前営業日トピックス
東京市場では、ドルが主要通貨に対して下げ一服となり、ドル/円は底固い動きとなった。さらに、下落して始まった日経平均株価が上昇に転じたこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。しかし、米大統領選挙の結果を巡る不透明感に加え、人民元の対ドル基準値が2018年7月以来の元高水準に設定されたことを受けて、ドルは軟調な動きとなり、ドル/円は一時103.18まで下落し、3/12以来の安値なった。
米国市場では、序盤に発表された米雇用統計で、非農業部門雇用者数が6ヵ月連続で伸び幅が縮小したことから、景気回復ペースが鈍化するとの見方からドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなった。しかし、大統領選の先行き不透明感や、米議会での「ねじれ」が維持される公算から、大規模な経済対策が難しくなるとの懸念から米主要株価指数が下落した。投資家のリスク回避の動きに加え、トランプ大統領が敗北を認めるとの報道も聞かれ、ドル/円は一時103.71まで上昇した。しかし、その後は米国の政治の情勢の先行き不透明感が高まりからドルが軟調な動きとなり、ドル/円は103.22まで下落した。
米株式市場では、バイデン氏の選挙人獲得が過半数を上回ったとの報道で、大統領選を背景とした買いが一巡するとの観測から利益確定の動きが先行し、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。さらに、上下両院で「ねじれ」となる公算が高まり、大規模な経済対策が難しくなるとの懸念も加わり、ダウ平均株価は序盤に前日比200ドル安まで下落した。その後は、値を戻す動きとなったものの、ダウ平均は上値の重い動きとなり、66.78ドル安(-0.24%)で終了し、5営業日ぶりに反落した。一方、ハイテク株中心のナスダックは4.30ポイント高(+0.04%)で終了し、5営業日続伸となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、下落して始まった日経平均株価が上昇に転じて150円超上昇したことから、投資家のリスク選好の動きが意識され、クロス円は堅調な動きとなった。一方、ドルは主要通貨に対して下落が続いたこともあり、東京市場では値を戻す動きとなった。さらに、米国債利回りが上昇したことから、対円では堅調な動きとなった。
(2)米大統領選の結果が確定しておらず、未確定の状態が長引けば追加経済対策も遅れて米国経済に影響するとの見方から、ドルは主要通に対して上値の重い動きとなった。さらに、人民元の対ドル基準値が2018年7/11以来の元高・ドル安に設定されたこともドル/円の圧迫要因となり、一時103.36まで下落した。
(3)ドル円・クロス円は買い戻しの動きなどもあり、底固い動きとなったが、米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が勝利するとの観測から、米国の政治情勢の先行き不透明感が後退したことでドル売りが優勢となり、ドル/円は一時103.18まで下落し3/12以来の安値を更新した。
(4)米国市場では、序盤に発表された米雇用統計で、失業率が6ヵ月連続で改善したことが好感されドルが買われたものの、非農業部門雇用者数が6ヵ月連続で伸び幅が縮小となったことから、政府の支援の先細りが影響し、景気回復ペースが鈍化するとの見方からドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。しかし、米議会選を巡り、上下両院の「ねじれ」が維持される公算が高まったことで、大規模な経済対策が難しくなり、規模が縮小されるとの懸念から米主要株価指数が下落したことから、投資家のリスク回避の動きが意識され、ドルや円が買われた。ドル/円は一時103.71まで上昇した。
(5)トランプ大統領が開票に関して改めて訴訟を行う意向を示したことで、米国の政治情勢の先行き不透明感の高まりからドルは軟調な動きとなり、ドル/円は103.22まで下落した。さらに、ドルがオフショア人民元に対して2018年6/27以来の安値を更新したことも対円でのドルの圧迫要因となった。
本日のトピックス
米大統領選挙では、バイデン氏が当選を確実にしたものの、一部州で再集計の可能性があることや、トランプ大統領が集計に関して訴訟を示唆していることから、依然として米国の政治情勢の先行き不透明感が残っている。そのため、追加の経済対策がさらに遅れるとの懸念や、規模が縮小されるとの観測もあり、米景気回復の鈍化懸念が高まるようなら株式市場への影響も考えられる。
週明けであることや、欧米の主要な経済指標の発表がないことから、限定的な動きも予想される。その中で、先週末に人民銀行が対ドルの人民元の基準値を2018年7/11以来の元高・ドル安に設定したことから、オフショア人民元が上昇となり、週明けの東京市場でも対ドルで2018年6/27以来の高値まで上昇している。この動きのドル/円やや上値の重い動きもみられたことから、人民元の動きにも注目したい。