前営業日トピックス
東京市場では、上昇して始まった日経平均株価や中国株が下落に転じたことを受けて、円買いが優勢となった。しかし、新規材料に乏しい中、その後のドル円・クロス円は小動きの展開が続いた。
米国市場では、ドルが資源国通貨やユーロに対して下落が続いた流れを引き継ぎ、対円でも序盤から軟調な動きとなった。加えて、2月の米製造業受注が前月比で予想通りマイナスに落ち込んだが、変動の激しい輸送機器を除いた受注が4ヵ月ぶりのプラスとなったことを受けて、ドルは底固い動きとなった。さらに、下落して始まった米主要株価指数が下げ幅を縮小したことも、ドルの下支え要因となった。一方、EUがメイ首相の短期離脱延期を受け入れる可能性があるとの報道などを受けて、ポンドも底固い動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)先週末の米雇用統計が強弱入り交じる内容となり、ドルは方向性に欠ける動きとなったことから、序盤の東京市場への影響は限定的だった。そして、堅調な展開で始まった日経平均株価がマイナス圏まで下落したことや、ニールセン米国土安全保障長官が辞任すると表明したことなどを受け、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を拡大したことや、上海株がマイナス圏に下落したことから上値の重い動きとなったものの、終盤まで小動きの展開が続いたことから、ドル円・クロス円も小動きの展開が続いた。また、トランプ米大統領が先週末に利下げを要請する発言をしたことや、それが意識されて米長期金利が低下基調となったことも材料視されたとの見方が出ている。
(3)原油高や、EU首脳会議、ECB理事会を控えたポジション調整を背景に、資源国通貨やユーロが上昇しているのに対して、ドルは資源国通貨やユーロに対して下落、対円でも序盤から軟調な動きとなった。また、米主要株価指数が序盤から軟調な動きとなったことも影響した。
(4)2月の米製造業受注が予想通りマイナスに落ち込んだものの、変動の激しい輸送機器を除いた受注が4ヵ月ぶりのプラスとなり、昨年8月以来の高い伸びとなったことを受けて、ドルは底固い動きとなった。さらに、下落して始まった米主要株価指数が下げ幅を縮小し、ナスダック、S&P500がプラス圏まで上昇したことや、米長期金利の上昇が続いたことも、ドルの下支え要因となった。一方、EUがメイ首相の短期離脱延期を受け入れる可能性があるとの報道や、メイ首相が2回目の国民投票実施について、議会採決の提案を検討しているとの報道を受けて、ポンドは底固い動きとなった。
本日のトピックス
英国のEU離脱問題では、臨時のEU首脳会議を明日に控えて思惑が交錯していることや、先月実施されたトルコの統一地方選のイスタンブール市長選挙の結果に関して、エルドアン大統領率いる国政与党・公正発展党が全選挙区での再集計を要求するとの報道もあり、政治的な懸念が燻っている。更に、昨日プーチン・ロシア大統領がトルコ大統領と、ロシア製ミサイルシステムの供給について話し合ったと発言したこともあり、今後トルコと米国、欧州と関係への懸念が高まる可能性も考えられる。引き続き、英国とトルコの政治関連の報道には注意したい。また、先月末から昨日まで連日15時〜17時位にトルコ・リラが下落する動きが続いており、この時間帯の動きにも注目したい。
米国市場では、クラリダFRB副議長、クオールズFRB副議長の発言機会が予定されており、FOMCの議事録公開を控えて金融政策に関する発言や、まちまちの結果となった雇用統計など、最近の冴えない経済指標に関する発言があるのかにも注目したい。
4/9の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
2月JOLT労働調査[求人件数]
JOLTS 労働調査(求人件数)は、米労働統計局が求人状況を測定するために実施する調査で、小売業や製造業など各業種の雇用データをもとに算出する統計。
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756.6万件 | 758.1万件 |
前回は、市場予想を上回る+10.2万件となり、昨年11月に過去最高となった763万件に迫った。不動産業、卸売業、IT関連で増加したことが影響した。今回は、前回から若干の減少が予定されているものの、2017年6月以来市場予想を上回る結果が続いていることから、これまで通りならば、過去最高を更新する可能性も考えられる。 |