前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。そして、米主要株価の大幅下落を受けて、日経平均株価も大きく下落して始まったことも影響した。その後、下げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。そして、中国当局者が米国産大豆とLNG輸入の再開に備えるよう指示を受けたとの報道が好感され、ドル/円は上昇する場面もあったが、反応は一時的となり、その後は上値の重い動きが続いた。
米国市場は、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領の死去に伴う「国民追悼の日」で、米株式市場など一部市場が休場となったことから、手掛かり材料に乏しく小動きとなった。その中で、カナダ中銀の政策決定や声明を受けて、カナダドルが米ドルなど大半の主要通貨に対して下落した。また、ユーロやポンドが対ドルで下落したことも加わり、ドルは対円でも堅調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場で主要株価が大幅下落となったことから円買いが優勢となった流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。日経平均株価がオープン直後に300円以上の下落となったが、その後下げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。一方、豪州のGDPが悪化したことから、豪ドルは主要通貨に対して下落した。
(2)新規材料に乏しく、株価の動きも横ばいが続いたこともあり、小動きの展開が続いた。しかし、中国当局者が、米国産大豆とLNG輸入の再開に備えるよう指示を受けるなど、対米貿易に対する前向きな報道を受けて、堅調な動きが見られたものの、反応は限定的となった。米国では、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領の死去に伴う「国民追悼の日」となり、予定されていたパウエルFRB議長の議会証言が延期されたことから、限定的な動きが続いた。
(3)米国市場は、「国民追悼の日」で米国の株式市場や債券市場など一部市場が休場となったため、材料に乏しく小動きの展開となった。その中で、カナダ中銀が政策金利を1.75%に据え置いた。インフレ目標達成に向け一段の金融引き締めが必要と表明したが、経済が当初の見立てほど生産能力に近づいていない可能性を示唆した。将来の利上げペースを巡り慎重さが増す可能性を示したことで、来月の利上げ観測が後退したとの見方が広がり、カナダドルは大半の主要通貨に対して下落となった。また、ユーロやポンドが対ドルで下落したことも加わり、ドルは対円でも堅調な動きとなった。
(4)米地区連銀景況報告(ベージュブック)では、米国経済の経済活動の拡大や労働市場の引締まりが指摘されたこともあり、終盤にかけてドルは再び堅調な動きとなった。
本日のトピックス
昨晩は、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領の国葬で米国の主要市場が休場となり、昨日予定されていた米国の経済指標の発表が本日にスライドされている。そのため、主要な経済指標の発表が多いことから注目したい。その中で、先週末に米中首脳会談があり、米中の貿易問題がマーケットの中心材料となっていることから、米貿易収支の結果が注目される。今回、貿易赤字額が2008年10月以来の大きさとなると予想されており、予想通りの結果となるようなら、マーケットの反応も大きくなる可能性が考えられる。さらに、前月過去最大となった対中赤字が一段と拡大するようなら、今後の米中通商協議への懸念が高まることも考えられることから、想定以上の反応となる可能性もあり、注意が必要だろう。
12/6の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:15 | 米国 |
11月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
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+19.5万人 | +22.7万人 |
前回は、市場予想を大きく上回り、今年2月以来の高い伸びとなった。ハリケーン上陸があったものの、9月、10月といずれも市場予想を上回る結果となり、雇用情勢の堅調さが示された。今回は、前回から若干伸び幅の低下が予想されており、ここまでの年平均が+20.4万人であることから、これを下回る場合には雇用改善の勢いに失速感が出る可能性もあるだろう。 | ||||
22:30 | 米国 |
10月貿易収支
貿易収支は、米国から輸出された金額と米国へ輸入された金額の差額。米国では、輸出、輸入ともモノだけではなくサービス(運賃や保険、観光など)も含まれる。
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-550億USD | -540億USD |
前回は、市場予想を下回り、4ヵ月連続の赤字拡大となった。そして、赤字額は2月以来の高水準となった。特に、通商問題が燻る中で、対中貿易赤字が拡大し、過去最大となったことが影響した。今回は、さらに赤字が拡大すると予想されており、予想通りなら2008年10月以来の赤字額となることから、為替市場への反応も大きくなる可能性が考えられる。 | ||||
0:00 | 米国 |
11月ISM非製造業景況指数
ISM非製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の非製造業(サービス業)の景況感を示す指数。管理責任者に対するアンケートを集計した指数で、50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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59.0 | 60.3 |
前回は、市場予想を上回ったものの、約21年ぶりの高水準となった9月の結果から低下した。ただ、依然として高水準を維持しており、予想通り低下となった場合でも、マーケットの反応はそれほど大きくないだろう。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ユーロ/円は、売られ過ぎ・買われ過ぎの度合いを見るオシレーターのRSIで、指数が中立となる50%を挟んだもみ合いが続いており、相場の方向性が付きにくい状況であることが読み取れる。その中で、移動平均線を複数重ねた多重移動平均で見ると、128.50-60台、その上の129.10-40台近辺で上値が抑えられていることが伺える。多重移動平均では、ラインが密集するポイントが重要とされており、そこを抜ける場合には一段の動きとなるケースがよくある。
現状では、二段にわたり移動平均線が密集しており、上値の重い動きが続いている。ここから、密集しているポイントを上抜ける力強い動きとなるのか、上値の重い動きが続き、下値のポイントを抜けるのか注目したい。
上値は、二段にわたり複数の移動平均線が密集している近辺がポイントなる。下側の移動平均線の密集(128.50-60台近辺)は短期線の集まりであることから、それ程強いポイントではないと考えられるが、その上側のポイントは直近でも上値が抑えられていることから重要なポイントとなるだろう。
一方、下値のポイントは、124.90と126.63を結んだトレンドライン(本日は127.60近辺)と、重要サポートの127.49となる。ここを下抜ける場合の下値目標の計算値は126.62、下値ポイントである126.63を下抜ける場合の下値目標の計算値は123.65となる。