前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなったことや、黒田日銀総裁が新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要なら躊躇なく追加緩和するとしたことを受けてドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は107.92まで上昇した。午後に入り、日経平均株価が一時前日比500円超の上昇となるなど投資家のリスク志向の動きから、ドルや円が売られ、ドルはユーロやポンドに対して下落し、対円でも上値の重い動きとなった。欧州時間には、欧州主要株価指数が堅調な動きとなったことや、米株価先物市場で株価先物が大幅上昇となったことから、ドルや円が売られる展開が続いた。
米国市場では、アジア市場終盤から続いたドル売りの動きが一服し、ドルは序盤から底固い動きとなった。世界的に経済活動の再開の動きが進んでいることや、米バイオ医薬品大手がワクチンの臨床試験開始を発表しことでワクチン開発への期待感が高まったことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米主要株価指数が軒並み上昇したことから、投資家のリスク志向の強まりからドルが対欧州通貨や新興国通貨に対して軟調な動きとなり、対円でも終盤にかけて上値の重い動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前週末比711ドル高まで上昇し、3/6以来の25000ドル台を回復した。ただ、終盤には上げ幅を縮小し、529ドル高(+2.17%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、15ポイント高(+0.17%)で続伸となった。なお、ニューヨーク証券取引所は、新型コロナウイルスの影響で閉鎖していた立会場の一部が約2ヵ月ぶりに再開となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価が上昇して始まり、上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、参院財政金融委員会での半期報告で、黒田日銀総裁が景気の先行きは当面厳しい状態が続くとの見方を示し、感染症の影響を注視しながら必要なら躊躇なく追加緩和をすると述べたことに反応し、ドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は一時107.92まで上昇した。
(2)上昇一服となった後は、ドル/円はやや上値の重い動きとなった。さらに、午後に入り日経平均株価が上げ幅を拡大し、一時前日比574円高まで上昇となったことから、投資家のリスク志向が強まり、ドルや円が売られた。さらに、休場明けの米株価先物市場で株価先物が軒並み上昇したことや、欧州主要株価指数が上昇して始まったことも下支え要因となった。ドルはユーロなど欧州通貨や新興国通貨に対して軟調な動きとなり、対円でも上値の重い動きが続いた。前日のドイツのIFO企業景況感に続き、GFK消費者信頼感調査も回復したこともユーロの押し上げ要因になった。
(3)米国市場では、アジア市場終盤から続いたドル売りの動きが一服し、ドルは序盤から底固い動きとなった。新型コロナウイルスの感染抑制策の緩和を受けて経済活動再開の動きが進んでいることや、米バイオ医薬品大手がワクチンの臨床試験開始を発表しことでワクチン開発への期待感も高まり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は、一時107.69まで上昇した。
(4)米主要株価指数が軒並み上昇したことで投資家のリスク志向の動き強まり、安全資産とされるドルが欧州通貨や新興国通貨に対して軟調な動きとなり、対円でも上値の重い動きとなった。新興国通貨では、南アフリカ・ランドがドルや円に対して3/27以来の高値を付け、トルコ・リラも対ドルで4/10以来、対円で4/13以来の高値となった。なお、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が、トランプ大統領は中国に対し「怒り心頭」と指摘したことや、香港を巡る中国の対応は大きな誤りだと牽制したものの、マーケットの反応は限定的だった。
本日のトピックス
新型コロナウイルスの感染抑制策の緩和が世界的に進んでいることや、欧米などで経済指標の改善が見られる一方、ここにきて米中対立の再燃がクローズアップされているものの、マーケットの反応は限定的となっている。新規材料に乏しく、コロナ関連、米中問題に対する新鮮味が薄れていることから、市場参加者が冷静に見極めていると思われる。その中で、世界的な経済活動再開の動きや経済の回復期待を背景に、株価上昇など投資家のリスク志向が強まりから、南ア・ランドやトルコ・リラなど新興国通貨が比較的堅調な動きとなっており、引き続き堅調な動きが続くのか注目される。
ドル/円は、4月中旬以降108円台近辺で上値の重い動きが続いており、昨日もこの近辺で大台乗せを意識した短期筋や実需の売り圧力に押されて上値を抑えられている。一方、下値もここ最近は107.30台で底固い動きが続いており、方向性に乏しい展開が続いている。マーケットでは、どちら側に抜けるのか見極めたいとの様子見ムードがあるものの、注目度が高まっていることから、抜けた方向に動きが加速する可能性も考えられる。
5/27の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
5月リッチモンド連銀製造業指数
リッチモンド連銀製造業指数は、米国の12連邦準備銀行の1つであるリッチモンド地区連銀が発表している製造業指数。1993年から算出が開始されており、NY連銀、フィラデルフィア連銀が発表する指数と合わせて製造業の景況を確認できる。管轄はウェストバージニア州、サウスカロライナ州、ノースカロライナ州、バージニア州、メリーランド州、ワシントンDCなど。管轄地域は米国内生産の9.1%を占める。
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-40 | -53 |
前回は市場予想を下回る大幅なマイナスとなり、過去最多委のマイナスとなった。受注、出荷、雇用などが大きく低下したことが影響した。今回は、5月の統計発表であり、ここまで発表された地区連銀の製造業指数が軒並み改善していることから、当該指数も大きな改善が予想されており、改善が示唆されるのか注目したい。 |