前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、投資家のリスク選好の動きも意識され、クロス円は堅調な動きとなった。ただ、米国の追加経済対策に関する協議が難航していることもあり、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなった。さらに、実需のドル売りが観測されたこともあり、ドル/円は上値の重い動きが続いた。午後には、日経平均株価が一時前日比472円高まで上昇したことから、クロス円も底固い動きが続いた。ユーロは、対ドルで上昇したこともあり、対円で前日の海外時間に付けた126.21を上回る126.76まで上昇し、2019年4/17以来の高値を更新した。
米国市場では、序盤に発表された新規失業保険申請件数が2週連続で減少し、3月以来約5ヵ月ぶりに100万件を下回ったことが好感され、ドル/円は一時106.99まで上昇した。しかし、節目の107円台が意識され、上値の重い動きとなった。その後、ドルはユーロやポンドなどの欧州通貨や資源国通貨に対して軟調な動きとなり、対円でも106.74まで下落した。しかし、米長期債利回りが上昇したこともあり、ドル/円は107.05まで上昇し、前日の高値を更新した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比187ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小し80ドル安(-0.29%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは序盤から堅調な動きとなり、30ポイント高(+0.27%)で終了し、小幅続伸となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の流れを引き継ぎ、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなった。対ドルでの上昇や、日経平均株価が序盤から270円超上昇して始まったこともあり、ユーロ/円やポンド/円などのクロス円は堅調な動きとなった。一方、7月のオーストラリアの失業率が7.5%と22年ぶり高水準となったものの、予想程悪化しなかったこともあり、発表直後に豪ドルは上昇したものの、新型コロナウイルスの感染拡大に対する懸念も根強く、上値は限定的だった。
(2)午後に入り、日経平均株価の上昇が続き、一時前日比472円高まで上昇したことを受けて、クロス円は底固い動きが続いた。一方、米国の追加経済対策に関する協議が難航していることもあり、ドルは欧州通貨や資源国通貨に対して下落となり、対円でも上値の重い動きが続き、一時106.57まで下落した。欧州市場では、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、特にユーロ/円は前日高値の126.21を上回る126.76まで上昇し、2019年4/17以来の高値を更新した。一方、ポンド/円も前日高値の139.62を上回る140.21まで上昇し、2/28以来の140円台乗せとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された新規失業保険申請件数が2週連続で減少し、3月以来約5ヵ月ぶりに100万件を下回ったことや、失業保険継続受給者数も4/3以来の低水準に改善したことが好感され、ドルは主要通貨に対して底固い動きとなった。ドル/円は、106.99まで上昇したものの、節目の107円台や前日の海外市場での高値107.02が意識され、上値の重い動きとなった。さらに、ドルはユーロやポンドなどの欧州通貨や資源国通貨に対して軟調な動きとなり、対円でも106.74まで下落した。
(4)米30年債入札が低調となり、長期債が売られた(利回りは上昇)ことから、長期債の指標となる10年債利回りが0.673%から0.725%まで上昇したこともあり、ドル/円は107.05まで上昇し、前日の高値を更新したものの、上値は限定的だった。
本日のトピックス
ドル円・クロス円はここまで堅調な動きが続いており、本日の東京市場でも底固い動きが続いており、堅調な動きが続く可能性も考えられる。ただ、週替わりとなる来週は、一服感が出る可能性もあるだろう。
本日の欧州市場では、ユーロ圏のGDP(改定値)、雇用者数の発表が予定されており、ユーロ圏経済の改善の兆しが確認できるのか注目したい。一方、米国市場では、7月の米小売売上高、8月のミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されている。前日の失業保険関連の指標が予想以上の改善となったことから、期待する見方もある。前者は個人消費の動向を見る上で注目されており、給付金や失業保険の上乗せ効果もあり、堅調な伸びが続くのか注目されている。後者は消費者のマインドの動向を見る上で注目されており、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響で前月は消費者マインドが低下しており、8月も引き続き低下しているのかどうかが注目されている。
8/14の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
7月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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1.9% | 7.5% |
前回は市場予想を上回ったものの、過去最大の伸びとなった5月の結果からは伸び幅が縮小した。経済支援による給付で消費が回復したことが示された。今回は伸び幅の低下が予想されているものの、失業給付などが続いていることもあり、依然として消費が支えられていることが示されるだろう。特に、GDPの算出に用いられるコア指数の結果に注目したい。 | ||||
22:15 | 米国 |
7月鉱工業生産(前月比)
鉱工業生産は、鉱工業関連の生産動向を指数化したものであり、2002年を100として数値が算出され前月比で発表される。GDPに占める鉱工業部門の割合が約20%程度であることから重要な経済指標である。
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3.0% | 5.4% |
前回は市場予想を上回り、1959年以来の大幅な上昇となった。6月に経済活動が再開されたことが影響し、回復の兆候が示された。しかし、7月には再び感染拡大となり、経済活動の後退が観測されたこともあり、伸び幅の低下が予想されている。特に、前月押し上げに寄与した製造業への影響が出ている場合には、予想以上の低下となる可能性も考えられる。 | ||||
23:00 | 米国 |
8月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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71.9 | 72.5 |
前回の7月確報値は、市場予想を下回り、3ヵ月ぶりに前月から低下した。7月に新型コロナウイルスの感染が再び拡大した影響で、現在の景況感、先行きの景況感がともに低下したことが影響した。今回の8月の速報値では、前月の影響が残ると見られており、前月確報値からの低下が予想されている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ユーロ/ドルは、1.1421を上抜けてから堅調な動きが続いていましたが、上値目標の計算値である1.1863近辺で上値の重い動きが続いています。ここからさらに一段の上昇となるのか、一旦調整となるのか注目されています。
オシレーターのMACDでは、両線がクロスして下向き継続となっており、さらに乖離幅が拡大傾向となるのか注目です。
上値のポイント
(1)1.1863(2)1.1919(3)1.1996
下値のポイント
(1)1.1782(2)1.1696(3)1.1585