前営業日トピックス
前日の米国市場で主要株価指数が大幅下落となったことを背景に、投資家のリスク回避姿勢が強まった流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ドル/円は海外市場で付けた安値を下抜けて、1週間ぶりの安値を更新した。下げ一巡後、ドル円・クロス円は値を戻す動きとなったものの、日経平均株価が300円以上下落して始まったこともあり、上値の重い動きが続いた。 欧州時間には、ドル円・クロス円は一段の下落となったものの、下落は一時的となり、さらに欧州主要株価指数が堅調な動きとなったことに加え、ECBメンバーの楽観的な見方が示したことも受けて、ユーロは堅調な動きとなった。また、英国とEUの通商交渉に関して、EU側が交渉継続を示したとの報道を受けて、ポンドも堅調な動きとなった。
米国市場では、欧州市場の堅調な流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、米主要株価指数が軒並み大幅上昇となり、投資家心理が改善したことから安全資産とされる円やドルが売られた。ドル/円は、上下14銭と狭いレンジ内の動きが続いた。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比705ドル高まで上昇した。ただ、終盤には上げ幅を縮小し、439ドル高(+1.60%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、293ポイント高(+2.71%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ドル/円は、前日の海外市場で付けた安値の105.86を下回り、105.83まで下落した。一方、ユーロやポンドはドルや円に対して一段の下落となり、ユーロ/円は124.43まで下落して8/11以来、ポンド/円は137.06まで下落して7/31以来の安値をそれぞれ更新した。ただ、下げ一服後、ドル/円は106円台まで値を戻したものの、日経平均株価が300円超下落して始まったこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
(2)欧州時間には、欧州勢の欧州通貨売りが観測されたとの見方もあり、ドルや円が買われる動きとなった。ドル/円は一時105.79まで下落したが、下げは一時的となり、その後値を戻す動きとなった。さらに、ECBメンバーがユーロ圏の経済見通しに一段と自信を強めていると楽観的な見方を示したとの報道を受けて、ユーロはドルや円に対して堅調な動きとなった。一方、英国とEUの通商交渉の先行き不安を背景に、ポンドは一時ドルや円に対して下落したものの、EU側が交渉継続を示したとの報道を受けて、反発となった。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、前日まで3営業日続落していた米主要株価指数が軒並み大幅反発となったことら投資家心理が改善し、安全資産とされる円やドルが売られた。ドル/円は、米国時間では上下14銭と狭いレンジ内の動きが続いた。
本日のトピックス
欧州では、ECB理事会の結果発表が予定されており、結果やECB総裁の会見での発言が注目されている。マーケットでは、金融政策の変更はないとの見方がコンセンサスとなっており、昨日メンバーの一人がユーロ圏経済の見通しに楽観的な見方を示したとの報道もあり、追加緩和観測が後退してユーロは底固い動きとなった。その中で、1日に発表されたユーロ圏の消費者物価が4年ぶりのマイナスとなったほか、ユーロ高による物価下押し圧力への警戒感が示されるか、先行きの政策と合わせて注目されている。
一方、英国とEUの通商交渉に進展が見られず、協議打ち切りとの懸念もあったが、EU側が交渉継続を示唆したとの報道が好感されたが、今後交渉の期限の10/15までに最終合意ができるかどうかが注目されている。
米国市場では、新規失業保険申請件数、8月の生産者物価指数の発表が予定されているものの、これまで注目されていた失業保険関連の指標も緩やかな改善が続いていることもあり、マーケットではすでに織り込み済みとなっており、反応は限定的と見られている。そのため、よりインパクトのある材料がなければ、引き続き限定的な動きが続く可能性も考えられる。
9/10の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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84.5万件 | 88.1万件 |
前回は予想以上の減少となり、2週連続の減少となった。一方、失業保険継続受給者数は、5週連続の減少となり、緩やかながら改善していることが示された。今回も両指標ともに前週からの減少が予想されているが、依然として小幅な減少が続くと予想されている。 | ||||
21:30 | 米国 |
8月生産者物価指数(前月比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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0.2% | 0.6% |
前回は市場予想を上回る伸びとなり、2018年10月以来の大きな伸び幅となった。食料品がマイナスとなったものの、エネルギーやサービスが上昇したことが影響し、経済が安定しつつある兆候が示された。今回は、前回から伸び幅の縮小が予想されているが、今年1月以来の2ヵ月連続のプラスとなるのか注目される。 |