前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の堅調な流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から小動きの展開となった。日経平均株価が上昇して始まったものの、その後マイナス圏まで下落したことに反応し、ドル円・クロス円は軟調となった。しかし、日経平均が再びプラス圏まで反発したことが好感されて底固い動きが続いたが、中国株が上げ幅を縮小し、日経平均株価も上値が重くなったことから、ドル円・クロス円は上げ幅を縮小した。
米国市場では、序盤に発表された米新築住宅販売件数が市場予想を下回ったことに加え、米主要株価が下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米地区連銀経済報告で、貿易摩擦の影響が広がっていることが指摘されたことを受けて、ドル円・クロス円は下げ幅を拡大した。米株式市場では、ダウ平均とS&P500が年初来マイナスとなり、ナスダックは2011年8月以来の大幅安で引けた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の堅調な流れが一服し、序盤のドル円・クロス円は小動きの展開となった。株価を睨みながらの展開が続いており、日経平均株価が上昇して始まったことから底固い動きが見られたものの、その後マイナス圏の下落したことを受けて、円が買われた。
(2)日経平均株価が再びプラス圏に反発し、上げ幅を拡大したことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。しかし、日本株式市場の終了を挟んで上海株が上げ幅を縮小したことから、再び軟調な動きとなった。また、ユーロ圏の経済指標が市場予想を下回ったことが嫌気され、ユーロは一段の下落となった。
(3)欧州主要株価や、米株価先物が堅調な動きとなったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、米中両首脳が11月末のG20首脳会合で会談すると伝わり、貿易摩擦への懸念が後退したことも材料視された。
(4)サウジ記者殺害問題などの地政学的リスクを背景に、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、9月の米新築住宅販売件数が市場予想を下回ったことに加え、序盤上昇していたダウ平均株価が下落に転じ、下げ幅を拡大したことも嫌気された。そして、米地区連銀経済報告で、貿易摩擦の影響が広がっていることが指摘されたことや、過半数の地区が緩慢ないし緩やかな景気拡大が報告されたことを受けて、投資家心理がさらに冷え込み、株価が下げ幅を拡大するとともに、ドル円・クロス円も一段の下落となった。一方、カナダ中銀が利上げを発表し、金融刺激局面からの脱却に向けたペースの加速を示唆したことが好感され、カナダ・ドルは主要通貨に対して上昇した。
本日のトピックス
米国市場での株価の大幅下落が日本市場にも影響しており、中国株や欧州主要株価への影響も警戒されている。また、前日大幅下落となった米国市場で下落が一服となるのかにも注目したい。為替市場では、引き続き株価を睨んだ展開が続く可能性が考えられる。また、本日はトルコ中銀の政策金利発表が予定されているが、マーケットでは金利据え置きが予想されている。物価が急上昇となる一方、エルドアン・トルコ大統領の利下げをすべきとの牽制的な発言もあり、結果が注目されている。また、ECB理事会も予定されており、このところのユーロ圏の経済指標の冴えない結果や、EU離脱問題に対する懸念が声明や総裁の会見で指摘されるようなら、ユーロ相場にも影響するだろう。
10/25の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
9月耐久財受注(前月比)
耐久財受注(Durable Goods Manufacture's Orders)は、米国の耐久財(耐久年数3年以上)の新規受注額を集計した指標であり、設備投資の先行指標として注目されている。特に、変動の大きい輸送用機器などを除いた受注額が民間の設備投資の先行指標として注目されている。
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-1.5% | 4.5% |
前回は、市場予想と一致し、2月以来の大幅な伸び率となった。また、変動の大きい輸送機器を除いた受注は1月以来の低い伸びとなった。前回、民間の航空機が大きく増加したことが全体を押し上げたが、今回は反動で減少が予想されており、また9月に上陸したハリケーンの影響が出る場合には、予想以上の減少幅となる可能性も考えられる。 | ||||
23:00 | 米国 |
9月中古住宅販売仮契約(前月比)
中古住宅販売仮契約は、全米不動産業者協会が発表する中古住宅販売の仮契約を指数化したもの。2001年を100として表す。仮契約は通常1-2ヵ月以内に本契約に移行するため、仮契約指数は中古住宅市場の先行指数とされる。
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0.0% | -1.8% |
前回は、市場予想を下回り、2ヵ月連続の低下で1月以来の大きな低下幅となったことから、中古住宅市場の冷え込みが続いていることが示された。今回は、伸び率が0%と予想されているものの、9月に上陸したハリケーンの影響が出ている場合には、マイナスに落ち込む可能性も考えられる。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、一目均衡表基準線の上抜けをトライできずに軟調な動きとなっている。また、オシレーターのMACDでは、両線のクロス直前と見られていたが、下げが失速していた先行するラインが再び下向きとなって、ゼロラインを下抜けており、ここからの動きに注目したい。
目先の重要な下値のポイントは111.63となり、ここを下抜ける場合には、一段の下げも考えられる。ただ、この近辺には一目均衡表の雲も位置しており、底固い動きとなる可能性も考えられる。そして、111.63、雲を下抜ける場合の下値目標の計算値は109.963となる。また、相場の方向性を示すとされる一目均衡表の基準線は、現状では横ばいが続いており、今後10日間は横ばいが続くが、111.63を下回る場合には、その時点から低下することから注目したい。
上値のポイント
(1)112.242(本日高値)(2)112.740(レジスタンス)(3)113.086(基準線)
下値のポイント
(1)111.627(重要サポート)(2)111.447(本日の雲下限)(3)111.169(サポート)
気まぐれ投資コラム
トルコの政策金利発表、中銀の判断は?
10/25の20時にトルコ中銀の政策金利が予定されています。マーケットでは金利据え置きが予想されています。今週に入り、エルドアン・トルコ大統領が利下げをすべきと牽制的な発言をしており、利下げのプレッシャーがかかる中、結果が注目されています。
現在、トルコの政策金利(1週間レポレート)は24.00%ですが、10/3に発表されたトルコのCPI(消費者物価指数)が24.52だったことから、実質金利はマイナスとなっています。9/13の利上げ時のトルコ中銀の声明では、「物価安定のため強力な金融引き締め実施を決めた」としていますが、その後10/3の消費者物価指数の発表では、前回の17.90%から24.52%に上昇しており、とても安定しているとは言えない結果となっています。
トルコ中銀としては、実質マイナス金利から脱したいものの、行き過ぎた高金利のもたらす経済への悪影響も懸念されるだけに、判断が注目されます。マーケットの予想に反して利上げが決定される場合、前回のように大幅な利上げの可能性は低いと考えられますが、実質マイナス金利が解消する程度の利上げなら可能性もあるとの見方もあります。
※出所:CFTCのデータを基にSBILMが作成
※出所:FX総合分析チャート 日足