前営業日トピックス
東京市場では、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなったものの、五・十日の実需のドル買い・円売りも観測されて、底固い動きとなった。ただ、日経平均株価が下落して始まり、下げ幅を拡大したことや、香港株が大幅下落となったこともあり、その後は上値の重い動きとなった。一方、豪中銀総裁が政策金利を少なくとも3年間は引き上げないと予想していると発言したことから、豪ドルは主要通貨に対して下落し、米ドルや円に対して約1週間ぶりの安値をつけた。
米国市場では、欧州で新型コロナウイルスの感染が再拡大していることや、米国の追加経済対策を巡る協議が難航していることを背景に、欧米の主要株価指数が下落したことを受けて、投資家のリスク回避の動きが強まり、安全資産とされるドルや円が買われた。さらに、米国債利回りが上昇したことから、ドルは対円でも堅調な動きが続いた。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比332ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小し、19.80ドル安(-0.16%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、54.86ポイント安(-0.47%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場終盤の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から小動きの展開となった。その後は、円売りが優勢となり、日経平均株価が下落して始まったものの、ドル円クロス円は底固い動きとなった。さらに、実需の売買が集中する五・十日であり、実需のドル買い・円売りが観測されたことも影響した。一方、豪中銀総裁が新型コロナウイルス対策の行動規制が緩和されて経済活動の再開が進むにつれ、金融緩和策の効果は一段と高まるとの考えを示し、少なくとも3年は利上げを想定していないとし、さらに政策金利を引き下げる可能性もあるとした。豪中銀総裁の発言を受けて、来月にも追加緩和があるとの観測から豪ドルは一段の下落となり、ドルと円に対して1週間ぶりの安値を付けた。
(2)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を拡大したものの、終盤にかけて下げ幅を縮小し、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ただ、全般的に方向感の乏しい動きが続いた。
(3)市場では、序盤に発表された新規失業保険申請件数が3週ぶりに増加したことや、NY連銀製造業景況指数が予想以上に低下したことを受けて、ドルは軟調な動きとなる場面もあった。しかし、欧州で新型コロナウイルスの感染が再拡大していることや、米国の追加経済対策を巡る協議が難航していることで、米景気回復が遅れるとの懸念を背景に、欧米の主要株価指数が下落したことを受けて、投資家のリスク回避の動きが強まり、安全資産とされるドルや円が買われた。一方、英国が定めたEUとの通商協議の期限である15日を迎え、交渉の決裂の可能性が高まったとの見方が広がり、ポンドはドルや円に対して下落した。
(4)トランプ米大統領が追加の経済対策の規模を1.8兆ドルに引き上げる意向を示したものの、共和党のマコネル上院院内総務が「大規模な追加対策を拒否、規模は5000億ドルが適切」と難色を示したこともあり、米追加経済対策を巡る協議が難航し、米景気の回復が遅れるとの懸念がドルを圧迫した。ただ、経済対策の規模を背景に、米10年債利回りが0.689%から0.738%まで上昇したこともあり、ドルは対円でも堅調な動きが続いた。
本日のトピックス
欧州での新型コロナウイルスの感染再拡大に加え、英国とEUの通商交渉の難航、さらに米国でも追加経済対策の与野党協議の難航などを背景に、投資家のリスク回避の動きも強まっている。東京市場でもその流れを引き継いで、クロス円は上値の重い動きも予想されている。
欧州時間には、昨日英国が定めたEUとの通商交渉期限とした15日を迎えた。交渉は延長されたが、本日英首相が今後の交渉の対応を発表する予定となっている。英国の担当交渉官は、EU首脳会議での要求(合意のための行動は英国が全てとらねばならない)に失望を表明しており、ジョンソン英首相が譲歩の姿勢を示すのか、強気の姿勢を示すのかが注目されており、これの結果を受けてポンドが大きく動く可能性も考えられることから、注目したい。
米国時間には、9月の小売売上高、10月のミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されています。ともに前回結果を上回ると予想されているが、依然として回復の速度は緩慢で、回復に時間を要することが改めて示されそうだ。ただ、結果はすでに織り込までており、予想以上の動きにはならないだろう。
10/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
9月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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0.8% | 0.6% |
前回は市場予想を下回る結果となり、伸び幅も3ヵ月連続の縮小となった。失業保険の上乗せ給付や中小企業支援策が終了したことが要因と推測される。今回は、前回から伸び幅が拡大すると予想されているが、GDPの算出に用いられるコア指数は伸び幅の低下が予想されており、結果が注目される。 | ||||
22:15 | 米国 |
9月鉱工業生産(前月比)
鉱工業生産は、鉱工業関連の生産動向を指数化したものであり、2002年を100として数値が算出され前月比で発表される。GDPに占める鉱工業部門の割合が約20%程度であることから重要な経済指標である。
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0.6% | 0.4% |
前回は市場予想を下回り、2ヵ月連続で伸び幅の低下となった。大幅改善が続いていた自動車・同部品がマイナスとなったことが影響した。今回は、前回から伸び幅の拡大が予想されており、前回マイナスとなった自動車関連の改善が見られるのか注目したい。 | ||||
23:00 | 米国 |
10月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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80.5 | 80.4 |
前回は市場予想を上回る結果となり、3月以来の高水準まで改善した。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大前の2月の結果が101.0(4月に2011年12以来の低水準となる71.8まで低下)だったことから、依然として消費者が先行きに懸念を持っていることが示された。今回の10月の速報値では、小幅改善が予想されているが、予想通りでもマーケットの反応は限定的だろう。ただ、回復鈍化から景気の先行き懸念が高まるようならマーケットへの影響が大きくなる可能性も。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ポンド/円は、一目均衡表の雲下限近辺でもみ合いの動きが続いていましたが、雲下限ラインの上昇に伴い乖離して一段の下落となっています。現状では、基準線近辺で底固い動きも見られますが、基準線は135.424で横ばいが続くことから、この近辺で引き続き底固い動きとなるのか、下抜けて一段の下げとなるのか注目されます。
オシレーターのMACDでは、両線の乖離幅が縮小しており、ここから両線がクロスする場合には目先の軟調な動きを示唆する形状となることから、こちらの動きにも注目です。
基準線を下抜ける場合には、133.07を目指す動きも考えられます。さらに、133.07を下抜ける動きとなる場合の下値目標の計算値は128.14となります。