前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が下落して始まったものの、仲値公示にかけて実需のドル買い・円売りが観測されたこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。しかし、午後には一時前日比1000円安に迫る下落となったことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。欧州時間では、日経平均株価に続き、欧州主要株価指数や米株価先物が下落したことで、リスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ドル/円は一時108.35まで下落したものの、米国債利回りが上昇したこともあり、底固い動きとなった。一方、クロス円はドル/円の上昇に連れて値を戻したものの、米主要株価指数が下落したこともあり、終盤までは上値の重い動きが続いた。また、英国で新型コロナウイルス感染の死者数が14ヵ月ぶりにゼロとなり、ワクチンの効果が示されたことを好感し、ポンドは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
米株式市場では、日本や欧州の主要株価指数の下落を受けて、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。さらに、米国のインフレ高進への警戒感も加わり、ダウ平均株価は一時前日比667ドル安まで下落するなど、主要株価指数は下げ幅を拡大した。その後、主要株価指数は下げ幅を縮小したものの、ダウ平均株価は473.66ドル安(-1.36%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは12.43ポイント安(-0.09%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、600円超下落したことから、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドルや円が買われる動きとなった。さらに、実需のドル買い・円売りが観測されたこともあり、ドル/円は仲値公示にかけて一時108.98まで上昇し、クロス円も連れ高となった。
(2)仲値通過後は上値の重い動きとなり、さらに午後に入り日経平均株価が下げ幅を拡大し、一時982円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。また、米国の金融緩和策が長期化するとの観測もドルの圧迫要因となった。一方、先週末の英地方選でスコットランドの独立を目指すスコットランド民族党が過半数に及ばなかったことで、独立を問う国民投票への警戒感が後退したことが引き続き材料視され、ポンドは底固い動きが続いた。
(3)欧州市場では、日経平均株価の下落を受けて、欧州主要株価指数や米株価先物が下落したことで、投資家のリスク回避の動きが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ドル/円は一時108.35まで下落したものの、米雇用統計の結果を受けて下落した先週末の安値の108.34は下抜けなかった。
(4)その後、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.598%から1.628%まで上昇し、1週間ぶりの高水準となったこともドルの下支え要因となり、その後108.67まで値を戻した。一方、クロス円はドル/円の上昇に連れて値を戻したものの、米主要株価指数が下落したこともあり、終盤までは上値の重い動きが続いた。また、スコットランドの独立を問う住民投票実施リスクが後退したことに加え、英国で新型コロナウイルス感染の死者数が14ヵ月ぶりにゼロとなり、ワクチンの効果が示されたことを好感し、ポンドは主要通貨に対して堅調な動きとなった。特に、対ドルでは2/25以来の高値を更新した。
本日のトピックス
本日の欧州市場では、4月のドイツの消費者物価指数(確報値)、英国の第1四半期GDP(速報値)の発表が予定されており、景気動向をみる上で結果が注目されている。
一方、米国市場では、米国の消費者物価指数の発表が予定されており、ワクチン接種の拡大で経済活動の再開が進んだことで、インフレ圧力が高まっている。当局では、インフレの上昇は一時的との見方を示しているものの、一部でインフレの高進が想定以上に長期化するとの警戒感もあり、結果が注目されている。今回は、前月比では前回から低下が予想されているものの、前年比では上昇が予想されており、予想通りの結果なら2011年9月以来の高水準となる。結果を受けた株式市場や為替市場の反応などに注目したい。
5/12の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
4月消費者物価指数(前月比・前年比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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0.2% ・ 3.6% | 0.6% ・ 2.6% |
前回は市場予想を上回り、2012年8月以来の大幅な伸びとなった。一方、前年比でも予想を上回り、2018年8月以来の高い伸びとなり、2020年2月以来の2%台を回復した。ワクチン接種の拡大で経済活動の再開が進み、需要の高まりからインフレ圧力の高まりが示された。今回は、前月比で前回から伸び幅の低下、前年比で一段の伸びが予想されている。 |