前営業日トピックス
東京市場では、G20首脳会議や米中首脳会談などを控えて様子見ムードが強まる中、序盤は小動きの展開が続いた。しかし、香港のサウスチャイナモーニングポスト紙が、米国と中国はG20首脳会談前の暫定合意、新たな関税は延期される可能性と報じたことを受けて、投資家のリスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、日経平均やアジアの主要株価が上昇したことも影響した。その後、中国政府がファーウェイへの米国技術の輸出禁止措置や米国の制裁関税措置の撤回を主張するとの報道を受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が、米中首脳会談は前提条件なしで開かれ、合意できない場合には対中追加関税に踏み切る可能性があると発言したことから、ドルはやや上値の重い動きとなった。さらに、ファーウェイに対する制限条件を解除する可能性は少ないとしたことも加わり、クロス円も軟調な動きとなった。しかし、全般的にG20首脳会議や、米中首脳会談を控えて様子見ムードが強まっていることから、値動きは限定的だった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)トランプ米大統領から「合意に達することは可能だが、合意できないのであれば大幅な追加関税を課す」との発言があったが、実際に米中首脳会談の結果を見極めたいとの思惑が根強く、様子見ムードから序盤は小動きの展開となった。
(2)G20首脳会議に先立ち、米中が暫定的な貿易戦争の停戦で合意したとし、協議継続に向けて追加関税の発動を見送り、両国が声明を発表すると香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が報じたことを受けて、円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。日経平均や上海総合、米株価先物などの軒並み上昇となったことや、10年債利回りが2.0347%から2.0693%まで上昇したこともドル円・クロス円の下支え要因となった。
(3)中国政府がファーウェイに対する米国技術売却禁止の撤回を主張するとの報道を受けて、堅調な展開で始まった欧州主要株価指数や、米株価先物が下落に転じ、軒並みマイナス圏まで下落したことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(4)第1四半期の米GDP確定値が市場予想を下回ったものの、改定値と変わらずとなり、前期の大幅低下からの改善が好感された一方、個人消費が改定値から下方修正され、1年ぶりの低い伸びとなったことが影響し、やや上値の重い動きとなった。その後、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が、米中首脳会談は前提条件なしで開かれ、合意できない場合には対中追加関税に踏み切る可能性があると発言したことを受けて、それまで広がっていた楽観的な見方がやや後退し、ドルは軟調な動きとなった。さらに、ファーウェイに対する制限条件を解除する可能性は少ないとしたことも加わり、クロス円も軟調な動きとなった。しかし、全般的にG20首脳会議や米中首脳会談が控えて様子見ムードが強いことから、値動きは限定的だった。
本日のトピックス
本日から、G20首脳会議がスタートし、6/29には米中首脳会談も予定されている。昨日は、米中の抱える問題に関する報道が相次ぎ、それを受けて為替や株式市場が反応した。そのため、結果を見るまでは積極的な売買が手控えられる可能性が考えられる。しかし、引き続き報道などを受けて、思惑が交錯する可能性も考えられる。特に、注目される米中首脳会談はマーケット終了後であり、会談の内容や結果が週明けのマーケットに影響することが考えられることから、週明けの動きには注意が必要だろう。
一方、本日の米国市場では、PCEデフレーター、ミシガン大学消費者信頼感指数など注目の経済指標の発表が予定されており、注目が集まっている。ただ、米中首脳会談を控えていることもあり、反応は一時的か?
6/28の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
5月PCEコア・デフレーター(前年比)
個人消費支出(Personal Consumption Expenditure)の名目PCEを実質PCEで割ったもの。PCEデフレーターから、価格変動が激しい食品とエネルギーを除いたものがPCEコアデフレーターであり、米国のFRBが金融政策を判断する上で重視している物価指標。消費者物価指数と比較されるが、PCEデフレーターはより調査対象が広いことから、物価動向を反映しやすいとされている。
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1.5% | 1.6% |
前回は、市場予想と一致し、今年初めて伸びが加速した。FRB議長は一時的な要因でインフレ率が抑えられているとしていたが、FRBが目標とする2%に近づく流れとなるとの期待感もあった。今回は、前回から低下が予想されており、再び物価低下の流れとなるのか注目される。 | ||||
22:45 | 米国 |
6月シカゴ購買部協会景気指数
シカゴ購買部協会景気指数は、シカゴ地区の製造業の景況感を指数化したものであり、50が景気の拡大・後退の判断基準となり、50を上回れば景気拡大傾向、50を下回れば景気後退傾向と判断される。
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53.5 | 54.2 |
前回は、市場予想と一致し、2017年1月以来の低水準に落ち込んだ4月の結果から3ヵ月ぶりの上昇となった。今回は、前回からの低下が予想されており、ここまで発表された製造業関連の経済指標は冴えない結果が続いていることから、結果が注目される。 | ||||
23:00 | 米国 |
6月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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98.0 | 97.9 |
前回の速報値は、市場予想と一致し前月から低下となった。現在の景況感は前月から上昇したものの、先行の景況感が低下したことが影響した。特に、米国の貿易問題に対する懸念が先行きに通しを悪化させたと指摘されている。今回は、若干の改善が予想されており、一部では、通商問題に楽観的な見方も出ており、これが影響する可能性も考えられる。 |