前営業日トピックス
東京市場では、先週末に発表された中国の景況感の改善や、日経平均株価の上昇を受けて投資家リスク志向が高まり、比較的安全な資産とされる円を売ってドルを買う動きが先行した。午後に入ると、株価上昇が一服となり、やや上値の重い動きとなったものの、ドルは底固い動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された米小売売上高が予想外のマイナスとなったことを受けて、ドルはやや軟調な動きとなった。しかし、その後に発表されたISM製造業景況指数が市場予想を上回ったことや、米主要株価が軒並み上昇となったことを受けて、ドルは上昇に転じて堅調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが上昇したことも加わり、ドルは堅調な動きとなった。引け後の時間外で、英国下院がEU離脱に関する国民投票、単一市場残留案、関税同盟安などの離脱案の代案をすべて否決したとの報道を受けて、ポンドは大きく下落となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)中国国家統計局が週末に発表した3月の中国製造業PMIが業況改善・悪化の判断基準となる50を4ヵ月ぶりに上回ったことや、トルコの統一地方選が大きな混乱なく終了したことを受けて、投資家のリスク志向が強まり、相対的に安全な資産とされる円を売ってドルを買う動きが先行し、ドル円・クロス円はギャップアップで始まった。さらに、日本の元号変更に伴うご祝儀相場で、日経平均株価が前週末比450円以上の上昇となったことや、3月の財新メディア中国製造業PMIも4ヵ月ぶりに50を上回ったことで中国株が上昇したことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。
(2)前引け直前に、前週末比477円高まで上昇していた日経平均株価が、午後に入り上げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円の上昇も一服となり、やや上値の重い動きとなった。しかし、日経平均株価が前週末比300円高を維持したことや、米株価先物が堅調な動きとなったこと、さらに前週末に2.403%だった米10年債利回りが2.447%まで上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は、111.00前後でのもみ合いが続いた。
(3)米小売売上高が予想外のマイナスとなったことで、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ただ、前月結果が大きく上方修正されたこともあり、下げは一時的だった。
(4)ISM製造業景況指数が市場予想を上回ったことや、ダウ平均株価が昨年10月以来、約半年ぶりの高値を付けるなど、米主要株価が軒並み上昇となったことを受けて、ドルは堅調な動きとなった。さらに、一時2.422%まで低下した米10年債利回りが2.506%まで上昇し、約1週間ぶりに2.5%台まで戻したことも加わり、ドル/円は3/20以来の高値を付けた。一方、引け後に、英国下院がEU離脱に関する国民投票、単一市場残留案、関税同盟安などの離脱案の代案をすべて否決したとの報道が伝わり、ポンドは主要通貨に対して下落となり、ポンド/円も1円近く下落した。
本日のトピックス
本日、午後には豪中銀の金融政策発表が予定されており、注目が集まっている。政策金利の据え置きがコンセンサスとなっている。豪中銀は、金利見通しをここまで中立スタンスを維持しているが、先週のNZ中銀が金利引き下げ方向に見方を変えたことで、一部では豪中銀も見通しを変えるのではないかとの見方も出ている。政策金利見通しを、中立から利下げ方向にスタンスを変化させる場合には、豪ドルの圧迫要因となる可能性も考えられるが、中立スタンス維持なら底固い動きが続くだろう。
米国市場では、耐久財受注の発表が予定されており、市場予想では4ヵ月ぶりのマイナスへの落ち込みが予想されている。昨晩の米小売売上高は予想外のマイナスとなったものの、ドル下げは一時的で下げ幅は限定的となった。世界的なリスク回避の動きが和らいだものの、英国やトルコなど引き続き不透明感も高いことに加え、米長期金利の上昇傾向もあり、ドルに資金が流れやすいと考えられる。米長期金利の上昇傾向が続く場合には、本日も同様の展開となる可能性も考えられる。
4/2の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
2月耐久財受注(前月比)
耐久財受注(Durable Goods Manufacture's Orders)は、米国の耐久財(耐久年数3年以上)の新規受注額を集計した指標であり、設備投資の先行指標として注目されている。特に、変動の大きい輸送用機器などを除いた受注額が民間の設備投資の先行指標として注目されている。
|
-1.8% | 0.3% |
前回は、市場予想を下回る結果となったが、コア資本財受注が6ヵ月ぶりの大幅な伸びとなった。ただ、世界経済の減速懸念もあり、全体の伸び幅はやや抑えられた。今回は、4ヵ月ぶりのマイナスが予想されており、予想以上に大きなマイナスとなるようなら、世界経済の減速懸念が再び意識される可能性もあるだろう。 |