前営業日トピックス
日本市場が休場となり、やや新規材料に乏しい中、中国人民銀行(中央銀行)が人民元取引の対ドル相場の基準値を元安方向で設定したものの、反応は限定的だった。
欧州市場では、米中対立への警戒感が広がったことに加え、香港の大規模な抗議活動が航空機の運航停止に発展したほか、アルゼンチン大統領選予備選で現職が敗退したことでペソが最安値を更新するなど、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル/円は一時105.05まで下落し、1/3以来の安値を更新した。しかし、105円台割れを回避したことでドル/円はやや底固い動きとなり、米国市場では105.44まで反発した。その後は、米主要株価指数が軒並み大幅下落となったことや、米国債利回りが低下したことからドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日本市場が祝日で休場となり、新規材料に乏しい中やや限定的な動きが続いた。上海株や香港株が終盤に上げ幅を拡大したこともあり、ドル/円は一時105.58まで上昇した。
(2)米中貿易摩擦の長期化が米国経済や世界経済に影響するとの懸念が広がったことや、香港の大規模な抗議活動が航空機の運航停止に発展したこと、さらにアルゼンチンやイタリアの政局不安が警戒されて、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル/円は欧州市場で一時105.05まで下落し、1/3以来の安値を更新した。イタリアのディマイオ副首相(五つ星運動党首)とサルビーニ副首相(同盟党首)との意見対立を背景に、総選挙の可能性が高まっていることを受けて、ユーロはドルや円に対して下落した。一方、アルゼンチンの大統領選の予備選挙で、現職大統領がポピュリスト候補に予想外の大差をつけられたことを受けてデフォルト懸念が強まり、アルゼンチン・ペソが急落となったことで、新興国通貨が下落した。
(3)105円台割れを回避したことで、ショートカバーが優勢となり、NY市場では序盤から底固い動きとなり、ドル/円は105.44まで上昇した。その後は、米主要株価指数が軒並み大幅下落となったことや、米10年債利回りが1.6932%から1.6284%まで低下したこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。ただ、終盤には株価が下げ渋り、やや下げ幅を縮小したこともあり、ドル/円は105.18までの下落に留まった。
本日のトピックス
米中貿易問題に対する警戒感の高まりや、イタリアやアルゼンチンの政局不安などもあり、新興国通貨も下落している。そのため、マーケットではリスク回避の動きに敏感になっており、国債や比較的安全な通貨とされる円を買う動きも見られ、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなっている。そのため、要人発言や報道などを受けたドル円・クロス円の下振れには警戒したい。米国市場では、消費者物価指数の発表が予定差されており、結果に注目したい。
8/13の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
7月消費者物価指数(前年比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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1.7% | 1.6% |
前回は、前年比、コア指数ともに市場予想を上回り、1月以来の高い伸びとなった。コア指数は、居住費や被服費など広い分野で伸びたことが影響した。今回は、前年比で伸び幅の上昇、コアで横ばいが予想されており、前年比で2%に近づくのか注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、上値の重い動きが続いている。相場の方向性を示すとされる一目均衡表の基準線は、105.05を下回らなければ、下げが止まり当面は107.184で横ばいが続く。ただ、105.05を下回るようなら、一段の低下となる。オシレーターのMACDでは、両線下向き継続中だが、両線の乖離幅は縮小している。ここからさらに縮小傾向が続き、先行するMACDラインが上向きに転換となるのか注目したい。
目先の下値のポイントは、(1)105.050 (2)104.933 (3)104.643。
一方、上値のポイントは、(1)105.577 (2)105.686 (3)106.080