前営業日トピックス
東京市場では、前週末の海外市場の流れを引き継ぎ、序盤から軟調な動きとなった。さらに、上昇して始まった日経平均株価がマイナス圏に下落したことや、米国債利回りが低下したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。その後は、株価が下げ幅を縮小したことに加え、低下していた米国債利回りが上昇したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
米国市場では、クドロー米国家経済会議委員長が中国企業の上場廃止は検討していないと発言したことや、中国は通商協議で可能な部分で合意を取りまとめ、より困難な問題を来年に交渉する工程表を作成する用意があるとの報道を受けて、下落して始まった米主要株価指数がプラス圏まで反発したこともあり、ドル/円は107.46まで上昇した。しかし、トランプ大統領が中国との部分的合意を望まない姿勢を明らかにしたことで不透明感が残り、米主要株価指数が再びマイナス圏まで下落、ドル円・クロス円は終盤にかけて上値の重い動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均が序盤から軟調な動きとなり一時前週末比149ドル安まで下落、その後82ドル高まで反発する場面もあったが、結局95ドル安で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは26ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米FRBの追加利下げ観測を背景にドル売り・円買いが先行し、ドル円・クロス円はギャップダウンして始まった。その後は値を戻したが、週明けで新規材料に乏しい中、上昇して始まった日経平均株価がマイナス圏に下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。さらに、米10年債利回りが1.5238%から1.5034%まで低下したことも影響した。
(2)下げ一服後は、底固い動きとなり、日経平均株価が下げ幅を小幅ながら縮小したことに加え、米10年債利回りが1.5272%まで反発したこともあり、ドル/円はジリ上げの展開となり、106.94まで上昇した。ただ、米中閣僚級の通商協議を控えて積極的な売買が手控えられたこともあり、その後はやや上値の重い動きとなった。
(3)米国の主要な経済指標の発表がない中で、クドロー米国家経済会議委員長が中国企業の上場廃止は検討していないと発言したことや、中国は通商協議で可能な部分で合意を取りまとめ、より困難な問題を来年に交渉する工程表を作成する用意があるとの報道を受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(4)下落して始まった米主要株価指数がプラス圏まで反発したことに加え、米10年債利回りが1.5272%から1.5648%まで上昇したこともドルの押し上げ要因となり、ドル/円は107.46まで上昇した。しかし、トランプ大統領が中国との部分的合意を望まない姿勢を明らかにしたことで不透明感が残り、米主要株価指数が再びマイナス圏まで下落、ドル円・クロス円は終盤にかけて上値の重い動きとなった。一方、トランプ米大統領が、トルコの軍事行動(シリアのクルド人勢力を攻撃)に対して経済制裁を示唆したことを受けてトルコ・リラが下落、対円で9/3以来、対ドルで8/26以来の安値となった。
本日のトピックス
米中通商協議がまとまらなかった場合、来週10/15から一部の追加関税が発動されることから、マーケットでは10/10-11のムニューシン米財務長官、ライトハイザー米通商代表部代表と中国副首相らによる閣僚級協議が注目されており、様子見ムードが強まる可能性も考えられる反面、昨日の海外市場では、米中通商協議に関する報道が材料視された。特に、10/7-8に次官級の協議が行われていることから、引き続き関連する報道などには注目したい。
欧州時間にはドイツの鉱工業生産、米国では生産者物価指数の発表が予定されているが、マーケットの注目が米中協議に向いていることから、市場予想に反する結果や大きく乖離する結果とならなければ反応は限定的だろう。
10/8の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
9月生産者物価指数(前年比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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1.8% | 1.8% |
前回は、市場予想を上回り、2016年11月以来の低水準となった7月から改善した。食品・飼料は4ヵ月ぶりに上昇となったが、エネルギーが再びマイナスとなった。今回は、前月比・前年比ともに前回から横ばいが予想されているが、予想と乖離する結果となる場合には、相場に影響する可能性もあるだろう。 |