前営業日トピックス
東京市場では、前日のパウエルFRB議長の議会証言がハト派的な内容だったことでドル売りとなった流れを受けて、序盤からドルは上値の重い動きとなった。加えて、日経平均株価が下落して始まり、一時360円超の下落となったことも加わり、クロス円も軟調な動きとなった。その後、米長期金利の下げ幅が拡大したことから、ドルは欧州通貨や資源国通貨に対して下落したほか、対円でも一段の下げとなった。欧州時間には、ドルが主要通貨に対して上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。一方、英中銀の当局者が、刺激策解除がまもなく適切になる可能性と発言したことから、ポンドは主要通貨に対して上昇した。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が良好な結果となったことが好感され、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなり、対円では一時110.09まで上昇した。ただ、上昇一服後は値頃感の売りに押されて109.84まで押し戻されたが、その後米長期金利が上昇したことから、ドル/円は再び110円台を回復した。しかし、終盤にかけて米長期金利が再び低下となり、5営業日ぶりの低水準となったことが影響し、ドル/円は109.78まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落が続いたことや、ドル/円の下落に連れ安となり、対円でも軟調な動きとなった。
米株式市場では、米長期金利が上昇したことなどが影響し、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。ただ、序盤に発表された米経済指標が良好な結果となったことや、米企業の決算発表が本格化し、好業績を期待した買いが入り、ダウ平均株価はプラス圏まで反発し、53.79ドル高(+0.15%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、101.82ポイント安(-0.70%)で終了し、3営業日続落となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日のパウエルFRB議長の議会証言でハト派的姿勢が示されたこと受けて、早期の緩和策の縮小が後退したとの見方から米長期金利の低下とともにドル売りとなった流れを引き継ぎ、ドルは序盤から軟調な動きとなった。さらに、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、前日比262円安まで下落したことから、クロス円も上値の重い動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を拡大し、368円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は一段の下げとなった。その後、欧州通貨や資源国通貨がドルに対して堅調な動きとなったことから、対円でも堅調な動きとなった。一方、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円では一時109.72まで下落した。
(3)欧州市場からNY市場序盤にかけて、米長期金利の上昇に伴いドルが主要通貨に対して上昇、対円で堅調な動きとなった。さらに、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が昨年3月以来約1年4ヵ月ぶりの低水準まで改善したことや、7月のニューヨーク連銀製造業景気指数が過去最高を記録したことも好感された。ドル/円は、一時110.09まで上昇し、110円台を回復した。一方、英中銀MPC(金融政策委員会)メンバーが、物価が急上昇していることから、国債買い入れプログラムの中止を早期に決定する可能性があると発言したことを受けて、ポンドは主要通貨に対して上昇した。
(4)上昇一服後は値頃感の売りに押されて109.84まで押し戻されたが、その後に米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.347%まで上昇したことから、ドル/円は再び110円台を回復した。しかし、米10年債利回りが終盤にかけて1.290%まで低下し、5営業日ぶりの低水準となったことが影響し、ドル/円は109.78まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落が続いたことや、米主要株価指数が上値の重い動きが続いたこと、さらにドル/円の下落に連れ安となり、対円でも軟調な動きとなった。
本日のトピックス
昨日、ドル/円は110円台回復する場面も見られたが、110円台では上値の重い動きとなった。ただ、109.70台では底固い動きとなっており、本日の東京時間の序盤に一時109.73まで下落したものの、その後は109.90台まで上昇している。本日は、引き続きレンジ内の動きが続くのか、レンジを突破する場面があるのか注目したい。
欧州時間では、欧州の消費者物価指数(改定値)の発表が予定されており、速報から修正されるのか注目されている。一方、米国市場では、6月の小売売上高、7月のミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されており、前者は5月に10ヵ月ぶりの大幅な伸びとなった反動からマイナスとなっており、引き続きマイナスが続くのか注目されており、後者は消費者マインドの改善が見られるものの、コロナ感染拡大前の水準には改善していない。その中で、小幅な改善が予想されており、5月に10年ぶりの高水準となったインフレ期待が引き続き落ち着くのか注目される。
7/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
6月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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-0.4% | -1.3% |
前回は市場予想を下回り、3ヵ月ぶりのマイナスとなった。個人給付などの影響で大幅な伸びとなった反動との見方もある。ただ、経済活動の再開が進み、サービス関連の支出にシフトしている。今回は、引き続きマイナスが予想されており、引き続き影響が残っていると見られている。 | ||||
23:00 | 米国 |
7月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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86.5 | 85.5 |
前回の確報値では、速報値から下方修正されたものの、前月の結果からは上昇となった。現在の景況感は前月から低下したものの、先行き景況感が上昇したことが影響した。今回、7月の速報値は、前月確報値から上昇が予想されており、消費者の期待値が改善していることが示されると見られている。一方、5月に10年ぶりの高水準となったインフレ期待は、前月に低下しているが、落ち着きが見られるのか注目されている。 |