前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価などアジア株全般が上昇したことや、米株価先物市場でダウ先物が上昇したことから、投資家のリスク選好の動きが強まり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。背景には、米下院で1兆9000億ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策法案が可決され、週末にも成立することが好感された。欧州時間では、米国債利回りが急速に低下したことから、ドルは主要通貨に対して下落し、一方のクロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が約4ヵ月ぶりの低水準を回復したことが好感され、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、米国債利回りが上昇したことも加わり、ドルは対円で一時108.71まで上昇した。その後、バイデン米大統領が追加経済対策法案に前倒しで署名したことも好感され、米主要株価指数が軒並み上げ幅を拡大し、投資家のリスク選好の動きが強まったことから、ドルと円が売られる動きとなった。ドルは、欧州通貨や資源国通貨に対して下落したことや、米国債利回りが上昇一服となったこともあり、対円でも終盤まで上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、序盤に発表された米雇用関連の経済指標が良好な結果となったことから、米景気回復に対する楽観的な見方が広がり、ダウ平均株価が序盤に前日比364ドル高まで上昇するなど、米主要株価指数は軒並み堅調な動きとなった。その後、バイデン米大統領が1日前倒しで総額1兆9000億ドル(約200兆円)規模の追加経済対策法案に署名したことも好感された。ダウ平均株価は、188.57ドル高(+0.58%)で終了し、終値ベースの最高値を連日更新した。一方、ハイテク株中心の329.84ポイント高(+2.52%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日、米下院で1兆9000億ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策法案が可決され、週末にもバイデン米大統領が署名して成立となることが引き続き好感され、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。東京市場では、日経平均株価が堅調な動きとなり、さらに時間外取引の米国債利回りが上昇したことも押し上げ要因となった。
(2)午後に入り、日経平均株価が上げ幅を拡大し、前日比218円高まで上げ幅を拡大するなど、アジア株全般が上昇したことや、米株価先物市場でダウ先物が上昇したことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。米株価上昇の背景には、米追加経済対策の成立で給付金1400ドルの支給開始されることで、株式市場への資金流入や、米景気回復が加速するとの期待感が要因となっている。一方、米10年債利回りが1.535%から1.472%まで低下したことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円では108.38まで下落する動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が約4ヵ月ぶりの低水準に回復したことが好感され、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、米長期債の指標となる米10年債利回りが1.545%まで上昇したことも加わり、対円では一時108.71まで上昇した。一方、ラガルドECB総裁が会見でパンデミック緊急購入プログラムの購入ペースを加速させる方針を示すなど、ハト派的な姿勢を受けてユーロは序盤やや軟調な動きとなった。
(4)バイデン米大統領が1日前倒しで総額1兆9000億ドル(約200兆円)規模の追加経済対策法案に署名したことが好感され、米主要株価指数が軒並み上げ幅を拡大し、投資家のリスク選好の動きが強まったことから、ドルと円が売られる動きとなった。ドルは、欧州通貨や資源国通貨に対して下落したことや、米30年債入札が冴えない結果となり、米国債利回りが低下したことも影響し、対円で終盤まで上値の重い動きが続いた。また、ラガルドECB総裁が見通しへのリスクはより均衡したとの見方を示したことや、米主要株価指数が上昇したことも加わり、ユーロはドルや円に対して堅調な動きとなり、特に対円では130.04まで上昇し、2018年11/8以来の130円台回復となった。
本日のトピックス
今週末にバイデン米大統領が上下両院で可決された1.9兆ドル規模の追加の経済対策法案に署名すると見られていたが、昨晩1日前倒しで署名、個人給付を今週末にも開始する運びとなったことが好感され、ダウ平均株価が連日指標最高値を更新する動きとなった。東京市場でも、海外市場の株高を好感して日経平均株価が堅調な展開で始まった。一方、ラガルドECB総裁がPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の買い入れを次の四半期に拡大すると、緩和姿勢を強調したこともあり、ユーロは対円で2018年11/8以来の130円台回復となり、東京市場でも130円台を維持して一段の上昇となっている。引き続き、ドル円・クロス円は堅調な動きが続くのか注目されている。
米国市場では、3月ミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されており、新型コロナウイルスのワクチン接種が進展していることや、労働市場の改善を示す雇用関連の経済指標の好調な結果が続いてこともあり、消費者のマインドも改善していることが予想されており、一部では予想以上の改善を見込む向きもあり、結果が注目される。
3/12の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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0:00 | 米国 |
3月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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78.5 | 76.8 |
前回の2月の確報値は6ヵ月ぶりの低水準となった。追加の経済対策に対する期待感が高まるものの、現況指数・期待指数ともに低下となり、消費者が慎重な見方を示していることが示された。今回の速報値では、上昇が予想されており、米国の労働市場の改善や追加経済対策法案の成立が近づいていること、さらにワクチン接種が進展していることもあり、消費者のマインドも回復していると見られている。 |