2016年の東京市場は波乱の幕開けとなりました。米国および中国の株価が下げたことが波乱の要因と考えられます。テクニカル的には、今後日経平均株価が一目均衡表の「クモ」の中を動くのか、その下に入ってしまうのか、この一両日の動きが大きなポイントになりそうです。
もっとも、日米金利差(2年)は再び拡大する兆しを見せており、外為相場が円安・ドル高になる可能性も出てきました。過度の懸念は不要で、押し目買いチャンスを図りたい所です。
大波乱となった2016年「大発会」 |
2016年の東京市場は波乱の幕開けとなりました。「大発会」を迎えた1/4(月)の日経平均株価は、前日比582円73銭安の18,450円98銭で取引を終えました。続く1/5(火)も売りが先行する展開です。年明けでいまだ市場参加者が少ないという状態の中、米国および中国の株価が下げたことが波乱の要因となりました。
米国では、原油安への警戒が続いていることに加え、シカゴ購買部協会景気指数やISM製造業景況指数が下振れたこともあり、先行きの景況感に対して不透明感が強まりました。12/30・12/31の2営業日で、NYダウは300ドル近い下げとなりました。波乱は年明けになっても続く形で、1/4のNYダウは前日比276ドル安と急落しました。
一方、中国市場では、1/1(金)および1/4(月)に発表された製造業PMI(前者は政府系統計、後者はメディア系統計)がともに事前予想を下回り、やはり先行きの景況感に対して不透明感が強まりました。1/4(月)の中国株式市場では、株価が大幅下落となり、サーキットブレーカーにより、午後途中から終日売買が停止される事態となりました。
なお、1/4の外為市場は年末時点では1ドル120円近辺であったドル・円相場が、1ドル118円台後半の水準まで円高・ドル安が進み、そのこと自体が、日本株の下げを加速させる要因ともなりました。
図1は過去3ヵ月の日経平均株価の動きを追ったものです。12/1(火)時点では8月以来の2万円大台回復を実現しましたが、その後は下落に転じてしまいました。12/15(火)にはいったん下げ止まり、そこから年末にかけては底堅い動きとなりましたが、1/4の波乱相場で一気に12/15安値を割り込む展開になってしまいました。
このようにチャート的には「底割れ」のような格好になってしまった日経平均株価ですが、今後も下げが続くのでしょうか、それとも波乱は短期間で収束し、戻りに転じるのでしょうか。
図1:12/15安値を下回り「底割れ」が懸念される日経平均株価
- ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2016/1/4現在。
「一目均衡表」で考えるとこの一両日が重要なポイント |
図2の「一目均衡表」で見る限り、日経平均株価はクモの中を突き進んでいくのか、クモの下に落ちてしまうのか、非常に微妙な局面となっています。
(1)遅行スパンは日々線の上から下に突き抜け、「売りシグナル」がすでに点灯している。
(2)転換線が基準線を上から下に突き抜け、「売りシグナル」がすでに点灯している。
(3)日々線が2本の先行スパンにより形成される「クモ」の中を進み始め、こう着感が強まりやすい状態となっている。
(4)一目均衡表のクモの下限は18,446円(1/5現在)で強い下値支持ラインになっている。
1/4(月)の東京市場では、日経平均株価が一時18,394円まで下落しましたが、前項で書いたように終値は18,450円となりました。18,430円が下値支持ラインとして機能したものと考えられます。ただ、日経平均株価が逆にこのラインを下回り始めてしまうと今度は、一目均衡表の「クモ」が上値抵抗ラインになってしまう可能性が大きくなってきます。日経平均株価の先行きを考えるうえでも、この一両日は重要なヤマ場になるかもしれません。
図2:日経平均(日足)一目均衡表〜日々線が向かうのはクモの中?それとも?
- ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2016/1/4現在。
【ココがPOINT!】ファンダメンタルズの変化を先取りすると? |
日経平均株価の先行きに不透明感を与えているのは前項でもご説明した通り、おもに米国や中国の景況感です。それが米国株や中国株の波乱、あるいは「リスク回避の円買い」につながり、日本株の波乱を助長する形になっています。
確かに、中国経済の減速は由々しき問題ですが、それでも実質で6%台半ばの成長が続いていることや、経済のサービス化が進み、その方面では新しい動きが出ていることを考えると、市場はやや神経質過ぎると言えるかもしれません。むしろ、気を付けるべきは、円安・ドル高の一巡と企業業績の鈍化という「組み合わせ」かもしれません。
四半期平均レートでみた場合、2015/10〜12期のドル・円相場は120円台前半で、同119円台後半であった前年同期との比較ではほとんど横ばいになっています。言い方を変えれば、前年同期と比べた円安・ドル高の変化率は、アベノミクスが始まって以来初めて横ばいになる訳です。ちなみに2015/1〜3期は120円台前半でした。1/4(月)の外為相場で見られたように1ドル120円を切る円高・ドル安水準では逆に、外為相場の変化は「円高・ドル安」方向となり、輸出企業の業績にとってもマイナスに効き始めることになります。1/4の株価波乱の背景には、外為相場と企業業績のこうした「不都合な真実」が影響しているのかもしれません。
ただ、ファンダメンタルズを考えれば極端な円高・ドル安は想定しにくそうです。図3は、ドル・円相場と、それに強く影響すると言われる日米金利差(米国2年国債−日本2年国債)をみたものです。日米金利差はここにきて再び拡大傾向となっており、外為相場がそうした実態面の変化に追従して円安・ドル高に転じ始めても不思議ではないと考えられます。
なお、原油価格の下落は、直接エネルギー価格の低下につながり、製造業のコストを引き下げることで、物価を引き下げる方向に影響します。ちなみに、原油先物相場の前年同期比変化率をみると、2015/7〜9期は50%下落でしたが、2015/10〜12期は30%下落へと変化率が緩和しています。その意味では、日本の物価にかかり続けてきたデフレ圧力も今後は緩和する可能性が出てきたと言えそうです。仮にデフレ圧力が後退すれば円安・株高の要因になります。
図3:再び「円安・ドル高」?に転じる可能性も
- ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。データは2016/1/4現在。
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