前営業日トピックス
東京市場では、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードが広がる中、月末を控えた実需のドル売りに押され、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなった。さらに米長期金利が低下したことも加わり、ドルは対円で一時110.16まで下落したほか、クロス円も軟調な動きとなった。さらに、一時前日比200円超上昇した日経平均株価が上げ幅を縮小する動きとなったことも圧迫要因となった。その後、中国株が連日の大幅下落となったことや、欧州主要株価指数が軒並み下落したこと、米株価先物が急速に下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された6月の米耐久財受注が市場予想を大きく下回ったことを受けて米長期金利が低下したことから、ドルが主要通貨に対して軟調な値動きとなり、ドル/円は109.84まで下落した。ただ、その後に発表された7月の米消費者信頼感指数が1年5ヵ月ぶりの高水準となったことから、ドル/円は110.02まで持ち直した。しかし、主要株価指数の下落を背景に投資家のリスク回避の動きが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなり、ドル/円は1週間ぶりの安値となる109.58まで下落した。終盤にかけては、FOMCの結果発表とFRB議長の会見を翌日に控えて、量的緩和策の縮小に向けた議論の行方を見極めたいとの思惑や引け後に発表されたアップルやアルファベッドの好決算を好感し109.81まで反発したものの110円台を回復できないまま取引を終えた。
米株式市場では、中国株が引き続き大幅下落となったことや、欧州主要株価指数も軒並み下落したことを受けて、米主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。ダウ平均株価は序盤から軟調な動きとなり、一時前日比266ドル安まで下落した。しかし、引けにかけて下げ幅を縮小し、85.79ドル安(-0.24%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、180.13ポイント安(-1.21%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の堅調な流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。月末を控えた実需のドル売りが観測され、ドルは仲値公示にかけて軟調な動きとなったほか、米長期金利が低下したことからり、対円では110.20まで下落した。
(2)その後、上昇して始まった日経平均株価が上げ幅を拡大し、一時前日比200円超上昇したことから、ドル円・クロス円は値を戻す場面もあった。しかし、FOMCを控えて様子見ムードが強まる中で米長期金利の指標となる米10年債利回りが、時間外取引で1.289%から1.239%まで低下となったことから、ドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は110.17まで下落となり、クロス円も連れ安となった。
(3)米国市場では、序盤に発表された6月の米耐久財受注が市場予想を大きく下回ったことを受けて米10年債利回りが1.266%から1.227%まで低下したことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、ドル/円は110円台を割り込み、109.84まで下落した。
(4)その後に発表された7月の米消費者信頼感指数が1年5ヵ月ぶりの高水準、7月のリッチモンド連銀製造業指数が2004年3月以来の高水準となったことからドルは持ち直し、ドル/円は110.02まで回復した。しかし、欧米の主要株価指数が下落したことや、米長期債買い(利回り低下)などが優勢となり、投資家のリスク回避の動きが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなり、ドル/円は109.58まで下落し、1週間ぶりの安値となった。終盤にかけては、FOMCやFRB議長の会見を控えて、量的緩和策の縮小に向けた議論の行方を見極めたいとの思惑も強く、109円台後半に反発して取引を終えた。一方、IMFが英国の2021年の経済成長率を7.0%(4月時点は5.3%)へ大幅上方修正したことで景気回復期待が高まり、ポンドは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
本日のトピックス
前日の海外市場では、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、ドル/円は一時109.58まで下落した。一部では、FOMCの発表を控えたポジション調整との見方もあったが、下げ一服後は値頃感の買い戻しも見られ、底固い動きが続いている。目先は、110円台に回復できるのか注目されている。ただ、FOMCの発表までは様子見ムードが高まることが予想され、発表までは限定的な動きが続く可能性も考えられる。
米国時間には、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の会見が予定されている。前回6月のFOMCではタカ派にシフトしたが、FOMC後に変異株の感染が拡大したことから、米景気回復が遅れるとの懸念も台頭しており、量的緩和の段階的縮小(テーパリング)開始時期が後退する可能性を指摘する向きもある。
FOMCでは、量的緩和の段階的縮小の規模、ペースなどが議論されると見られており、量的緩和の縮小に関するヒントが示されるのか注目されている。ハト派的な場合には、ドル売り圧力が強まる可能性も考えられるが、引き続きタカ派的な見方が示される場合には、ドルの支援となる可能性もあり、声明とFRB議長の会見での発言内容が注目されている。
7/28の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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翌3:00 | 米国 |
FOMC金融政策発表
FOMC(Federal Open Market Committee 連邦公開市場委員会)は、米国における金融政策の最高意思決定機関で、公開市場操作の方針を決定する委員会である。メンバーはFRBの議長、副議長を含7名の理事と、ニューヨーク連銀総裁、地区連邦準備銀行の総裁4名の計12名から構成されている。
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金融政策の変更はないとの見方がコンセンサスとなっている。6月のFOMCではタカ派にシフトしたが、変異株の感染拡大を背景に、景気回復が遅れるとの懸念から、量的緩和の段階的縮小(テーパリング)時期が後退する可能性が示される可能性も指摘されており、引き続きタカ派的な見方が示されるか、ハト派的な見方が示されるのか注目されている。 |