前営業日トピックス
東京市場では、上昇して始まった日経平均株価が下落に転じたことを受けて、比較的安全な資産とされる円を買ってドルを売る動きが広がった。その後は、値頃感の買い戻しが入り、値を戻した。ただ、日米首脳会談や日本の大型連休を控えて全般的に様子見ムードが強く、限定的な動きが続いた。
米国市場では、序盤にドル/円が112円台まで上昇したものの、値頃感のドル売りが観測されたこともあり、やや上値の重い動きとなった。さらに、米3月の新築住宅販売件数が予想を上回る結果となったものの、住宅価格指数が昨年3月以来の低い伸びとなったことや、リッチモンド連銀製造業指数が予想を下回ったこと、また米10年債利回りが低下したことが影響し、ドル/円は111.77まで下落した。しかし、ドルが主要通貨に対して堅調な動きが続いたことや、ダウ平均が半年ぶりの高値、ナスダック、S&P500が最高値を更新したこともドルの下支え要因となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の流れを受けて、序盤から小動きの展開となった。日経平均株価が小高く始まったものの、112円台を前にして輸出企業のドル売りに加え、短期のポジション調整なども観測されており、仲値公示にかけてはドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一部では、大型連休を控えた輸出勢によるドル売りとの見方も示された。
(2)日米首脳会談や10連休を控えて全般的に様子見ムードが強いものの、安値圏では値頃感の買い戻しも根強く、底固い動きが続いた。
(3)ユーロやポンドなどに対してドルが堅調な動きが続いたことから、ドルは対円でも堅調な動きとなった。さらに、米企業決算が良好な結果となり、米株価先物が上昇したこともドルの下支え要因となり、NY市場序盤にドル/円は112.03まで上昇した。
(4)このところ、112円台では上値の重い動きが続いていたことで、値頃感のドル売りが観測されたことや、NY連銀の実効FF金利設定に際して出来高が増加となり、米金融当局が超過準備への付利を調整するとの観測が広がったことを受けて、米10年債利回りが2.592%から2.561%まで低下となった。さらに、米新築住宅販売件数が予想を上回る結果となったものの、住宅価格指数が昨年3月以来の低い伸びとなるなど、米経済指標の一部が冴えない結果となったことも圧迫要因となり、ドル/円は111.77まで下落した。
(5)ユーロ、ポンドに対してドルは堅調な動きが続いたことや、米主要株価が半年ぶり高値、ナスダック、S&P500が最高値を更新する動きとなったこともドルの下支え要因となった。一方、英国のEU離脱問題では、英議会での協議が難航していることや、メイ首相が辞任するとの見方が強まっていることもポンドの圧迫要因となり、ポンドはドルや円に対して軟調な動きが続いた。
本日のトピックス
ドル/円は、先週から112円台で上値の重い動きが続いており、昨晩も112円台でやや上値の重い動きとなっている。マーケットでは、112円台で短期筋のドル売りがあるとの見方もあり、やや上値が抑えられている。本日は、米国の主要な経済指標の発表がないことや、週後半には、日米財務相会談、日米通商交渉、週末の日米首脳会談に加え、日本の10連休を控えて全般的に様子見ムードが強いことから、限定的な動きが続く可能性も考えられる。
一方、ユーロやポンドもそれぞれ懸念要因が燻っており、上値の重い動きが続いている。特に、対ドルで上値の重い動きが続いており、このことがドルの下支え要因にもなっている。また、半期に1度発表される米財務省の米為替報告書は、通常ならすでに公表されている時期だが、今年はまだ公表されていない(昨年は4/13、10/17に公表さ)。今週中にも公表される可能性が指摘されているが、一部では日米通商協議や日米首脳会議が予定されていることもあり、来週に先送りされるとの見方もある。前回は、中国の為替操作国認定が見送られた(日本は監視対象国指定が維持された)ことで為替市場も反応が見られたことから、注目されている。