(前週7219枚の売り越し)の買い越しに転換、円は51932枚(前週46041枚)の売り越し、豪ドルは44031枚(前週44633枚)の売り越し、ポンドは9613枚(前週76928枚)の売り越しでした。
※出所:CFTCのデータを基にSBILMが作成
※出所:CFTCのデータを基にSBILMが作成