前営業日トピックス
東京市場では、3連休明けの株式市場で日経平均株価が堅調な動きとなるなど、アジア市場の株高を背景にドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、仲値公示にかけて実需のドル買い・円売りが観測されたことも押し上げ要因となった。ドル/円は一時106.18まで上昇したものの、仲値通過後はドル買いも一服し、106円台割れまで再び下落した。その後、日経平均株価が前週末比430円超の上昇となったこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。欧州時間では、ドイツやユーロ圏の経済指標が予想外の改善となったことが好感され、ユーロはドルや円に対して堅調な動きとなった。
米国市場では、米国の追加経済対策への期待感や、序盤に発表された7月の米生産者物価指数が予想を上回ったことが好感され、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、物価指数の改善を受けて、米長期金利が上昇したことも加わり、ドル/円は106.68まで上昇し、7/24以来の高値を付けた。一方、米ダウ平均株価が一時前日比360ドル超上昇したこともあり、クロス円も堅調な動きとなった。その後は、米追加景気対策に関して、与野党協議が難航しているとの報道を受けて、主要株価指数がマイナス圏まで下落したことなどもあり、ドル円・クロス円は終盤に失速した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比で363ドル高まで上昇し、2/25以来の28000ドル台まで上昇した。しかし、その後は下落に転じて104ドル安(-0.38%)で終了し、8営業日ぶりに反落した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、185ポイント安(-1.69%)で終了し、3営業日続落となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)3連休明けの東京市場では、前日の海外市場でダウ平均株価が大幅上昇したことを受けて、日経平均株価が序盤から堅調な展開で始まったことから、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、3連休明けで活発な実需のドル買いが観測されたこともあり、ドル/円は106.18まで上昇した。
(2)仲値通過後はドル買いが一服し、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円では再び106円台割れまで下落した。しかし、106円台割れ近辺では値頃感のドル買い戻しの動きもあり、ドルは底固い動きとなり、106.22まで上昇した。さらに、日経平均株価が一時前週末比430円高まで上昇したことを受けて、クロス円も堅調な動きとなった。
(3)ユーロやポンドが対ドルで下落したことから、ユーロ/円やポンド/円は上値の重い動きとなった。しかし、ドイツの8月ZEW景気指数が予想外の大幅改善したことから、2004年1月以来の高水準となった。一方のユーロ圏のZEW景気指数も2015年3月以来の水準まで上昇したことを受けて、ユーロ圏の域内経済の改善期待を背景に、ユーロはドルや円に対して上昇した。ドルは欧州通貨に対して下落したことから、対円でも上値の重い動きとなった。
(4)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドルは主要通貨に対して序盤から上値の重い動きが続いた。その後、米国の追加経済対策への期待感や、序盤に発表された7月の米生産者物価指数が予想以上の改善となったことが好感され、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、物価指数の改善を受けて、米10年債利回りが0.600%から0.658%まで上昇したことも加わり、ドル/円は106.68まで上昇、7/24以来の高値を付けた。一方、米ダウ平均株価が一時前日比360ドル超上昇したことも加わり、クロス円も堅調な動きとなった。終盤には米国の追加景気対策に関して、与野党協議が難航しているとの報道を受けて、主要株価指数がマイナス圏まで下落したことや、米国債利回りが低下したこともあり、ドル/円は高値から上げ幅を縮小した。一方、ユーロやポンドは対ドルで下落が続いたこともあり、対円でも終盤に反落となった。
本日のトピックス
ロシアで世界初となる新型コロナウイルスのワクチンが認可(効果に対する信憑性に疑問の声もある)されたことや、米国で新型コロナウイルスの感染拡大の勢いが鈍化していることから、投資家のリスク選好の動きから欧米の主要株価指数が上昇するなど、ドル円・クロス円は底固い動きとなっている。これに、米国の追加の経済対策が与野党合意すれば、ドルは一段の上昇も考えられる。一方、ユーロ圏やドイツの経済指標が大幅改善したことから、対円では底固い動きが予想されるものの、対ドルでの下振れも考えられる。
本日の米国市場では、7月の米消費者物価指数の発表が予定されている。前回から伸び幅の縮小が予想されており、前月比ベースでは、4月の下げ幅が大きかったことから、変動も大きくなった。しかし、前年比ベースでみると、依然として低い伸びとなっている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で物価上昇が抑制されている状況が続いており、今回も小幅な上昇であり、改善まで時間を要することが示唆されると見られている。ただ、前日に発表された生産者物価指数が市場予想を上回る改善となったことから、一部では当該指標に対する期待感も出ている。
8/12の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
7月消費者物価指数(前月比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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0.3% | 0.6% |
前回は市場予想を上回る伸びとなり、2012年9月以来の高い伸びとなった。エネルギー価格が大幅な上昇となったことが影響した。一方、前年比でも市場予想を上回ったものの、依然として5年ぶりの低い伸びにとどまっている。今回は、前月比で伸び幅の縮小が予想されている。前年比でも低い伸びが続くと予想されており、物価の上昇が抑制されている状態が続くと見られる。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル円は、上値のポイントとされていた一目均衡表の基準線、109.85からのトレンドライン、レジスタンスの106.47を上抜けたことから一段の上昇も考えられ、ここからの動きが注目です。レジスタンスの106.47を上抜けたことによる上値目標の計算値は107.585と計算できます。
オシレーターのMACDでは、両線がクロスして乖離幅が拡大しており、拡大傾向が続きともにゼロポイントを上抜ける場合には、上昇継続のシグナルとなります。ただ、ゼロポイント近辺で失速する場合には反落となる可能性もあるので、ここからの両線の動きに注目です。
下値のポイントは、ここまで上値のポイントだった106.472、次いでトレンドライン、基準線の105.949となり、下抜けの場合には一段の下げとなる可能性も考えられます。