前営業日トピックス
前日の海外市場でドル/円は109円台を維持するなど心理的節目となっていたが、東京市場序盤に109円台割れとなったことでドル売りが加速した。一方、クロス円はドル/円の動きに連れて軟調な動きとなり、さらに日経平均株価が下落して始まり、一時180円超下落したことも加わり、軟調な動きとなった。その後、米長期金利が上昇したことから、ドルは対円で堅調な動きとなる場面があったものの、欧州通貨や資源国通貨に対して軟調な動きが続いたこともあり、対円でも上値は限定的となった。
米国市場では、序盤に発表された米輸出入物価指数が予想以上の伸びとなったことや、米国債利回りの上昇を受けて、ドルは主要通貨に対して上昇となり、対円でも一時109.10まで上昇した。しかし、その後、米国債利回りの上昇が一服したことに加え、複数の米金融当局者のハト派的発言を受けて、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、終盤には108.88まで下落した。一方、ドルが欧州通貨や資源国通貨に対して下落したことから、ユーロは対ドルで3/18以来の高値を更新したこともあり、対円でも序盤の130.28から130.58まで上昇した。
米株式市場では、前日のJ&Jのワクチン使用の一時停止を受けたリスク回避の動きが一服し、ダウ平均株価が前日比230ドル超上昇するなど、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。さらに、1-3月期の米金融大手の好決算が相次いだことも下支え要因となった。ただ、米景気回復の加速に伴うインフレへの警戒感が根強いことから、金利動向に比較的敏感なハイテク株中心のナスダックは序盤の高値から失速して下げ幅を拡大する動きとなった。ダウ平均株価は終盤に上げ幅を縮小し、53.62ドル高(+0.16%)で終了した。一方、ナスダックは138.26ポイント安の(-0.99%)で終了した。また、S&P500は序盤に取引時間中の最高値を5営業日連続で更新したものの、小幅安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場で、ドル/円は109円台を維持していたものの、東京市場に入り3/25以来の109円台割れとなり、ドル売り・円買いが優勢となった。さらに、米10年債利回りが3/25以来の低水準まで下落したこともドルの圧迫要因となり、ドル/円は一時108.75まで下落した。一方、日経平均株価が下落して始まり、一時前日比184円安まで下落したことも加わり、クロス円もドル/円の下落に連れて軟調な動きとなった。
(2)一時1.609%まで低下していた米10年債回りが、午後に入り上昇に転じ1.627%まで上昇したことを受けて、ドルは対円で堅調な動きとなった。しかし、欧州通貨や資源国通貨に対して軟調な動きとなったことから、ドル/円の上値は限定的となり、110円台を前に上値の重い動きとなった。一方、対ドルで堅調な動きが続いたこともあり、ユーロ/円やポンド/円などのクロス円は堅調な動きとなった。また、ニュージーランド中銀は、政策金利の据え置気を発表したが、声明がハト的と受け止められたこともあり、下落する場面もあったが、その後NZドル/円はクロス円の上昇に連れて堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された米輸出入物価指数が予想以上の伸びとなったことや、米長期金利の指標となる米10年債利回りが上昇したことを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇となり、対円でも一時109.10まで上昇した。ただ、109円台ではドル売り・円買いに押されて上値の重い動きとなった。
(4)米長期金利の上昇が一服したことに加え、パウエルFRB議長がインタビューで2022年の利上げの可能性は低いと発言、ダラス連銀総裁が完全雇用への回復には時間がかかると発言するなど、複数の金融当局者のハト派的発言を受けて、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、終盤には108.88まで下落した。一方、ドルが欧州通貨や資源国通貨に対して軟調な動きとなり、ユーロは対ドルで3/18以来の高値を更新したこともあり、対円でも序盤の130.28から130.58まで上昇した。さらに、豪ドルも対同で3/23以来の高値を付け、対円でも4/6以来の高値を更新した。
本日のトピックス
欧州時間には、ドイツやフランスの消費者物価指数の発表が予定されているものの、確報値であることから、速報値からの修正がなければ反応は限定的と見られている。一方、トルコの政策金利発表が予定されており、カブジュオール新総裁就任後初めての会合となり、結果が注目されている。マーケットでは金利据え置きが予想されているものの、予想に反して利下が発表される場合には、トルコ・リラの急落につながる可能性も一部では指摘されている。
米国市場では、新規失業保険申請件数、3月の米小売売上高の発表が予定されている。前者は3週ぶりの改善が予想されているものの、依然として緩やかな改善が示されると見られている。後者は、バイデン政権の追加の経済対策法案成立による給付金支給が個人消費を押し上げている可能性もあり、大幅な上昇が予想されている。
4/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(4/10までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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70.0万件 | 74.4万件 |
前回は市場予想を大きく上回り、2週連続の増加となった。新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいることで、制限措置も緩和傾向にあるものの、労働市場の回復が一様でないことが示された。今回は、改善が予想されており、引き続き緩やかな改善が続くのか、改善のペースが上がるのか注目される。 | ||||
21:30 | 米国 |
3月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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5.5% | -3.0% |
前回は市場予想を下回り、予想以上のマイナスとなった。2月に米国に襲来した寒波が影響した可能性が指摘されている。今回は、前月の反動に加え、追加経済対策法案が成立し、給付金が支給されたこともあり、大幅な上昇が予想されている。一部では、予想以上の伸びを予想する向きもある。 | ||||
21:30 | 米国 |
4月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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18.8 | 17.4 |
前回は市場予想を上回り、2018年11月以来の高水準となった。仕入価格と出荷が大きく伸びたことが影響し、6ヵ月先の予想でも昨年9月以来の高水準となり、製造業の改善が進んでいることが示された。今回は、前月からさらに上昇が予想されており、3ヵ月連続の上昇となり、堅調さが維持されるのか注目したい。 | ||||
22:15 | 米国 |
3月鉱工業生産(前月比)
鉱工業生産は、鉱工業関連の生産動向を指数化したものであり、2002年を100として数値が算出され前月比で発表される。GDPに占める鉱工業部門の割合が約20%程度であることから重要な経済指標である。
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2.5% | -2.2% |
前回は予想外のマイナスとなり、昨年4月以来の大きなマイナス幅となった。製造業の持ち直しが見られるものの、電力・ガスが大きく改善したが、2月の寒波の影響で製造業、鉱業がマイナスに低下したことが影響した。今回は、前月の反動が予想されており、予想通りの結果なら2020年7月以来の大きな伸びとなる。 |